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切り札

お待たせしました。どうぞ~

126話


「うおおおおあっ!!」


 アレウス達は、どうにかクロクマの爪から

放たれる飛ぶ斬撃を、防ぎきった。


「ウッディ…………」

「にゃ~…………」


 アレウス達は、先程までそこにいたウッディの

方向を向いた。この攻防の最中、チンパンジーの

ウッディが斬撃の餌食となったのだ。


「カタキ…………トル!!」

「無念は僕たちが晴らす!」

「おう!!」

「フシャッ!!」


 発音不能のフラッシュを含めた5人は決意を

新たにし、跳び移ってくるクロクマに再び向かうの

だった。


~白兵前線~


「くそっ!」


 1人のユーザーが、ゾンビ海賊のカトラスの

餌食になりつつある。


「チェーンシールド! 纏めて来いやぁ!」


 クラフトは盾からチェーンを発射し、前方

10mの攻撃を一手に引き受けた。


「くっ…………(船の切り札を…………撃ちたかったぜ……………………)」


 夢半ば、クラフトのHPは無くなろうとしていた。


「間に合ったか!」

「良く耐えたな!」


 レオナルドが大部分のゾンビを一掃し、

ジャンヌが撃ち漏らしを掃討した。


「隊長! それに副長まで!」


 死にかけのクラフトは、かなり安堵した

表情を見せた。


「クラフト、最早有無を言っていられない状況だ。

この場のゾンビを全滅させたら最終兵器を使うぞ」

「なっ…………レイル達はどうするんだ!?」


 レオナルドの発言に、ジャンヌが動揺した

様子を見せた。


「…………俺が脱出命令を取り次ぎます! もう、

これしかないですよ!」

「うむ、早速取りかかるぞ!」


~熊復讐号の甲板~


「んっ? 隊長命令の取り次ぎ? フムフム…………」


 マリリンがクラフトからの連絡にいち早く

反応した。


「皆!今すぐ船から脱出よ!! 最終兵器でこの船を木っ端微塵にするみたい!! ボルカノフレイム! ギガロウェイブ!」


 直ぐ様皆が聞き取りやすく且つ、早めの

ペースで伝達後、お得意の超絶早口魔法で

援護も行った。


「承知した! 脚になってやるぜ!」

「ちょ!?」


 前線で回避盾になっていたレイルは、

そのAGIを即座に逃走に活かし始め、

一瞬でマリリンを担ぎ上げた。


「ミュー、ジャックルに乗って!」

「ありがとう!」

「カニさんはライアンに!」


 AGIが高いとまで言えないミュー、メタクラーは、

それぞれ体重に応じた猫科モンスターに乗せて

もらった。


「皆! 乗って!」


 すかさずフィンチがドレイクを甲板に寄せて

皆を跳び乗らせた。


「ソニック…………仇は取るからね」

「同じく、岩礁と残雪…………そしてシンドバッド

コンビの仇は必ず取る!」


 皆の思いを"切り札"に託し、横へと移動した

ところ、船に着いている熊の腕が襲いかかって

来た。


「新緑! 根本にグローニードル!」


 植物系の鳥である新緑は、熊の腕が加速しきる

前に、根本付近にありったけの栄養を注入した。


『バキャアッ!!』


 栄養が注入された部位が肥大したや否や、

中腹部分がへし折れ、そこから末端の腕部が

ドレイクの真下を通過して海に沈んだ。


「どんなもんだい! 質量が増えりゃあ加速度の

差でぶっ壊れるんだよ!」

「…………見かけによらず理系ね」


 ある意味、残雪達の仇を取ったグースを見て、

ミューは彼を理系だと称した。


「「「うわああああっ!!」」」


 他方、海上のモンスター達に乗ったユーザー達は、

熊復讐号が振るうもう片方の腕に怯えていた。


「ジェルマン様、準備完了ですわ!」

「それじゃ、とっておきの一撃をぶちかますぜ!」


 ジェルマンはそう言って、イシュタルの光魔法

エネルギーがありったけ詰まった弾丸を、ロケット

ランチャーから発射した。


「「うおおおおっ!!?」」


 熊の腕に着弾したや否や、目映い光が辺りを包み、

光が収まった時には壊れたメトロノームのように、

徐々に遅く振れている手首の先が消し飛んだ熊の

腕が見えた。


~ユーザー艦隊前線~


「全員避難できたか!!」

「出来ました!」


 真ん中を開け、両脇の船にユーザー達が

固まっている。


「それではアグロフラッシュ切り札・リヴァイア

クラッシャーを発射する! 3! 2! 1!

