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ボクはクマ。

予告…………次回、掲示板回をやってみます。

129話


「へ??」


 さぁて、俺の目の前に広がる景色は、一体

何が起きたことで出来上がったんだぁ??


 壁にポッカリ空いた大穴。そこから見えるは

住宅街と山と海。そして左右には砕け散った

ガラスがあった。


「…………」


 振り替えると、クラスの全員がこちらを

向いている。察するに、この穴は俺が作った

のだろう。何だか拳もジンジンするし。

 …………にしても壮観だな。全員、驚愕かドン引きか

畏怖の表情をしているじゃねぇか。そして美優、

流石に顎は閉じような。俺と拓人以外に見えない

角度なのが不幸中の幸いか。さてと…………


 隆二は物理教師の方を向いた。


「先生、あー、皆もお騒がせしてすいません!

夢の中でパンチを打ったら壁、壊しちまいました!」


「…………故意ではないと主張するのか??」


 威圧的に問い詰めてきた。


「…………断言します! そしてやったことについては

何度でも謝罪します!」


 憶さずに誠意を持って答える、今の俺に出来ることは

これだけだな。ていうか、拳がジンジンしてなかったら、

俺がやったって未だに実感できねぇし。壁壊した瞬間の

記憶が無いからなぁ…………


「…………フン、満点取り消しは勘弁してやるが、

放課後多目的室に来い。…………腹を括ってな」


 物理教師(このひと)は相変わらず威圧的に話してきた。

特に、最後の一言はドスが聞いた低音だったな。

 いやぁ、それからはこっぴどく1時間ほど

叱られたぜ。教頭先生がフォローしてくれなきゃ

野球部の練習に行けなかったわ。先のヤクザ騒動の

功績が大きいのだろうが、教頭先生(あのひと)はマジで

至誠の人だ。

 何せフォローと同時に悪いところも言いつつ、

血が昇った物理教師を沈めたのだからな!


「遅れて済m…」

「ストーーーーップ!!」


 隆二がスライディング土下座をしようとした

ところ、武三に止められた。


「その勢いでこられたら、直線上にいる奴らは

ぶっ飛んじまうぜ!」

「オデも人間大のゴム毬の如くバウンドして

しまうド~」


 武三は至ってマトモな思考から、制止を

呼び掛けたようだ。以前まではいがみ合っていた

自称動けるデブこと()跡律(あとりつ)とも、今では

筋トレを通じて仲良くなっている。そう、いがみ

合いの原因となった筋トレを通じて。


「よし、守田先輩! それじゃあ試合前の調整を

終わらせましょう!」

「ああ」


 こうして最後の練習が始まった。

 役割としては、基本武三がピッチングをするが、

チームがピンチの時や一気に押しきりたい時は、

センターの隆二がピッチャーとなる。逆に、

普段は俊足の隆二がセンターを守ることで、

鉄壁の守りとなる。


 他メンバーも、キャッチャーの守田護は無事に

隆二の時速200kmストライクをキャッチ出来る

ようになり、譜跡律も脚の筋トレで足の遅さを

大分改善して、元々威張り散らしていたホームランも

自信をもって威張れるほど確実な打率に上げた。


 いずれにせよ、彼ら以外も隆二直伝の筋トレで、

打撃、投擲、走塁全てのパワーとスピードが、

飛躍的にアップしたのだった。


~帰り道~


「ちょっと…………臭すぎなんですけど…………」


 何となく武三と帰ることになった隆二は、どう

考えても待ち伏せしていたとしか思えない美優も

まとめて自転車の後部座席にのせている。

 そして、案の定美優は、運動後の男子2人の

汗臭さ(特に武三)に鼻を殺されたようだ。


「大体何で私がサンドイッチの()なのよ…………」

「俺が具になったらお前が乗れねぇし、かといって

隆二の前だと満足に漕げなくなるだろ」

「分かったわよ。けど、私に密着しているからって

変な気分になったら無事じゃ済まないからね」

「うっ…………分かった」


 美優に本気で睨まれた武三は色々と

萎縮してしまった。


「おい、ちょいと止まるぞ」


 隆二はおもむろに、自転車を制止させた。


「ヴッ…………」

「どうした~?」


 美優は色々潰れ、武三は前方の様子を見た。


「ツキノワグマベイビーだぜ」


 山側の田んぼにポツリと1頭、ツキノワグマの

幼獣が居た。


「可愛い!」

「よせ、近くに親が居たら殺さre…って隆二!

何やってんだよ!??」


 隆二がスタスタとツキノワグマに近付いたので、

思わず叫んでしまった。


「ボーズ、こんなところで1人どうしたよ?」

(ボーズ…………??)


