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第3話 セイキオ転生~レイモンド~

コンコンコンッ


「メルリアーネ様、レイモンド・ノエル・アルロスト公爵子息様がお見えでございます。」


「!!!朱雀、早く隠れて!」


「何故だ?」


「いいから、早く!」


エルザの声と共に扉が開き、少年が入って来た。


私は朱雀の存在がバレないように隠そうとした。

「落ちこぼれ姫」と言われるメルリアーネが朱雀と契約していることを他の王族や貴族達に知られるのは、今後の立場が予測できない現状では避けたい。


朱雀は不思議そうにしたものの、私に従って姿を消した。いや、私の中に入っていったわね。


まあ今はそれどころでは無いし、朱雀の姿を見られていないかを心配しましょう。

…入室許可を待たずに淑女の部屋に入って来たのはどうなのかしらね、それもまだ食事時に。


「お初にお目にかかります、ガルウィス王国アルロスト公爵が一子、レイモンド・ノエル・アルロストと申します。貴女がメルリアーネ・エラ・サーフィリアス王女殿下でいらっしゃいますね。」


「ええ、お会いできて嬉しいわ。わたくし、食事中でしたの。申し訳ないのですが少々待っていてくださいますか?」


「構いません。こちらこそお食事を邪魔してしまったようで申し訳ありません。」


第二印象はそこそこね。

許可も得たことだし、食事をしつつ彼の情報を整理して置きましょう。


レイモンド・ノエル・アルロスト。

ガルウィス国王の臣籍降下した弟とノーセルム国王の姉の間に生まれた嫡男で、6歳の時に玄武と契約する。

両王家には王女がいない為王族に取り込めず、反王族派閥の御輿になりかねないことから国の中枢から遠ざけられる。

次期公爵という立場から他国への影響を強め、かつ次代以降の弱体化を狙い、王族でありながら魔力の無いメルリアーネと政略的な婚約をしている。


レイモンドは自身が国の中枢に近づけず、かと言って家を出ることは彼の血筋と力を理由に阻まれることを憂い、身分を隠して“レイ”の名で冒険者をして現実逃避をしている。

そんな彼の影の部分と、黒髪紫眼という容姿からか「影の王子」という渾名で呼ばれていた。

同じく攻略対象で「光の王子」と呼ばれた第二王子と並んで二大ヒーローだった。


ゲームの設定はそのようなものだったはずね。

丁度食事も終わったことだし、一度エルザを呼んで片してもらいましょう。


そう思ってベルに手を伸ばすと、遮るようにレイモンドが話し出した。


「王女殿下、僕の相棒を紹介させてください。玄武、出て来てください。」


「…儂は玄武と呼ばれるものじゃ。メルリアーネと言ったか、おぬしとも長い付き合いになるじゃろうて。宜しゅうな。」


「お会いできて光栄です、玄武。よろしくお願い致しますわ。」


確かに玄武の紹介は人がいてはできないわね。

四神の力や威圧への耐性が無ければ体調を崩すと言われているし、何より他国で精霊を顕現させることは武力を奮うと取られることもある。

人目を避けるのは妥当ね。


それにしてもこのタイミング、唯の紹介か別の意図があるのか…まさか朱雀を見られた!?


「僕はこの通り玄武と契約していますが、本国やノーセルム王国では歓迎されていません。王女殿下のこの国でのお立場も悪くなってしまうでしょう。」


見られてはいなかったようね。ひとまず安心したわ。


「貴方の事情は聞いていますわ。わたくしの立場でしたら気にしなくての良いのです、婚約者の有無では大した扱いの差はありませんもの。」


今もまともに王女扱いをする人物の方が少ないのよ。

これ以上悪くなるとしたら城から放り出されるくらいでしょう。

わざわざ殺す程の理由は無い筈だから、野垂れ死しなければ生きては居られるでしょうしね。


「そうですか…。では、はっきりと言います。僕には想いを寄せている人がいます。ですから貴女と結婚する気はありません。」


「…はあ?」


いきなり何を言い出すのかしら?

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