幸せ
僕たちは3年後に見るはずだった景色を見ている。そして僕は言う「好きだ。付き合って欲しい。」と。そして彼女は涙を流しながら、その反面嬉しそうに言う。「あと3年しか生きられないんだよ。」と。そして僕は言う。「その3年で幸せになろう。旅をしよう。沢山のものを見よう。今よりすごいことをしようよ。」と。そして一息ついたあと「僕は君を幸せにする。」と言った。
私は嬉しかった。幸せだった。これ以上ないくらいに。「私はね、この遠い星を墓標にしたいと思いたの。でもね私は決めた。あなたと旅をして、ここより綺麗な場所を墓標にしてやるんだって。だからほんの3年間だけど、3年間しかできないけど、一緒に旅をしよう。」最後の方は泣き出してしまってうまく言えなかった。彼はそっと頷いた。
僕たちはあの星へ来ることができた。あの星の光景は3年後見るはずだったものと変わらない。いま違うのは彼女が生きていること。そして僕たちは帰った。彼女は3年後に言うセリフとは真逆のセリフを言った。そのことがまた嬉しかった。
3年後僕たちはあのキャンプ場にいた。彼女の願いをあの夏休みに聞いたあのキャンプ場にだ。僕たちは2人で焚き火を囲んでいる。2人は寄り添いそして口を閉ざしている。
唐突に彼女が口を開く「私ね、後2日するかしないかぐらいで死ぬんだ。だからさ言い残したこととかない?あったら言っちゃいなよ?」彼女は微笑みながらそう話すがとても寂しげだった。僕は今まで話さなかったことを話すべきか迷っている。時間旅行をしてきたということをだ。「私ね、君と一緒に旅をできて幸せだった。死ぬのは怖いよ。でもねなんていうか口では言えないんだけど、こうさ?なんていうか、」彼女の言葉は僕の唇に遮られて続かなかった。
「僕はさ、時間旅行をしてきたんだ。」僕は彼女に語った。本当は今日、あの星へ行くはずだったこと。彼女がそこで息を引き取ること。そして僕は彼女が余命10年になることを知らなかったこと。「ごめんね。でもその時の自分に感謝しなきゃいけないのかもね。そのおかげでもっと幸せな日々だったんだからさ。」彼女はやはり微笑んでいる。
2人で囲む焚き火はあの星よりも綺麗だった。僕は彼女への誓いを果たせたのだろうか。果たせたのだろう、そう信じたい。
その翌朝、彼女は息を引き取っていた。死に顔はとても幸せそうだった。昨日立てた誓いを叶えることはできたらしい。そして泣いた。泣き続けた。親が迎えに来るまでずっと泣いていた。
20年後、僕の甥に「おじさんはどんな願いごとを叶えたの?」と聞かれた。そして僕は答えた「大好きな彼女を幸せにしたよ。」と。
読んでくださったみなさん、本当にありがとうございます。このお話はこれで終わりです。こんな稚拙な物語を読んでくださって感謝しかありません。
さて、このお話ですがこれから加筆修正をしようと思います。そんなもの投稿する前に終わらせろという話ですがそこは温かい目で流してください。もっと良い作品にしますので。(笑)
最後に、これ以外にも沢山のお話をこれからも書きます。僕の他の作品も読んでくださるととても嬉しいです。感想等お待ちしています。
それでは!