海の熊さん超怖ぇぇ!!
魔王軍幹部、そしてそのクマが率いる軍勢の
驚異や如何に。
リアルが忙しくなりつつあるので、1.5日
更新に切り替えます。
125話
「ハハハハァ!! 熊の恐ろしさに震えるが良いわぁ!」
「うおりゃあっ!!」
マジシャンのように、口から極太のカトラスを
取り出した黒ひげ…………もといクロクマは、黒ひげの
時より速度も増した破壊的な一閃を繰り出してきた。
対するアレウスは、ピストルを上に投げ、両腕全ての
関節を外してしなりを最大まで活かしたマッハの
一閃を繰り出した。
「フギャアッ!!」
「凄い音っ!」
「スパロウさん!」
聴覚が敏感なウィントとスパロウは、この
衝突音がとても不快なため、両腕で耳を塞いだ。
しかしスパロウは、元が蜘蛛であったために
アラクネになった今でも両腕に聴覚器官がある。
その為、そこからのダメージをブルーが彼女の
手首を握ることによって軽減したのだった。
「ブルー、アリガト。というか、大丈夫ダッタ?」
「これくらい、へっちゃらです…………」
聴覚のダメージは少なくなかったが、良くも悪くも
魚人の聴覚が"人並み"だったことと、好意を寄せる
相手を守れたことから、彼自身はさほど堪えて
ないようだ。
「男だぜ、ブルー! ハイパークレセント・スラッシュ!」
捻転した身体を一回転させ、両腕で構えた剣の
遠心力を最大まで増大させた三日月型の斬撃を、
2段階強化して放った。
「ハハハ…………お前かぁ…………うちの息子の顔面に
ヒビを入れた野郎は」
巨大カトラスでガードしたクロクマは、2隻程
貫通しながら、自らの息子と称するモンスターを
傷つけたのはお前かとアレウスに聞いた。
「クロクマの息子…………顔面にヒビ…………お前まさか、
ダイアモンド・run・熊のオヤジか!!?」
0.1秒にして5連続程、半月状の飛ぶ斬撃を
放ちつつ、特に衝撃的でもない事実を飲み込んだ。
「いかにも! アイツは臆病だが、俺よりも強い。
アレを前に生き延びたことは誉めてやろう!」
軽々と斬撃を跳び避けながら、アレウスを称賛した。
「うちの隊長が居て、やっと生き延びれたのさ。
けど、この分なら、お前には勝算がありそうだな?」
話の内容から、クロクマは自分達で勝てると
考え、肉食獣の表情に変わった。
「…………そいつぁ楽観的過ぎるぜ兄ちゃんよぉ。
まぁ希望的観測で、俺より兄ちゃん達が強いと
して」
半月状の飛ぶ斬撃を放ちつつ、語り始める。
「熊復讐号の攻撃に、テメェのリーダー含めた
連中が耐えられる保証はどこにある!?」
「!!(…………随分略したな)」
空中で身をよじって飛ぶ斬撃をかわす。拳銃を
キャッチして、連続でぶっぱなす。銃弾をものとも
せず、毛皮の何処かから取り出した樽いっぱいの
ラム酒を飲み干し、超火力の火炎放射を吐く。
2段強化を満たした半月斬撃で炎を切り裂きつつ
攻撃する。即座に斬撃をかわす。このような攻防を
しつつ、会話を続けた。
「ハハハ! お前はディナーに残して正解だったぞ
ガキ! そういえばお前の名前はなんと言う?」
今更ながら、認めた相手の名前を聞いてきた。
「アレウス! 世界一の速筋マスターを目指す男だ!」
そう言って、早打ちでピストルを繰り出した。
「はん! 何かと思えb…(いや、これは!!)」
初め、クロクマはアレウスの左腕を見て単なる
銃撃だと思ったのだが、しなり始める右腕を見て、
即座に顔面を中心に全身を横移動し始めた。
『パ・キィン!!!!』
『バス!』
「致命傷を回避しやがったか!」
「ハハハ…………それでこそだな」
なんとアレウスは、発砲した銃弾を、限りなく
音速に近いカトラスの一閃で弾き飛ばし、極超音速に
かなり近い速度まで加速して打ち出したのだ。因みに
この技は海賊がレベルカンストの直前で覚える技
らしく、アレウスは案の定、これを2段強化して
放っていた。
アレウス達がクロクマと互角に近い接戦を
繰り広げる中、熊復讐号によるユーザー連合軍の
被害は甚大なものとなっていた。
『ヴオ"オ"オ"オ"オ"オ"!!!』
大口を開けた熊の船首をしたその船は、この世の
全ての熊達の怒号…………はたまた、断末魔のような
叫びをあげ、それを衝撃波の変わりにして前方の
ユーザー達を気絶させた。
「岩礁! 残雪ぅ!!」
「ジャーーーン!!」
「太郎!」
「貞子!」
「トレック!」
「ミーア!」
「あなた!」
「兄貴ー!!」
無慈悲な咆哮は、モンスター、ユーザー問わず、
海に沈めてしまい、彼らに窒息という名の死を
与えた。
「ミサイル!全力でぶちかませ!」
シンドバッドが相棒のミサイルに突撃を命じた。
『ガウ"ウ"ウ"!!!』
高速・大質量の一撃も、熊の腕のように
練り上げられた構造体の一撃により、敢えなく
撃沈した。
「シ、シンドバッド…………」
陸、海、空でテイマー代表として有名だった仲間の
1人がやられたことで、グースは気を落としてしまった。
それは熊復讐号の上でレイルと共闘しているケイトと
大型猫モンスター達も同じだった。
「シン…………」
悲しみで動揺した隙を、海賊の1人が彼女を
乗せている虎モンスターごと両手斧で斬りつけ
ようとした。
「ボサッとするな! 相手は黒ひげ軍団のゾンビだぞ!
