そして3年前へ
3年前のあの約束をした日に僕は戻ってきた。時間旅行は成功したらしい。
彼女が死んだ理由の整理もつかないままに僕は彼女の前に、放課後の教室にいる。
「あのね、今日君を呼んだ理由はね、3年後の今日、一緒に星へ行って欲しいからなの。」彼女は顔を赤らめながら言う。しかし僕は返す。「ダメだ。」と。
彼女は「分かった。無理を言ってごめんね。」と言い残し帰った。
1日後も2日後も彼女は教室にはおとづれなかった。
3日後の放課後、このままではなんの進展もないと思い立ち彼女の家へと向かった。
インターホンを押す、数秒後返事があった。名前を名乗ると彼女の母親が2階にある彼女の部屋に通してくれた。そこに彼女はいた。
彼女と目が合う、しかしなにも話せない、そのまま数十秒がたつ。彼女の方が先に痺れを切らして「何しに来たの。今更やめてよ。」と吐き捨てる。「君のためなんだ。」僕は言う。「何が私のためなの。教えてよ。」彼女はまくし立てる。「それは言えないんだ。」僕は言う。そうだ言うわけにいかない。それに信じても貰えないだろう。すると彼女は「じゃあお別れね。ばいばい。」と言う。僕はたまらず言う。「信じてくれ。君のため」しかしその僕の声をかき消すように「出て言って。」と彼女の声が響いた。とても静かでとても大きな声だった。
僕は階段を降りた。居間からなにか話し声が聞こえる。盗み聞きする趣味はないし帰ろうとする。しかし「寿命が13年....」という声が僕を引き止めた。ドアに耳をつける。そして聞き耳をたてる。
一通り盗み聞きしてしまった。僕は罪悪感を感じながら家を出た。
彼女の寿命はあと約13年。これが話の内容だ。彼女が死んだ理由、それは夢を叶えたことにより寿命がなくなったためだった。そして僕は彼女の夢を途絶えさせる。そんな残酷なことをしなければならないことを悟った。
翌日彼女は教室にいた。彼女の友達が彼女を心配して集まっている。僕もそんな彼女の友達の一人のはずだった。ただ彼女の余命が13年であることを知った今、「風邪で休んだ」という彼女の嘘を信じることはできない。
「君の夢を叶えたら君は死んでしまう。だからやめてくれ。」もし僕がこう言ったら彼女はどう反応するだろうか。無論起こるだろう。想像に容易い。しかしだ、僕は彼女に生きて欲しい。
そんなことを思っていると俺の背中はバンッと叩かれた。「痛ッ」と思い後ろを見ると親友の康太がいた。「なに思い詰めてるんだよ。お前らしくないぞ。」と言う。こいつとは高校で別れてから疎遠になったため俺はとても懐かしく思った。その感情が伝わったのか「なに眺めてるんだよ。気持ち悪いな。ほら瑞穂でも眺めてろよ。この間放課後の教室に呼ばれたんだろ。」「お前は単純でいいな。」俺は返す。そうかいそうかいと言いながら康太はどこかへ行った。あとで聞くと康太は部活の大会でここ4日間ほど学校に来ていなかったらしい。
「瑞穂」これが余命13年の彼女の名前だ。
僕は彼女の余命を使い果たさせる訳にはいかないのだ。これがたとえ僕のエゴだとしても、だ。