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偽の勇者レンとダウナー勇者レンの冒険記  作者: 中田 虎之介(旧Rago)
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第一章「終わり良ければ全てよし。ただし待つのは後始末」

本当は元旦に上げたかった今日この頃。

第一章「終わり良ければ全てよし。ただし待つのは後始末」


ゲデルが見たのは、圧倒だった。燃やし、凍らせ、風の力で氷を切り刻む。たった三振りで恐らく強敵だったであろう未確認トロールを倒したのだ。

ただし、アレを倒したと言って良いのかは置いておく。明らかに一方的過ぎた感は否めないからだ。

と、それがゲデルの方へと向かって来る。両手が切断され、身体中もナタのせいで弾け飛んだ石が大量に突き刺さっている為、皮膚がズタズタとなりもはや動けない。

ゲデルはジッと、レンを見つめる。眼差しは先程までの頼りない腑抜けた顔とは違い、怠惰そうに大欠伸をする程に図々しい顔だと思えてしまう。

明らかに様子がおかしい。そう思わざるが得ない。

「おーい、生きているかジジィ。しぶとく生きてんならこーえあげろー」

「……き、貴様。死にかけ、た老人に……対しての、台詞じゃ……ないじゃろ」

流石にキレかける。ゲデルの怪我の具合を見れば、生きている方が不思議なぐらいだと思うだろうが、このレンはそう思わなかったらしい。

わざわざ声を上げさせようとさせる辺り、会話が出来る範囲でなら大丈夫と思ってそう言ったんだろう。

いや、そうであって欲しいとゲデルは多少の良心を信じた。

「ケッ、カサカサ動き回るゴキブリと歳食ったジジィ程にしぶといモンはねぇからな。一応は会話出来る程の元気はあるだろうと思っていたが、やっぱそうだったな」

前言撤回。このレンには良心のカケラもないと感じた。

ゴキブリたる生物はゲデルには分からないが、響きから碌な生物では無いと想像に容易い。

「貴様には……良心と言うのが、無い……のか」

命を削りながら、言葉を絞り出す。死にかけているのには変わりない為、朦朧とした意識の中で繋ぎ止めながら会話をするしか無い。

「ハッキリと言って無いな。もう一人の俺ならあるだろうが、こっちの俺にはそんな余計なモン、とっくの昔にゴミと一緒に捨てたわ。と言うか、聞き取りづらい」

マイペースとはこの事だろう。少しの遠慮も見当たらない。

「良心のカケラも無い俺だが、会話が聞き取りづらいと少し鬱憤が溜まる。だから俺の都合だが、少し痛みだけは和らげてやる」

そう言うと、分厚い本を何処からか取り出す。ページをめくって目当てのカードを抜くと、カードを上に投げる。

「キュウ・ドクタ式医療魔導型AI搭載アンドロイド。セイハ・ナンバーズその九十九、キュウキュウ・ナース」

すると、カードが光り出す。

空間が歪み、最初に出て来たのは、十字架が貼られた棺桶だった。

ゲデルが呆然とする中で、更に歪んだ空間の奥から出て来たのは、人間だった。

それは、少女だ。真っ白な膝の辺りまで伸びたスカートを身に付け、飾り気のないこれまた白い服装に身を包み、赤い十字架の付いた帽子を身に付けている。閉じていた眼がゆっくり開き、金髪のツインテールを揺らしながら、それは声を上げた。

『はーい、呼ばれたなら即参上! 皆んなの天使、ヴィンカちゃんでーす』

辺りが静まり返る。普通の人間とは思えない雑音みたいな声音にではなく、服装に似合わいテンションでピースを決めながら謎のポーズをかました事についでである。

生憎こちらのレンは見慣れているようで、悪態を付きながらボソッと呟く。

「天使じゃなくて悪魔だけどな」

『あ! ひっどーい! か弱い乙女の心に傷を負わせるなんて! 本当に死にかけた時に笑いながら指してやるから覚悟しておけよ』

泣き真似をしつつ、表情無にして不穏な台詞が聞こえた。

またこれか……。と言わんばかりに嫌気増した顔を見せ、地面に向けて唾をはく。

慣れている気配。と言うよりも、鬱陶しいと思っているのが見ていて分かる仕草に少女が舌打ちを鳴らし、最初の様な異様に高いテンションではなく、ため息を交えながらレンに尋ねる。

『それで、今回の患者はどの人?』

「そこに居るだろうが。お前の目はただの飾りか?」

ぶっきらぼうに答えるレン。今度は少女が地面に唾をはく仕草を見せ、患者に目を向ける。

すると、今までの不機嫌そうな顔から一転。見事にキラッキラと目を光らせるながら、心境を露わにした。

『うわぁ! なんてなんて、痛々しそうで見応えのある患者なんでしょう! 出血量やショックでその場で死んでもおかしくなかっただろうに、生きている方が地獄だったろうに、痩せ我慢して生きているのって、考えただけで愉悦に浸れるわ』

