うるさすぎる正義と悪のひと仕合い
海賊を狩ることも板についてきて…………
115話
「ヒャーッハッハッハァ!! 俺様の名は
ソーン・カラム! 海賊1の美形剣士だぜっ!!」
確かに顔立ちは美形なのだが、興奮している
ことで顔面崩壊しており、恐ろしさが全面に
現れている。
「手下その1! 灰色のアッシュ!」
全身灰色の皮膚を持つ、両手に手斧を装備した
大男が名乗った。
「手下その2! 血煙のドラキュール!」
髪の毛を七三分けにし、つり上がった目と
鋭い牙が特徴の、ドラキュラ禅としたレイピア
使いが名乗った。
「手下その3…………呪術……達人……カー……シー
…………ゴホッ……ゴホッ」
腰が曲がり、猪背になって杖をついた怪しげな
おじいさんが名乗った。今にも倒れ死にそうだ。
「これよりィ!! さっきから俺たちの船とは
知らずに近付いてくるバカどもをブッタ斬りn…」
『ズンッッ…………!!!』
「おあっ!? ぅんだよ今の揺れはぁ!?
ああ!!!?」
ソーンが気持ち良く攻撃指令を行っていたところ、
突如自分達の船が揺れたので、老いて死にかけの
呪術師カーシーを怒鳴り付けた。
「たヴん(多分)…………てい(敵)……チュー(襲)。
ゴホッ……ゴホッ……」
「言葉喋れゴルゥア!」
息だえだえで返答したカーシーだったが、
察しようとしないソーンに怒鳴り付けられた。
それでもなお、彼は血反吐吐きの咳を
継続している。
「ウゲェ…………こんな不味そうな血は初めて
見ますなぁ…………」
ドラキュールがカーシーの血反吐を気味悪げに
見ている。
「下らん、どうでも良い、それより…………」
大男アッシュが胸囲50cmは膨らむほど
息を吸い込み
「宴の時間だ!!!!! 骨肉を断つぞおおおお
おおおおおおおおっっっ!!!!!!!!」
「「「「「おおおおおーーーーーーー
っっ!!!」」」」」
大声に変えて吐き出した。船長と幹部達の
やり取りを微妙そうに見ていた手下達も、これに
鼓舞されて士気を急上昇させた。
「おんどりゃあああああっ!! 死にたい奴から
向かってきやがれええええええっっっ!!!!!」
1点のみ失敗点があった。船底から自らの
脚力のみで上昇した男、アレウスの士気も
上げてしまったことだ。
「もっと強ぇ奴はいねーのかぁぁあ!!!」
アレウスは関節を外した右腕で、カトラスを
しなりにしならせ、したっぱを、彼らの持つ
カトラスやピストルを、船その物を斬って
斬って斬り捨てまくった。
「もー! 何でアレウス君まで士気あがってるの
よーー!!」
「全くだ。イシュタルをせーので引き上げるぞ!」
「「せーの!」」
後続には同級生3人も続いて上がってきた。
「フフフ、2人ともありがとう!」
「へへっ、これくらいどうってことないさ!」
「…………ふーん」
イシュタルに感謝されて、照れ顔で返事する
クラフトと、その様子を意味ありげに見ていた
ミューであった。
「ウヒョヒョー! 血が美味そうなメスが2人!
最高級品からいただきまーす!」
ドラキュールが猛スピードで、イシュタルを
串刺しにしようとレイピアを突き立ててきた。
「シールドストレート! 速さは時に身を滅ぼすぜ」
クラフトの解説通り、盾で殴るこの技は、殴った
対象の速度に比例して、与えるダメージが増す特徴
がある。
「お、おのれ……」
「シールドプレス!」
「ギャーーース!!」
盾を腹に配置し、ボディプレスでとどめをさした。
言うまでもなく、この技は使用者のDEF(リアル
フィジクスモードなら下方向の運動エネルギー)に
比例して与えるダメージが増加する。
「ふんっ! 私とイシュタルちゃんを品定め
するからこうなるのよ」
ミューがざまぁみろとばかりにドラキュールが
ドロップした『吸血鬼の牙』に吐き捨てた。
「うおおおおおっ!!」
大男アッシュが、油断している2人に向かって
走ってきた。
「暴風の矢!」
「ヌウウッ!!」
ミューが、着弾すると爆風を巻き起こす矢で
対応した。扱う弓も、強力な風属性を有している
ため、大男を容易くマストにめり込ませた。
「ヌガアアアッ!!」
しかし、アッシュは馬鹿力でマストから抜けd…
「爆炎の連射!」
火薬のついた矢を4本、一手遅らせて燃え上がる
矢を放つことで、アッシュごとマストを炎上させた。
「うぎゃー! 燃えたぞー!?」
炎上騒ぎに、海賊達がパニックになった瞬間
「どこ見てやがる! 俺に集中しろ。死ぬぞ??」
アレウスの斬撃によって、数十人まとめて
お陀仏になるのだった。
「フフン、私だってあの2人に負けないくらい
派手な攻撃が出来るんだからね! あの男も
中々の筋肉だったけどアレウス君に遠く及ばず!
