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ぶっつけ本番!

漸く…………本業までこぎ着けた!

139話


 ~水曜日~


「そーーれ」

「「うおおおおっ!」」


 隆二が軽々とロングシュートを決め、会場が

盛り上がった。どうやら今度はバスケットボールの

大会に助っ人として呼ばれたようだ。


「パワーだけの木偶には、俺たちのアジリティで

対抗だ!」


 敵チームの1人が、バスケ選手と思えない筋肉量の

隆二を遅いと高を括り、スピード勝負に持ち込んだ。


「へへっ、そいつはぁ…………」

「おい、高! ボールはどうした!?」

「ふぇ、無いっ!!?」

「てか筋肉野郎もどこっ…………」

「あっ!」


 後方の首尾に当たっていた選手が気づいたときには、

隆二はボールをドリブルしながらゴール間際まで進撃

していた。


「逃がすかっ!」


 2人が隆二の妨害を試みたが、Sの字を描くような

軌跡で軽々と回避され、そのままレイアップを決めて

しまった。


「大誤算だったな。筋肉はスピードの源だぜ!」


 その後も隆二の活躍は留まることを知らなかった。


「あっ!?」


 ある時は高さ3m超えのロングパスを、垂直跳びで

キャッチしつつ、そのままロングシュートを決め


「ヘイパース!」

「所詮はぽっと出ぇぇ!!」

「パス甘ぇぜ!!」


 甘いパスをしてしまい、味方の前に現れた敵選手に

取られそうになった


「うおっ!?」

「へへへっ」


 と見せかけて、高速移動でその選手の目前に現れて

キャッチしつつ、シュートに繋げたり


「行けっ、金子!!」

「お任せぇ!!」

「「「何ぃ!!!?」」」


 味方が出した、追従してくる味方へのパスを、

過剰な速度でキャッチしたかと思いきや、ピューマが

跳ぶような距離の走り幅跳びを行い、そのままダンク

シュートを決めてしまったのだ。勿論バスケット

ゴールは壊れてしまった。

 そんなこんなで美嶺高校ではない別の強豪校を

呆気なく打ち破り、噛ませと目されていた並月高校は

あっという間に地方大会を優勝してしまった。


 ~木曜日~


「え!?」


 相手選手が隆二に向かってサーブを打った所、

隆二は構えたまま微動だにもしてないが、玉が

消滅した。


『ピピー!』


 しかし、得点は隆二に入った。理由は簡単、隆二は

的確で超高速のレシーブを返しており、相手選手は

おろかその他全ての人物が、隆二とピンポン玉の挙動を

捉えられなかったのだ。

 得点の証拠として台の相手側左端に、ピンポン玉の

塗装がへばりついている。


「くっ!」


 その後も微動だにしない風に見える隆二相手に、

地方の星と目されている品本卓人選手は手も足も

出なかった。


『パキッ!』

「あ…………」

『ピピーー!』


 最後は隆二が返球した玉が、卓上で破裂したと同時に

試合終了となった。仮に破裂してなくても卓人は取れ

なかったし、何より歴然とした点差が既に開いていた。


 ~金曜日~


「って訳で、俺は卓球選手になったタクトを

コテンパンにしてきたって訳さ!」

「さっすが隆二~! スポーツで隆二に勝とう

なんて、血迷ったわね、拓人!」

「俺のようで俺じゃねーからな、それ」


 先日の対戦相手の名前の読みが拓人と同じで

あった為、隆二と美優は彼をいじっていた。


「にしても皆なりふり構わなさすぎだろ。バスケ部と

卓球部に至っては、ぶっつけ本番で俺を選手登録してる

からな」

「どの部活もパッとしない並月高校において、隆二程

尖った人材はレアだからなぁ…………」

「ちょっとぉ~、弓道部最高戦力の私を差し置くなんて

失礼ねー、拓人のアホアホ~」

「ああ、そういやそうだっけ。ま、事実として以前は

弓道部も浮いた話が無かったけどな」

「今のところは俺の長所が活きてるけど、その内

マラソンとかに出させられそうでこえーよ」


 隆二の懸念、それは


「うんうん! 有酸素運動は筋肉を分解するもんね!」


 筋肉の分解…………そして


「ついでに速筋の遅筋化も起きるしな。折角突然変異

した筋肉が全部遅筋になったら、隆二の精神壊れる

だろうな~~」

「ぶっ壊れるも何も、パワーリフティングの使用重量

が冗談抜きで4分の1を下回りかねねぇぜ」


 長所が完全に死ぬことすら考えられる。


「隆二が私より鈍足になるとか見たくない!

マラソン担当の先輩には私から釘を刺すわ!」

「いや多分、(はな)から誘ってこないから良いよ…………」


 隆二、美優は、約1ヶ月後に陸上短距離を

走ることになっている。


「ま、先のことはこれからだが、隆二、明日の

パワーリフティングは期待してるぜ」

「そうだった! 全力で応援するわ!」


 そう、いよいよ明日、隆二の筋肉の進歩を

披露する重要な大会があるのだ。


「…………任せな。大会参加者全員の顎を外す

パフォーマンスを見せてやるぜ!」


 自信に満ちた表情で、意気込みを語ったのだった。

 

 ~そして土曜日~


「えー、それでは金子選手、何kgから始めますか?」


 先ずはベンチプレスから行っているようだ。


「取り敢えず、200kgで!」


 スタッフ数名が、素晴らしい手際で用意を行った。


『セット』


 隆二は200kgのバーベルをラックアップし、

そのままゆっくりと胸に着けた。


『アップ』

「ぬぉりゃっと!!」

「「「「「おお…………は???」」」」」


 200kgのバーベルは、あたかも20kgの

バーを全速力で挙げたかのようなスピード感で

加速した。そして、挙上人物より重い質量が高速を

獲得した為、挙げきった隆二の身体もバーベルに

引っ張られて数十cm"浮いた"。


『バキャッ…ドン!!』


 隆二を含めて約340kgを支えていたベンチ台

だったが、それが速度を獲得して落下してくると

なると話は変わり、莫大な運動エネルギーに耐え

られず、壊れてしまった。


当然、隆二はバーベルを支えながら背中から

地面に落ちた。


「…………ゲホッ!」


 しかし、ベンチ台以上の衝撃を受けた本人は、

一度咳き込んだだけで特に怪我1つ見当たらない。

 そして未だにバーベルを支え続けている。


「「「「「……………………えぇ??」」」」」


 当然、会場はあまりの違和感と恐ろしさに、

ドン引きしていたのだった。

最後までお読みくださりありがとうございます。

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