患者と言っている割に、今出ていた言葉の中に微塵たりとも患者を想いやる心は見えやしない。

「この場には……、ワシを気遣う……奴は、居ないのか……!」

死にかけた声でツッコミを入れるゲデル。見兼ねたレンはボリボリと頭を掻きながら、少女の頭を一髪叩く。

「ヴィンカ、お前の性癖なんか既に聞き飽きた。お前をここに呼んだ理由は見れば分かるだろ」

ヴィンカと呼ばれた少女は叩かれた場所を抑えつつ、睨み付けながらレンへと振り向く。

『チッ、分かったよぅ。もう少し苦しむ様を楽しみたかったけど仕方ないね』

何が仕方ないのかは気にしない事にする。

ゲデルも、彼女がどんな人間なのかを理解したようで、コイツで大丈夫なのかと疑いの目をレンへと向けていた。

『(うわぁ、王国に居た回復魔法士や下町の医者よりも趣味が悪い人だ)』

よりも、と言うからにはコレに行かずとも性格悪い医者を見てきたようでるが、流石にヴィンカには負けた様である。

セイヴァーのレンはセイバーのレンが引きつりながら呟いたのが聞こえていたので、十字架を開けて中から色々な道具を出しているヴィンカを横目に、小声ながら説明を始める。

「だろうな。アイツは、ヴィンテイジ・カルマ・カーマインはかつて医者でありながら重症患者を弄ぶ事を趣味としていた最悪のサドヒスト。だがその腕は確かで、切断した腕は繋げられ、原因不明のウィルスであればすぐに抗生剤を作れる天才だ。あの性格さえ無ければ本当の天使になれただろうが、アイツは自己欲求の主張が激しいただの悪魔だ」

『何か言いましたか? 場合によっては数日苦しみながら死ねる毒薬を開発したのでその実験台にして上げても良いのですけど?』

小声で説明した筈なのに、何故かバレてる。

そうしている間にも、ヴィンカは十字架を中心に銀色の板を出したり、それをゲデルの背後や側面に立て掛けて、棺桶の横を開くと、ロープみたいな細長い何かを伸ばす。先端には突起物があり、そして突起物の下部には謎の引き金が備わっていた。

引き金を引くと、先端から横に長い赤い光が地面を照らし出す。

『はーい、失明したくなければ目を閉じてくださーい。割とこのレーザー、直接見ると確実に目を焼いてしまいますので』

そんなモノを何故こちらに向ける⁉︎ とゲデルが叫ぼうとする前に有無を言わせず赤い光をゲデルに向けた。

ゲデルは咄嗟に目を瞑った。閉じていても光が目蓋を通して微かに見えてしまっているので、実際に見ればどれだけ眩しいかが想像するに容易かったので、このまま言いつけ通りに大人しくする。

しばらくすると赤い光の照射が止まり、目を開けるゲデル。ヴィンカは黒い板を片手に引きつった顔で見つめていると、他の黒い板を手に取り、棺桶の表面に貼り付け始めた。

するとヴィンカが棺桶の中から一本の杖を取り出す。先端にある球体を地面に叩きつけると、ゲデルの足元に星の形が形成される。

何事かと思ったが、ヴィンカがボソボソと何かを唱えているのを見て、それが魔術の発動呪文である事に気付く。

呪文を終えた途端、身体中からある程度の痛みが無くなった。

それと同時にヴィンカは細長く、先端に針の付いた物体を取り出す。

ゲデルの切り裂かれた腕の根本に突き刺すと、何かを体の中に入れる。更にもう一本取り出しては、もう片方の無くなった腕の根本に刺して体内に何かを注入した。

最初は痛みが走ったが、時間が経つにつれ、徐々に腕からの痛みが一切無くなる。

何が起きたのかと尋ねる前に、諦めたような口調でヴィンカは語り始めた。

『あー、ダメですねコレ。一応は回復魔法で喋れるぐらいに回復はさせました。が、全身が複雑骨折しています。コレを全て元通りにするには手術で数日必要な上にこんな森の中ではなくて専用の医療施設でなければ難しいでしょう。おまけに肋骨が幾つか緩く肺に刺さっているので、下手に動かせば隙間が出来てしまい、呼吸が漏れてしまいます。もちろんそんな事になれば全身に酸素が行き届かなくなってしまい、最悪死にます。精々接断面に麻酔をかけて痛みを感じさせなくするのが精一杯です』