それにしてもこの弓便利だわ~。あの子、中々
粋なプレゼントしてくれたのね」
海賊少年の顔を思い浮かべながら弓の便利さを
噛み締めた。
「なんだ、あんなことされたのに、もう寂しく
なったのか?」
「……………………」
クラフトの言葉を聞いた瞬間、ミューは
真顔になり…………
「やっぱあのガキ、2度と見たかないわ」
彼から受けた恥ずかしめを思い出し、低い声で
毒を吐いた。
その頃イシュタルは…………
「ふぉおぉおぉおぉ…………」
「フフフ、随分と大きくしましたわね」
カーシーが大きくした闇を見て、はしゃぐ
子供を褒めるように語りかけていた。
「美しき…………おなごよ…………もうお主は…………
どうしようもないぞ…………死を覚悟する時じゃあ!!」
巨大な闇の塊をイシュタルに投げつけた。
そして血反吐をぶちまける咳を繰り返した。
「では、私が勉強中の中級光魔法を
お見せしますわ。スーパーフラッシュ!」
物腰柔らかな声と動作に似つかず、掌から
放たれた光線は、カーシーの灰すら消滅する
威力を誇った。
「…………光魔法も攻撃魔法。その輝かしさに目が
移ろいますけど、代償となる命をかき消す影も
生むのですね」
唯一残ったドロップアイテム・呪い玉を
拾いながら、悲しそうに呟いた。
「あー、あー、あー、あー!!! どいつも
こいつもつっかえねぇなぁ!! 俺が手本を
見せてやるぜ!!!」
1人だけ残った船長・ソーンは、レイルよりも
速いかもしれない速度で突っ込んできた。
「ぐああっ!!」
クラフトは咄嗟に盾で受けたものの、ガードの
上からHPを3割削られた。彼の動きに無駄が
なかったら、今頃クラフトは死んでいただろう。
「…………うっ!?」
「他愛もねぇなぁ」
今度は、弓を引き始めたミューの反応速度を
凌駕した早さで、ピストルを発砲した。これも
狙いが甘かったお陰で、HPが2割以下まで
減らされるだけですんでいる。
因みに右胸を撃った。
「フラッ…」
「おせぇ!」
イシュタルに至っては、雑なパンチで
顔面陥没を狙った。しかし
「お前がなっ!」
「ぶごぉ!?」
アレウスによって、ハエの如くハタキ落とされた。
そしてオンボロ船の生け花状態となった。
「やってくれるじゃねーかぁ!!」
「仕合おうぜっ!!」
野卑さに差はあれど、気性が合う2人は、
友人のごとき阿吽の呼吸で斬り合いを開始した。
しかし斬り合いが始まって数秒後、アレウスの
顔が曇った。
「う~ん…………」
「何だ!? シケた面すんじゃねぇ!!」
「いや、お前…………雑すぎて相手にならんわ」
そう言ったアレウスは、棒立ち腕振り状態で
ソーンのカトラスを捌いていた。
「んなっ!!!!!!!!」
彼の返事に、ソーンは普段に増してうるさく
動揺をした。
「だからさ、来年技も鍛えて最強になってから
仕合おうぜ! これは俺からの……」
アレウスはソーンが気づかない早さで間を
空けつつ関節を外し…………
「はなむけの月だぜっ!」
月のように広がり続ける飛ぶ斬撃を放った。
それはソーンごと船を袈裟斬りにして、船の
片側を滑らかに滑り落とさせた。
「一件落着ぅ!」
「俺たちごと落とそうとしてどうする!!」
「レディは大切に扱いなさーい!」
「まあまあ」
ここから2日間は順調に幽霊船・海賊討伐、
財宝のサルベージ、宝島探索で確実に財を
成していった。
そして金曜日の夜。
「さーて、今日も今日もと海賊狩り~♪」
アレウスが特に突っ込みどころのない歌を
歌っていると、上空に大きな影が出来た。
「どうしたー?」
クラフトが良く分からない発明品を持ちながら
歩いてきたが、その上に新聞が落ちた。
「ペリーズニュースか」
ペリーズニュースとは、ペリカンが運んでくる、
その瞬間より過去の話題を書いた海の新聞である。
「えーと…………極悪海賊出現。これを討伐した
ものには莫大なジュエルを授ける。ターゲットの
名はブラックべa…」
「俺が倒す!!! 隊長~~~~!!」
アレウスは、ターゲットの名を最後まで聞かずに
レオナルドにターゲット討伐のための舵取りを
申請しにいった。
最後までお読みくださりありがとうございます。
ブクマ、評価をしてくださると励みになります。
そしてブクマ480人達成、ありがとうござい
まーーーす!
1/7 隊長不良により筆が進まない為、次話投稿は
明日の夕方とさせていただきます。