 普通に動物に話しかけたこともだが、ボーズ呼び

であることに武三は困惑した。


「フフン、隆二は動物とのコミュニケーションが

とっても上手いのよ」

「そ、そうなのか??」


 自慢げに話す美優にも困惑した。


「2人とも、ちょっくらボーズの母ちゃんを

助けに行くぜ!」


 隆二はそう言って、ツキノワグマを自転車の籠に

座らせてから、時速100kmで山へと向かい始めた。


「「ちょ、待ったーーー!!」」


 2人も後を追い始め、10秒くらいたった後


「駄目だ、よく考えたら追い付けるはずもねぇ」


 武三が冷静さを取り戻してダッシュをやめた。


「的場とも離r…って結構近くに居たぁ!!?」

「当たり前じゃない、小学生の頃、宇海より

速かったじゃん」

「いや、今のは女子の脚力じゃねーよ」

「フフン、隆二直伝の筋トレの成果よ!

そしてこういうときはぁ、拓人!」


 美優は拓人に連絡を入れ、彼の判断で熊鈴と

車を用意してもらった。


「拓人ー、ありがとう! 拓人のお父さん、

よろしくお願いします」

「よろしくお願いします!」

「よろしく。さぁ、乗って」


 2人は拓人の父親の車に乗り、隆二が真っ直ぐ

向かった山へと進んだ。


『チリーン! チリーン!』


「でないででないででないででないで…………」


 山に入るや否や、美優がビビって男子2人の

片腕をガッツリ抱き締めて震え始めた。


「ヤバかったら逃げるから平気だよ」

「へっ、今の俺にはバットがあるんだぜ!」


 顔を赤らめた男子2人は、彼らなりに美優の

不安を取り除こうとした。


「あっ…………」

「「どした?」」


 美優が何かを見つけ、2人は聞いた。


「隆二!」


 奥の竹藪地帯では、隆二が何かの作業を

していた。


「…………熊だ」


 拓人の父は、隆二の目前に大人の熊が寝ている

ことに気づいた。


『ブチッ!』

「後1工程だぞ。ボーズの為にも気を強く持て!」


 隆二は母熊を励ますように声をかけている。


『ブチッ!』

「よっしゃあ! クソ網の解除成功だ!」


 隆二と母熊の周りには、彼の馬鹿力で

引きちぎられた金属製の網が散乱していた。


『ぎゅおお…………』

「ん? 着いてこいってか? じゃあ、拓人達も

来いよー! そして拓人の父さんお久しぶりでーす!」


「あ、ああ。久しぶり」


 拓人の父親は、短期間で逞しくなりすぎた

息子の友人に歯切れの悪い返事を返した。

そして一行が熊親子に着いていくと


「タケノコいっぱい!」

「木はブナだな」

「もしかして…………俺たちに分けてくれるのか?」


 武三の問いかけに答えるかのように、母熊は

タケノコの1つを食べ始めた。


「キュー、キュー」

「お、ブナを食いてぇか。待ってな」


 隆二は戦国時代の忍者でも絶対に勝てないほどの

速度でブナの木を上り詰め、ごっそりと葉っぱを

採取した。


「これは母ちゃんの危機を俺に知らせたご褒美だぜ!」

「キュー!」


 小熊は美味しそうにブナの葉を食べ始めたの

だった。


「「「「バイバーイ!」」」」


 そして帰路に付くのだった。


「熊…………そう言えば20数年ほど前に、林間学校で

行く山の近くの動物園から、ヒグマが脱走したって

ニュースあったよな」

「あー、小学校の頃にドキュメンタリー番組

見せられたよねー」


 武三の出した話題に美優が懐かしげに食いついた。


「知ってるぜ、その翌年は多くの熊が平地に

現れたけど、それ以来山の中ですらほとんど

熊を見かけなくなったんだよな」


 隆二が付け加えた。


「体格で勝るヒグマが、同時期にツキノワグマを

食らいまくった。そこまでは分かる。問題は、

未だに熊を見かけず、それどころか周辺の山々

全ての熊が少ないことだ」


 この時の話題が、夏場、あのような獣害事件と

密接に関わっていたことを、4人は知らなかった。


~夜・隆二の部屋~


「今日もログインだー!」


 飽きる様子は1つもなく、SAFへとログインするの

だった。黒ひげもといクロクマを倒した今、大航海

時代は消化試合となる。


~誰かの部屋~


「…………」


 極薄ノートパソコンに向かう男は、"リアル

フィジクスモードについて語る板"をクリック

した。

最後までお読みくださりありがとうございます。

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