長々と淡々と述べる。

先程までのふざけた様子は見せず、黒色とは違う別の板を取り出し、指で表面を弄りながら難しい表情を見せる。

言っている意味はセイバーのレンやゲデルには理解出来ない。だが、助からないとだけは理解出来た。

『(そんな! どうにか出来ないの⁉︎)』

中からレンが叫ぶ。

あくまでレン・セイヴァーの中からなので、外部に漏れる筈がない。のだが、ヴィンカはレンを見つめながら、諭すように口を開く。

『医者は神様ではありませんよー。魔術を使っても、化学を使っても、どうしようも出来ない理不尽と言うのは沢山あります。ですので、今出来る事はしっかりとやり、出来ない事についてはキッパリと諦める。少しでも延命させるのが、医者の務めだからねー。望みでもあればまだ別だけど、今回ばかりは無茶難題だよ』

まるで聞こえていたっぽい語り。

セイヴァーのレンは小さく「もしかしてコイツの声が聞こえてんのか?」と若干の動揺を見せる。

っと、死の宣告をされたゲデルが首を横に振り始めた。

「良い、どうせくたばるまであと少しだった身じゃ。生き卑しむのではなく、死が近くまで待ち受けておるのなら、潔く受け入れよう。むしろ痛みを無くしてくれた事に関しては感謝しかない」

自分自身の死期については既に受け入れているらしく、今までの苦に満ちたかおではなく、憑き物が落ちたような顔を見せる。

「貴様は、一体何者じゃ。先程までの小僧とは違い、主は明らかに戦闘慣れしておるどころか、それだけで世界の軍事バランスが崩壊しかねぬ武器まで持っておる」

不意に尋ねる。

レン・セイヴァーは少し考え込むと、悩みに悩んだ挙句、ようやく答えた。

「まぁ、どうせ死ぬんだ。ここで名乗った程度で、この世界に名前なんて轟かんだろう」

冥土の土産だ。と口遊み、肩の力を抜きつつその目を細くする。

「レン・セイヴァー。とある目的の為に世界を渡り歩く、イレギュラーだ」

ただの紹介。なのだが、何処かその言葉に重みが感じられる。

一体何を見てきて、何を感じて来たのかはゲデルには分からない。しかし、伊達に三百年近くを生きているだけあり、目付きだけで彼の強さを察してしまう。

死に掛けを前にして、何も思っていない。このレンは、レン・セイヴァーは同情すら無いのだ。

悲しむ訳でもなく、嘆く訳でもなく、馬鹿に見ている訳でもなければ、楽しんでいる訳でも無い。

それだけで、死と言う恐怖から既に脱却しているのが判ってしまう。ゲデルは少しながら、このレン・セイヴァーに恐怖を感じてしまった。

……が、そんな空気を壊す声が一つ。

『あ、ついでにレン様にも一つ!』

ヴィンカが思い出したかのように懐から先程よりも巨大な先端に針の付いた物体、注射器を取り出すと、レンの腕に突き刺す。

先端だけ同じサイズなのだが、巨大な分安定しない状態で注射をされるのだ。その痛みは、絶叫を上げる程だ。

「いでぇ⁉︎ 何しやがるヴィンテイジ‼︎」

何かしらの薬を注入されたようだが、それにしては大袈裟過ぎる上に冗談にしてはタチが悪い。

怒りに任せたがあまり、つい本名で怒鳴り付ける。

『その名では呼ばないでー。可愛くないから、ねー』

可愛らしく言うが、眼が全く笑っていない。

ハイライトが家出したような目でジーッとレンを見つめると、全く動じないので諦めたのか? 気を取り直してと呟きながら表情を戻す。

『レン様が最初にセイハ・ナンバーズを出した時にね、一緒に出て行ったナンバーズが居てねー。それから連絡が来ていて、黒いモヤの物質がある程度解析出来たからその抗生物質を数時間の間で完成させたから、それを注入しただけだよー』

