速攻ボスキラーズ
14話
「先手必勝!」
アレウスは瞬時に最高速度1歩手前まで加速し、
スーパーゴーレムのボディを垂直にかけ上がった。
接近に0.5秒、約5mのかけあがりに1秒……
合計約1.5秒の速力で、籠手をスーパーゴーレムの
顎にめり込ませた。
「一撃で3割削れるか。なら直ぐに終わりそうだな!」
その間に接近していたレイルも、スーパーゴーレムの
膝関節部分に一撃を加え、踏ん張りを効かなくした。
「行くぜ、ドリルストライク!」
スーパーゴーレムの頭を蹴って天井まで跳躍、天井を
蹴り返すことで下方向へ超加速。そのままきりもみ回転
しつつ、インパクトの瞬間に両腕を突き出した。
『ギ…………ギ…………』
スーパーゴーレムは最早反応できておらず、膝から上が
地に崩れ落ちてしまった。頭頂部に受けたダメージも
甚大で、残りHPが2割を切っている。
「ウォラアッッ!!」
レイルが止めとばかりに速度を乗せた一撃を顎に放つも、
残念ながら残りHPの2割しか削れなかった……。
「とどめだぁ!!」
間髪入れず、アレウスが全宙踵落としを決め込むと、
スーパーゴーレムは完全に倒れた。
「はは、本当直ぐに終わったな!」
「本当ですね。補助、ありがとうございます」
「それは当然のサポートだろ」
「所で……複数でボスを倒したときのドロップアイテム
ってどう分配していますか?」
アレウスは今まで考えたことも無かったが、
こういった時の分配ルールもあるはずだ。
「あー、うちは基本半々で分けて、誰かが何かを
どうしても欲しかったら、譲り合う感じだな」
「成る程、では俺はここから右側を頂きます」
「いや、全部やるわ。俺の場合、ゴーレム系の
アイテムから使えそうな武器を作れねぇからな」
「え……ですが」
「それに今回はお前に頑張らせぱなしだ。
ジュエルだけ半々にしとこうぜ」
アレウスは結局レイルから全てのドロップアイテムを
譲ってもらうことになった。戸惑いの気持ちもありつつ、
レイルを尊敬するようにもなった。
「えへへ~、帰って早々付き合わせてゴメンねー」
「気にしないで下さい。クエストを受けまくれば
俺もB級に近付くことが出来るので」
レイルとのクエスト終了後、今度はマリリンに
頼まれて、クエストを受けることになった。
「道中の魔物が魔法系のあたしじゃ倒し辛いの。
アレ君の実力確認がてら、一緒に行こうね」
「ウッス」
そして現場まで並走していこうとするのだが……
「もーー! アレ君速すぎるよー! 少しはあたしに
合わせてよーー!」
「す、すいません…………」
レイルに合わせて走っていたときと同じような
ペースで走っていたのだが、それでもマリリンは
大きく遅れていた。
(レイルさんは相当俺に合わせてくれていたんだな…………)
「う~ん、とは言えあたしに合わせるより、アレ君が
飛ばした方が速いことは間違いないし…………そうだ!」
マリリンはまごうことなき全力で走り出し、跳躍。
アレウスの背中にしがみついたのだ。
「こうすればアレ君も本気で走れるね。
アレ君ゴー! ゴー!」
まさかのおんぶ合体で進むことになった。
『ダァン!!』
「すっごーい! これなら一気に着くね!」
とは言え、小柄なマリリンは軽いため、50m走で
言えば5.7秒のペースで走ることが出来る。かなり
移動時間の短縮にはなるのだが…………
(背中に柔らけぇ物が当たってやがる…………何で
こんなに色々と再現してるんだよこのゲーム…………)
女性の体の触感がやたらリアルに再現されていたのだ。
今まで女子と殆ど関わりの無いアレウスには少々刺激が
強すぎる。
(いかんいかん。こういう時こそ、クラフトの知恵。
マリリンさんがお姉さんとは限らない、おっさん
かもしれな……うっ!)
「アレ君? 顔色悪いけど大丈夫?」
「へ、平気です」
変な想像で精神的に受けたダメージを何とか回復し、
走行速度を元のペースに戻した。
(女性アバターをオッサンだと思うのは2度と止めよう)
アレウスは本気で誓ったのだった。
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