発射!!」


 クラフトは手のひらサイズのリモコンの

ボタンを押した。すると、次の瞬間には

ドリルがユーザー軍の中央付近の船を縦に

貫通し、熊復讐号に着弾した。そして、

熊復讐号を木っ端微塵に四散させたの

だった。


「お、終わったの…………か?」

「…………まだだ。黒ひげが生きている限り、

この戦いは終わらない」

「っ大変だ! 船の残骸が徐々に集結しつつ

ある!」


 先程の爆撃でゾンビは全滅したのだが、船が

再び集まろうとしているようだ。


「アグロフラッシュ全体に継ぎます! 大至急

遠距離攻撃が出来る者は、船の残骸を破壊して

ください!」


 クラフトは即座にアグロフラッシュメンバーを

通じ、全ユーザーに対処法を伝えた。

 返す言葉は1つ。


「「「「了解!」」」」


 そして残骸は徐々に、しかし確実に小さく

なっていった。

 若干時を戻し、アグロフラッシュの船の

甲板では…………


「どぉりゃああああ!!」

「なんか癪だが!」


 クロクマが大根斬りを繰り出してきたことに対し、

アレウスはカトラスで受け流しつつ、斬り捨てた。


「ふん! どうしたぁ!? こんなのではお前らが

先に死ぬぞ!」


 まるでダメージを与えれていないかのごとく、

クロクマのHPゲージは減っていない。


「ちりも積もれば山となる。国語苦手な俺だって

知っているぜ!」


 それでもアレウス達は諦めずに攻撃を続けた。


「フシャアアッ!!」


 ウッディの痛みのお返しだと言わんばかりに

ウィントのカマイタチが荒れ狂い


「おりゃあっ!!」


 スパロウはアレウス直伝のハーフムーン

カッターを放ち


『バシュッ!!』


 フラッシュは普段以上に鋭さのある水鉄砲を

放ち


「はあっ!!」


 ブルーは水を纏った特殊な飛ぶ突きを放った。

アレウスがクロクマを抑えることで、全員が

少しずつだが確実にクロクマにダメージを

与えているのだ。

 そしてチャンスは到来した。


『ドンッッッ!!!!!!』

「何だぁ!?」


 熊復讐号を破壊した『リヴァイアクラッシャー』

が発動し、その揺れでクロクマは動揺したのだ。

人の感性豊かさがあるからこその動揺。この

チャンスをアレウス達が逃すはずが無かった。


「畳み掛けるぞぉーーーーー!!!!」

「フニャニャニャニャニャニャニャァッ!!!!」


 シンプルに速いアレウス、ウィントの

連続攻撃が最初に始まった。


「ウッディ、ミテテ!!」

『バシュシュシュシュシュッッ!!!』


 次いでスパロウ、フラッシュが、そして


「ウオオオオオオオオオッ!!」


 ブルーも一心不乱に銛を刺し始めた。


「ぐおおおおおおおおっ!? 俺が…………

死にかけている!?」


 この鬼気迫る攻めは、クロクマの異常な

HPすら穴の空いたバケツに入った水の如く

削っていった。


「ただでは死なん!!」


 クロクマは一旦守りを捨て、1秒間両手のひらに

炎を圧縮した。そして


「うおおおっ!」

「ニャッ!?」

「キャッ!?」

「うわあっ!」


 その爆発で全員の体勢を崩した。


「ハハハ! まずはお前からだぁ!!」


 そして、建て直しが聞いていないブルーに

カトラスを振るった。


「!!」


 上下真っ二つになったのは、ブルーでは

無かった。


「ウッディの仇…………トッテネ」


 視野の広いスパロウが、咄嗟にブルーを

庇ったのだ。彼女の胴体が甲板に着いた瞬間、

戦闘不能により消滅した。


「これで2匹目…………あん?」


 アレウス達の空気が更に一変する。そして

フラッシュとブルーの姿が"変異"し始めた。

最後までお読みくださりありがとうございます。

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