簡単に言ってくれるが、セイヴァーのレンからしてみたら冗談じゃない! と荒れに荒れる。

「一体誰だ⁉︎ そのナンバーズは‼︎」

そんな様子をご満悦そうにヴィンカが見つめているが、更に笑顔を見せた上で答える。

『えっとね、コロン君』

レンが固まる。

少し上の空で考え事をしつつ、頭を抱えるが如く手で目を覆い隠す。すると背後から、これまた雑音が混ざったような声音が聞こえて来た。

『やーっと見つけたワン!』

向かっていていたそれは、灰色の犬だった。

ただし背中に謎の巨大なバッグを背負い、目元にはーグルを装備し、尻尾の先に謎の装置と謎の銃口があると言った可笑しな物のオンパレード以外には、外見ただの犬だった。

そもそも喋っている時点で既におかしい話ではある。

『この森割と広いから、レーダー使っても例の黒いモヤのせいであまりハッキリと映らないし、途中でゴブリンやトレントが集団で襲ってくるしで最悪だったワン!』

一体どうすり逃げ切ったのか……。とゲデルとセイバーのレンは思ってしまった。

尚、セイヴァーのレンは尻尾の銃口付近から微かに風景の揺らぎが生じているのを見て、何となく察した。

コイツ、普通に鉛玉使いやがった。と目元をヒク付かせながら悪態を吐きたくなるセイヴァーのレン。

「出てくるんだったら先に言ってくれねぇか? 探すのが面倒いからさ」

呆れ果てながら睨む。するとコロン君と呼ばれたそれは、鼻で笑う仕草を取りつつ気ままに返す。

『管理が甘いのがいけないワン。イッヌだって、森の中を走りたい年頃なんだワン! 窮屈な思いばかりしかさせないから、飼い主に愛想尽かされるのだワン』

恐らくこのレン・セイヴァー以上に自由な奴だとは聞いただけで分かる。

現にセイバーのレンは今まで自分を振り回していたセイヴァーのレンが逆に振り回されるのを見て、若干同情しているのだから心境は複雑だ。

『(えーっと、このワンちゃんは一体?)』

「イルガ・リアル式魔学遠隔偵察型AI搭載犬、セイハ・ナンバーズ。その三十五、KR―ケーアール エヌ。別名コロン君だ。元々は先行させて敵陣の中を走り回って情報を集め、可能であればバックパックに搭載された様々な工作道具で敵の侵攻を妨害させる為の兵器。なんだが、その搭乗知能者に難があって面倒くさがりの俺ですら頭を抱えてしまうって奴だ」

あ、面倒くさいのは自覚あったのね。とセイバーのレンは呟く。

「んで、勝手に出てきたのだから当然何かしらの収穫はあったんだろうな。スクラップにされたくなければさっさと吐け。次第では溶解炉の刑程度で済ませてやる」

『レン様ぁ。それ普通に許してないですよねー? ヴィンカちゃんもあそこだけは勘弁だから心を広くして許してあげてーよ』

煽っているのか宥めているのか分からないヴィンカの声はさておき、コロンが本題へと入る。

『結果的に言えば、あったワン。あの黒い靄、イッヌの測定器で見てみたのだけど、ただの物質では無かったワン。説明するとかなーり長くなるから簡単に言うけど、生物や植物を化け物に変える、ダークマターの一種だったワン。既に森が広範囲に渡って汚染されて、此処にいる生物以外が全滅しているけどワン』

本当に簡単な説明をするが、事は思っている以上に深刻だった。

「森が、既に汚染されとるだと?」

『言葉の意味、その通りだワン。あのダークマター、どうにも物質の分子構成から生物のゲノムまでズタズタに破壊して、化物に再構築する新手の嫌がらせ物質だワン。ゲデルの爺様やセイバーのレンなら抗体物質が体内で構成されていたからその変異に巻き込まずに済んだけど、他の連中や森の木々さんは見ての通り、化物と化しているワン。隕石はここにあるからすぐに破壊すればこれ以上の物質の発生は止められるだろうけど、発生した粒子が地道に拡大中だろうだワン。下手をすれば森そのものが怪物と化して、他の集落へ侵攻する怖れだってあるのだワン』

ぺかー。っと額から謎の光が出て、空中に画面が映写される。

「いや、待て。いつ血液採取をした。あの戦いの最中にはそんな暇は無かっただろ」

『ゲデルの爺様の血液を、途中で怪我した時に回収したのだワン。イッヌの技力を舐めてもらっては困るワン』

セイヴァーのレンが気になったところをツッコミを入れている横で、ヴィンカが映写された画面を見つめつつ、手元の板を同時に操作する。

『うわぁ、これって確実に仕組まれていますよね? この抗生物質、恐らく勇者の仲間となり得る人物が持つべき物質なのが見て分かるよー。これ、知らずに旅をしていたら物質を浴びた途端に抗体を持たない仲間が敵になるかも知れない系の、疑心暗鬼の種だねー』

引きつりつつも、途中から楽しそうに述べるヴィンカ。

ゲデルは黙り込む。逃れる事の出来ない死の運命が告げられ、また護り通してきた森すらも既に汚染されて護る価値が無くなった。

「……ならば、運命を共にするしかあるまい。レン・セイヴァーと言ったか、主が持つ道具の中で、この森を全て燃やし尽くせる道具はないか?」

ゲデルの腹は固まった。もはや助からない命。ならばせめて、護り通した物と共にしようではないか。

「ほぅ、良いんだな? やるからには徹底的に焼き尽くすし、お前が運命を共にするとなれば、下手すれば恐ろしく苦しみながら死ぬ羽目になるんだが、それでも良いんだな?」

あるにはある。だが、下手をすれば最悪の苦しみを味わいながら死ぬ。。

『(そ、そんな⁉︎ ゲデルさんごと森を燃やすなんて……‼︎)』

中からセイバーのレンが絶叫する。セイヴァーのレンは、これから言うであろうセリフを予測し、先に言い切る。

「止めてやるな、中の俺。奴は森と共に死ぬ事を選んだ。救おうとすれば、それこそ奴に対しての侮辱になる。死に場所ぐらい、選ばせてやれ」

セイバーのレンは、更に声が震える。

『(僕が、未熟だったから? 僕がもう少し戦えれば、ゲデルさんはこうして死ぬ事も無かった?)』

「違うな。森がこうなってしまっている以上、既に手遅れだったんだ。例え無傷でここまで居たにしても、ジジィは森と心中する気だっただろう。覚えておけ、レン・セイバー。決意を持った人間とは、そう言う奴だ。森の守護者となった時から、死に場所は森だと最初から選んでいたのだろうな」