ックソーー! ゾンビ相手に瞬殺効かねーのがもどかし
すぎるっ!!」
レイルがガタイの良い子分船長ゾンビを
蹴り飛ばした事により、ケイトは命拾いした。
しかし、レイル的には自身の速攻を支える
強みが潰されているため、非常にもどかしくて
ストレスが貯まるのだ。
「あ、ありがとう…………! ソニック、ドリル
ストライク! ジャックル、ナックルラッシュ!
ライアン、ギロチンファング! タイグル、
テールストライク!」
チーターのソニックは回転して直線を
爪で抉り裂き、ジャガーのジャックルは
連続猫パンチで群がる敵を一掃。ライオンの
ライアンは子分船長の1人を噛み砕いて倒し、
ケイトを乗せたタイグルは大道芸のごとく、
腕一本で全身を1回転することでしなりを
極めた尻尾を使い、レイルが蹴り飛ばした
子分船長を殴り倒した。
「…………こういうのってお前らやアレウスが
適任だが、俺もサボってられねぇ状況だ。
オラオラ! 俺は虎の威を借らない狐だぜ!
頭数取りてぇ奴はかかってこいやぁ!」
相手を挑発し、多くの攻撃を一手に引き付けて
それを全てかわし、倒せる相手は超スピードで
仕留める。今のレイルに出来る最大の働きを、
彼はすることにしたのだ。
そして上からも援護は来た。
「ドレイク、炎で焼き尽くすわよ!」
『グオオオオオオッ!!!』
「ボルカノフレイム!」
「爆炎連射!!」
上空からドレイク、マリリン、ミューが炎で
援護を開始したのだ。更に、
「デスニードル、ニードルストライク! ウィズ、
カマイタチ!」
フィンチのタイマン勝負が得意なモンスター達
が、そしてちょっと遅れて
「メタクラー、ウォーターショット! からの~、
挟み切り!」
鋼鉄の殻を持つ巨大蟹、メタクラーが高圧
水鉄砲で数人倒した後、素早く斬りかかって
きた子分船長を素早く挟み、そして潰したの
だった。
「「「「うおおおおおーーーーー!!」」」」
だが、それでも多勢に無勢。そしてアレウス達の
方も動きがあった。
「ゼアアッ!!」
「くそっ! タ!! れぇっ!」
他ギルドの船で、単身クロクマと渡り合っていた
アレウスが、一瞬の隙を突かれて吹き飛ばされたの
だった。相手の方が基礎STRが高いとはいえ、ガード
の上からも、飛ばされた際に衝突した壁、水面からの
ダメージも中々凄まじく、一気にHPを4割以下まで
削られた。
「くそっ! 悔しいがアイツの方が筋肉が強い!」
関節外し等で瞬間的なAGIこそ上回れど、
基礎的なSTRとAGIの差は、直接的な生存率を
大きく下降させていた。何より
「俺、既に100発近く被弾させているぞ…………?
なのに何であんなにピンピンとしてやがる??」
クロクマは、未だにHPを1割近く残していた。
DEFは精々ちょっとタフなモンスターレベルだが、
HPが異常に高い。そして毒も効かない。
「グオアアアオッ!!!」
「相殺しろぉぉぉおおおおっ!!!!!」
アレウス、ウィントが中心に、1隻分離れた
位置から放たれる爪の飛ぶ斬撃を相殺する。
次いで剣装備のスパロウ、ウッディも多くの
斬撃を相殺した。しかし…………
「ギジャアアッ!!!??」
ウッディの胴体が斬撃で縦に別れ、次の瞬間には
全身細切れとなっていた。
「ウッディィィィイイイイイイ!!!」
主の叫びが海中を木霊した。
最後までお読みくださりありがとうございます。
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