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叔父さん

家に着いた。僕は考える。彼女の願いを叶えるべきなのか。僕はどうすればいいのだろうか。瑞穂は13年で死ぬ。これが変えようのない事実だ。簡単な方法として彼女の余命を伸ばすという願いを叶えることはできる。しかしそれは正しいのか。そもそも一度願いを叶えた自分にそれはできるのか。彼女の願いは「あの星へ行きたい」それだけなのだ。死ぬ間際に彼女は「ありがとう、嬉しい」と言った。これは僕の告白に対する言葉なのか、星へ連れて行ったことに対する言葉なのか、せめてそれさえ分かれば、そんなことを思っているとピンポーンとインターホンが鳴ると同時に僕を呼ぶ声がした。この声はおじの声だ。

おじはインターホンを鳴らすなり家に入ってきた。僕は階下へと階段を下った。「どうしたの?おじさん。」僕はたずねる。「近くに来たから寄ったんだよ。それよりお前、瑞穂ちゃんと喧嘩したんだって?」おじはニタニタと笑いながら聞いてくる。やはり耳が早い。「女の子には優しくしろって教えなかったか?」彼は続ける。「違う、俺は瑞穂のためを思ったんだ。」僕は声を荒らげる。おじはすこし驚いたような反応をしながら「そうか。ならしっかり考えてやれよ?」といった。真面目な顔で、だ。「どんなことなんだ?話してみろ。」彼は続けて尋ねてきた。「具体的には言えないんだけどさ、夢と命、おじさんはどっちを取る?」と聞いた。「哲学的だな。」はははっと笑いながら「お前が何に悩んでるかは分からない。夢とか命とかそんな難しいことは分からない。けどさ、俺は毎日を幸せに過ごせること。これが一番大事だと思うんだよ。」そう言って彼は帰っていった。礼を言いそびれてしまった。

僕は決めた、瑞穂を幸せにしてやるのだ、と。

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