生き様とは、そう言う物だ。

他人がどうこう口出ししようとも、最後を飾る美は、己が決める。決して他人からは理解されなくても、自分が良ければそれで良いのだ。

『(……納得は出来ない。けれど、ゲデルさんが望むなら、僕如きが口出ししてはダメなのは分かるよ。だから、最後に会話だけさせて)』

セイヴァーのレンが考え込み、仕方ないと呟く。

中に押し込められたレン・セイバーの人格が、浮上するように現れる。今までの面倒くさそうな表情とは違い、顔には哀愁が漂っていた。

「ゲデルさん……」

短い関わりだったのに、その声は震えていた。

「その気の弱そうな声は、坊主の方か。正直悪かった」

ゲデルは気付いていた。この少年は、優しいのだ。優しいからこそ、嫌とは言えず、ただ流されるがままに流されてしまう。

一方的に相手に非があっても、その心境を考えると同情してしまう。そんな人間など、利用されるに決まっている。

「ワシは、焦っておったのかも知れぬ。仲間を失い、妻を失い、途方に暮れていた。食糧の貯蓄も底をつき始め、妻との約束を守れぬまま死んで行くのかと、焦りを感じておった。恨むなら恨んでくれ。罵倒する権利は、主にはある」

自らが利用したのだ。それから逃げる選択肢は無い。

白状して本音を語った。にも関わらず、レンは確かに疲れ果てたような笑みを浮かべながら、否定する。

「いいや、そんなつもりはありません。確かに僕は貴方の都合に巻き込まれ、怖い思いをしてきました。ですが、僕は改めて知ったのです。結局僕程度では何も守れず、誰の役にも立てないと。それに気付いただけでも、貴方に付いて行った意味があると思いました」

ネガティブが過ぎる。

ゲデルもセイヴァーのレンも、このレンが持つ危うさを感じ取ってしまった

「それは……っ! それは違う、いいや違う‼︎」

つい感情的に叫んでしまう。

自らの息子と喧嘩した時以来に、ゲデルは込み上げてくる感情を大いに飛ばした。

「己の価値を下に見るな! 他人が付けた価値なぞ、毛程の価値すらない! お主にどんな過去があったのかは分からん。だが、主は主だ! 誰の役にも立つ義理なんぞ何処にもない! 主は主の道を行け‼︎ 偽りの勇者なんぞ呼ばれようが、客観的な肩書きに振り回されるでないぞ! ワシから見れば、主は一人でトロールを倒した、立派な勇気を持った者。勇者じゃ!」

ポカーンと仰反るセイバーのレン。しかしすぐに表情が変わる。

「……今のコイツに理解は出来ないだろう。恐らく経験が多すぎて、何が正しくて何が間違っているかなんてのが全く理解出来ていない。足りなすぎるのはもちろん問題だ。だが有り過ぎると、迷いが生じる。だからこれから沢山の迷いを経験して行くだろう。その時にどう思うのか、コイツの成長次第だ」

