第14話 人類史とアダムとイブ
少年の死の運命が変わり他者の運命が連鎖的に変化していく・・・
少年が記憶を持っていたとしても、次の者が少年の記憶を持ち行動を知っているからこそ生き残れば必ず殺されていた運命が変化したのだ。
バタフライエフェクト、ある者は自身が消滅する運命を消去されあの場所に行かなくなった事から事故で死ぬ事は無くなった。
またある者は少年の死体から治療法の実験が行なわれ誰かを車で轢き殺す運命が変化した。
そして、たった一人焼死する者の運命は変化しない・・・
それでも流れは変化したのだ。
『本当人間って凄いよね、知ってる?人間って輪廻転生の事を知っているんだよ』
『確かに凄いね、でも曲解しているよねアレは?』
人で無いソレ達は宗教の教えが行なわれている場所を覗いて会話していた。
『アダムとイブ・・・知恵の実ね・・・』
『自分達がそうだとは想像もしないんだろうね』
ソレは空へと舞い上がり再び動き出した人類史を傍観し始める。
この世界のその瞬間に存在する70億を超える人間は実は2人しか居ない。
それが男であるアダムと女であるイブである。
死を迎えると時空を超えて別の誰かとして生まれ変わる、それがアダムとイブが口にした知恵の実と呼ばれているモノの作用。
時に自らを殺し、自らを罰し、自らを愛する・・・
ありとあらゆる変化を永遠とされる人類史の中で繰り返し行なわれるそれは時に今回の様なエラーを引き起こす。
『ホラ見てごらん、未来予知をしていると勘違いしている人間がまた居るよ』
『本当だ。自分が以前経験した運命を覚えているだけなのにね、それじゃあ今度こそ僕が1人で頑張ってみるよ』
『じゃ俺はまた傍観するだけに戻るね』
人間の可能性は無限大、それはそうだろう・・・
だって・・・
永遠に滅びるには完全に過去も未来も同時に全滅するしか無いのだ。
だがその運命すらもこの2つの存在が直してしまう。
今日もまた沢山のアダムとイブが死に沢山のアダムとイブが生まれる。
時にイレギュラーが現れ輪廻の輪がループする。
それは必然なのか偶然なのか、それを解消する2つの存在・・・
神は自らを模して人を作った。
これは人類が知る筈の無い2つの存在によって守られる人類史の物語・・・
それを守る2つの存在はきっと・・・
完
最後までお読み頂きありがとうございました。
輪廻転生、それの一つの仮説として昆布が考えた世界の理。
こういうのがもし真実だったら面白いですよね。
それではまた次回作でお会いしましょう。