聞いていたゲデルは、更にこのレンが分からなくなる。どうしてここまで語れるまで悟りを開いているのに、もう一人のレンを助けないかと。

だから、あえて口にしてみた。

「任せられるか? 小僧の中に居る主に」

「ふざけんな。俺は子守役でもなければ正義感の強い自意識過剰野郎でもない。勝手な役割押し付けんじゃねぇよ、クソジジィ」

ざっくりと言葉の剣でぶった斬る。

少しでも淡い期待を持ったワシが馬鹿じゃったの。とばかりに呆れ果てる。

『はてさて、最後のお喋りは終わったワン?』

置いてけぼりにされていたコロンが会話に割り入る。つい熱中し過ぎていたが、もう悔いは無い。

「あぁ、良い。主らのこれからの旅路、あの世から見させてもらう。。決して悔いの無い旅をするが良い、小僧」

それだけを言うと、ゲデルは目を瞑る。これ以上、語る事はないと言わんばかりに。

『(……さようなら、ゲデルさん)』

それは聞こえない「さよなら」の言葉。だが不思議とゲデルは静かに、その首を微かに頷いた。

『じゃ、湿っぽい話と長々とした話はここまでだワン。それとゲデルの爺様。これ、忘れ形見だワン』

急にコロンのバッグが開き、ニョキッと巨大な腕が現れる。

掴まれていたのは、一体のゴブドワーフの死体だった。喉元に矢が刺さった形跡があり、ゲデルはそれが何なのかをすぐに理解した。

「そ、そのゴブリンは!」

醜くなっても、決して忘れる事の無い肝っ玉の大きい女性ドワーフ。その後ろ姿が幻影として見える。

抱き抱える事は出来ないからと、コロンはそのゴブドワーフをゲデルの腹の上に置いた。

『死んでも同情はされないだろうだワン。けど、最期ぐらい理想とは言えないが、現状の中ではマトモな死に方ぐらいはさせるワンよ』

『なんだかんだ言って、コロン君も甘いよねー、今までの茶番劇見ていたけど、最後は悔いある死に方の方がヴィンカちゃん的には面白かったのになー』

今までの様子を黙って見ていた挙句、ヤジまで飛ばす外道の事はさて置いて、呆れ果てながらセイヴァーのレンは一冊の分厚い本を取り出しながらその様子を見ていた。

「ったく、物好きな奴だ。だが、これで茶番は終わった。後は願い通り、この森に蔓延るダークマターを燃やし尽くせば良いんだな。ならば、これを使おう」

カードを出し、先ずは必要の無くなったヴィンカの前に差し出すと、空間が捻れヴィンカが十字架の棺桶ごと中へ入る。

『ばーい。また治療が必要な患者が居たらすぐに呼んでねー』

手をヒラヒラさせながら、ヴィンカは消え去った。

そして別のカードを取り出し、再度目の前の空間が捻じ曲がる。

「アルマ・ロウグ式魔学混合型セイハ・ナンバーズ。その百五十七。広範囲延焼爆弾、DNCダイナマイト・ナパーム・クラスター

出てきたのは、レンの背丈程ある巨大な円状の箱だった。

白銀に輝くそれは、真ん中に黒い板が貼り付けてあり、レンがそれに触れると光を放つ。

手慣れた手付きで光る板を弄りながら、何やら作業をしていた。時には指で弾き、時に板をトントンと叩きつつ、レンは無言でそれと向き合う。

しばらくして、光る板に数字が浮かび上がる。レンは肩の力を抜きつつ、指を口元に当てた。

「設置完了。後は時限だが、そこの駄犬使えば空から逃げれるし、三百秒で良いか」

『ちょいと待つワン。駄犬ってもしかしてイッヌの事かワン? テメェの脳天に、足先に仕組んでいるパイルバンカー放ってやろうかワン』

コロンが怒りを露わにするが、レンは気にせず操作する。

すると、画面一杯に数字が表示された。一刻一刻と数が減って行き、それにつられ音もカチッ、カチッ……と、時計の針を思わせる音が響く。

「さてと、駄犬。五分で森の外まで離脱だ。巻き込まれたくなければさっさと飛ぶ準備でもしろ」

セイヴァーのレンがコロンを蹴り飛ばす。

つい苛立ちを覚え尻尾の照準をレンへと向けるコロンだが、DNCへと視線を向けるなり尻尾を下げた。

『はいよはいよ、だワン。両足からブースター点火! 取手を腹から出すから、飛んだと同時に掴めだワン! 掴み損ねたら置いて行くワン‼︎』

叫びが上がると同時に、コロンの足から炎が吹き出る。おまけと言わんばかりに背中のバッグから二本の回転する刃のような何かが出てくると、回り始める。

するとコロンが浮いた。上へ上へ飛んで行く前に、レンは腹部にあった持ち手を握り締めると、炎の巻き添えを食らわないようにコロンの足を無理矢理斜めへと持っていく。

斜め方向へ上昇しながら、ゲデルの姿が見えている間に、叫びを上げた。

「さらばだ、ジジィ! 決して善人だとは思ってねぇがアンタの事は割と気に入ったから、忘れはしねぇぞ!」

そうして姿が小さくなって行き、ついには見えなくなる。

あまりに濃過ぎる出来事にしばらく唖然となりながらも、彼なりの敬意だろうと決め付けて呆れ果てるゲデル。

そうしている間に、時間が二十秒を切った。

「……ったく、あそこまで威勢の良いガキは久々じゃったな。のぅ、ザメル。ワシは反抗期のジゼルを思い出してしもうたわい。死ぬのは受け入れておるが、ジゼルの事だけは気掛かりじゃ。元気でやっておくれ、我が息子よ。そしてこれからの旅に幸あれ、レン・セイバー。悪意に、負けるでない……ぞ」

言い終えたと同時に、銀色の箱に付いていた光る板に浮かび上がっていたカウントダウンがゼロとなる。

瞬間、それが爆発を起こした。しかし爆発の規模は案外小さい。

そう思っていたのだが、よく見れば黒い鉄球のような何かが、辺り一帯へと飛んで行くのが見えた。

数までは数える暇が無かったが、少なくとも森の彼方此方へはばら撒かれた。

すると再び爆発が起こる。今度も黒い鉄球のような何かがばら撒かれ、気が付けば自分の近くにもそれが落ちてきた。

今度は三度目の爆発。黒い鉄球を再びばら撒く。三度目の爆発で元から置いてあった巨大な爆弾は弾け飛び、周囲に黒い鉄球と残骸を飛ばす。

それが一体何なのかは分からない。けれど、雰囲気からして決して触れてはならないモノだとは分かる。

っと、黒い鉄球が浮かび上がる。赤い線が、黒い鉄球を中心として広がった。それはエルフ等で見た事のある、魔法陣というモノだろう。

この森全てにそれが展開されているのだとすれば、これが凄まじい爆発を生むのか? なんてゲデルは考えた。

ピッ。っと、謎の音が響く。それを最後に、ゲデルの意識は吹き飛んだ。

微かに焼き尽くす程の炎と破壊を持った熱が見えたのだが、明らかに巨大だった黒い靄を発生させていた隕石が簡単に粉砕されたのがほんの少しだけ見えたのだが、死んでしまえばそんなモノ、何も気にも感じもする事は無かった。


   ♰          ♰


セイバーのレンは、その光景を空から見ていた。

黒い鉄球が、爆弾を中心に弾け飛び、散らされたと思った矢先、森の至る所で大爆発が起こっていた。

それも鉱山などで使用する爆弾の比ではない。たった数センチの鉄球が、数百本もの森の木々を吹き飛ばしては延焼させ、既にその光景は地獄絵図そのものだ。

挙句、炎に包まれた渦が森の至る所で発生し、巻き込まれたであろうゴブリンの黒焦げた死体が、空高く舞い上がっては地上へ落下すると言う光景さえも目に入ってしまった

『(なに、これ)』

愕然とその光景をセイヴァーのレン越しに見てしまう。

辺りの木々を問答無用で燃やし、時々トレントの叫び声が混じる。

更に爆発から難を逃れたであろうゴブリンが一安心したかと思いきや、突然苦しみ出し、彼方此方で倒れる。何とか意識を保つゴブリンも居るようだが、慈悲無き炎の竜巻に飲まれてしまい上空で全身大火傷を負ったまま、地面へと落下する。

落ちて行ったゴブリンの惨劇は、想像に容易かった。

『(ここまで燃やせとは、ゲデルさんも思っていなかったよ)』

「だから言っただろう。ダイナマイト・ナパーム・クラスターだと。文字通りダイナマイトの様な破壊力を持ち、ナパームの様に周辺の酸素を瞬間的に燃やして、クラスター爆弾の様に広範囲へ散らす。対移動要塞専用に作った、少なくとも世界次第では条約で使用が徹底的に禁じられる、慈悲無き爆弾だ」

簡単に答えるが、要は非人道的兵器だ。

『元々は地面に埋めてから使うモノなんだけど、今回はその必要なかったから、割と楽に使えたワン。空気中の酸素を瞬間的に燃やすから、そこに周辺の酸素が流れ込むから火災旋風が起こる二次災害付きなのがまたタチの悪さが際立つワン!』

正に最悪の一石二鳥だ。

二次災害が確定で起こる兵器など、悪意の塊でしか無い。飛ぶ奇怪犬と図々しく頭おかしい男は平然としているのだが、一応常識はあるレン・セイバーは穏やかでは無かった。

苦しむと言っていた意味がよく分かった。要は下手すれば呼吸出来ずに苦しみながら死ぬ。そして下手に意識があろうなら火災旋風によって燃やされながら吹き飛ばされる。

ただの悪夢だ。

『(ねぇ、二度とこんなモノ使わないで。いや、今回は状況的にそうならざるが得なかったのは分かるけど、コレって生命に対する侮辱になるから)』

轟々と燃え上がる森の上空を飛びながら、改めて有り過ぎる力がどれ程録でも無いのかを、初めて実感したのであった。


   ♰          ♰


その少女は、森へと入ろうとしていた。

エメラルドグリーンの瞳と、それと同じ様な髪色。綺麗な髪は腰の辺りまで伸びており、先っぽに行くにつれ色素が薄くなっている。

エルフと呼ばれる種族だ。簡単な作りの服に身を包み腰には鞘に入ったリーチの長い剣、ロングソードが差してある。

しかし、エルフ特有の長い耳ではない。人と同じ、マルっとした耳だ。

だがこれでもエルフだと本人は言う。自然種から生まれた、ナチュラルエルフだと。

変異に気付いたのは、ほんの数日前だ。この星の彼方此方に黒い靄が発生する隕石が降ってきたとは噂としては聞いていた。

だが、たまたま旅をしている途中でその気配に気付いたのは偶然だった。

嫌な気配がする。その感を頼りに、エルフはこの森を訪ねた。

その実態を確かめるべく、森へと足を運ぼうとした。

しかし、それは刹那に起こる。

爆発音が聞こえた。最初はゴブリンが爆弾を誤爆させたのだろうと思ったのだが、直後に何十発も連続で起きたのなら、疑いようの無い意図的な爆発だ。

少女エルフは危険を察知し、すぐに撤退した。

しばらく走り、開けた場所へ辿り着く。すると足元に星が描かれた円形の陣が現れた。

「風の精霊よ、異変を確認すべく力を貸して!」

すると足元から風が集まり始める。その直後、体が浮いた。

風は手足の先に纏わり付くと、そこから竜巻が発生する。ゆらゆらと揺れる体を調節しながら、上昇を始めた。

ある程度飛んだところで、上昇を止める。

何があったのかと遠目を向けると、そこは正に地獄絵図だと叫びを上げた。

森は激しく燃え上がり、その所々では炎を纏った竜巻が起こる。ゴブリンが黒焦げのまま飛び上がっては、落ちて原型がグチャグチャになる光景に、言葉を。失った。

並大抵の出来事は慣れたつもりでいた。しかし、コレは何だ。森に火を放った程度で、ここまでの災害は起きる筈が無い。

「いや、考えるのは後よ。今はこの火を消さないと!」

エルフは片方の手から風を止めさせ、代わりに魔法陣がその手から現れる。

「水の精霊よ! 森を苦しめるあの炎を消して‼︎」

すると何処からともなく、雨雲が発生。大量の雨が、森一帯に降り注いだ。

雨を降らせる魔術は制御が難しく、神経を全て展開している腕に集中させないとすぐに止んでしまう。

更に風の力で飛んでいるのもあり、こちらも少しでも気を抜けば真っ逆さまで地面と同化してしまいかねない。

ある程度の魔術師だったら、このエルフが相当魔術に長けているかが嫌でも分かる。高等魔術を二つ同時に扱うなど、両手で均等に縫い物をするぐらいに難しい。

エルフは口に入った汗の味など分からない程に、神経を集中させる。森の危機はエルフの危機。自然と共存する種族は、自然の危機ともなれば命を捨ててでも救おうとするのだ。

これまで山火事はこの手で消して来たこのエルフは、今出来る最善の方法を行っていた。土砂降りとも言える雨を前に、炎は消し去っていたのだから。

そう言った経験から、この手を使った。それに間違いは無い。

見誤っていたとするならばそれがただの炎ではなく、魔術で更に温度が上がったせいで二千度以上にも達する業火にも等しい温度だったと言うだけだ。

至る所から蒸気が上がる。だがそれは消えている証拠では無い。むしろ火の気は更に大きくなり、森を炎の海へと浸食を早めてしまった。

「う、嘘でしょ⁉︎」

驚きを隠せないエルフ。何故水を掛けたのに火の手が止まらないのか、理解出来ない。

しかし分かっている事はある。このままここにいれば、いずれ炎がここまで来て、自分を焼き殺すのだと。

エルフは雨魔法を止め、急いでその場から離脱する。

「一体何故⁉︎ いや、原因はどうでも良いわ。それよりも、問題はあの炎を放った生物がいるって話よ!」

エルフは独りながら叫び出す。

それは森を燃やされた憎しみと、こんな力を持っている生物が居るとなると、魔王以上の危険な存在として認識したからだ。

「……ん?」

エルフはふと遠くを見る。豆粒程の影だったが、それが鳥ではなく何かに捕まっている人間であるのが分かった。

「人間風情が、エルフを超える魔術を使用した? あり得ない。だって人間は、エルフの足元程にしか魔術を解明していないのだから」

そう納得させようとするも、そもそも何故飛んでいるのかに引っかかってしまう。

確認しようにも猛スピードで離れて行く為、気が付けば人間さえも形が見えなくなってしまっていた。

「……あの方角、確か村があった筈よね? もしかしたら、そこに立ち寄るのかも知れないわ」

そうと決まれば、と言わんばかりにエルフはそれが飛んでいた方へと進路を変えた。

真下では火災の惨劇が現在進行形で起こっているが、今はどうする事も出来はしない。もしかすると、引き起こした犯人なのなら、消す方法を知っているかも知れない。

そんな憶測と、森を燃やした罰を受けさせる決意を平たい胸に刻み、エルフは見えた影を、レン・セイヴァーの後を追ったのであった。



第一章完。第二章へと続く。

考えてみれば、第一章って出て来たのショタとダウナーとオッサンしか活躍してねぇな。美少女? 花を簡単に出したらつまんないだろうが!(偏見)

と言う訳で、第一章はこれにて終了。説明や心理描写で文字を稼いだ感しかねぇが、もはや仕方ないと割り切るしかないネ。

これから成長するから(投げやり)


次回は早くて来週の水曜日。遅くて再来週の水曜日とします。

誤字脱字は遠慮無く言って下さいなー。

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