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4.ギルドマスター(1/2)

ここはあえて何も言いません。

(キャラの立場がどう転ぶか作者自身もそっちの方面ではまだ想像していないので)


そっちの方面は、もうお察しですよね……!?


ブクマして下さった方、感謝です!!


H.29 9.5

サシャの瞳の色について加筆

 ガルとフィールが共に受付に行くと彼達の目の前には、カウンターを挟んで立っていた女性の平均身長よりは低いだろう青みがかった黒色の毛並みをした猫耳っ子が驚きの表情で立ち固まっていた。


「おーい、少し良いか?」

「ハッ、ハイでひゅ!!」


 猫耳っ子の噛んだ返事に、思わずガルとフィールは向き合って苦笑いする。


 そんな光景をなにか美しいものを見るような瞳で見つめる猫耳っ子。


 再び猫耳っ子の方に顔を戻したガルは、フィールと共に学院印の刻が入った手紙をカウンターを置く。


「これを、ギルマスに渡して欲しい」

「きょれは……何でしょうかっ?」


 コクリと首を傾げる猫耳っ子にガルがまじまじと見つめていると、顔を逸らしたまま彼の脇腹をつねるフィール。


 この猫耳の女の子は新人受付嬢なのだろう、彼達の渡す手紙が何なのかを確認としてガルに尋ねた。


「……ってぇ……あ、その手紙の裏にある裏にある刻印を見せればギルマス受け取ってもらえると思うよ。不審に思うなら、ベテラン受付嬢さんにでも聞いてみればいい」

「いえ、大丈夫でしゅ! 渡してきましゅ!」


 つねられた痛みに耐えながらそう言うガルの笑顔に、噛み噛みで答えながら逃げるように手紙を持って奥へと入っていく猫耳っ子。


 ガルがそんな彼女に面白い反応するなと、笑っていると頭に手刀が落ちてきた。


「ほいほいと女の子をからかうな」

「すまんすまん、可愛かったものだからつい、な?」


 再び手刀の構えをとるフィール。

 それにガルは身構え備える。


 そういったことを何度か繰り返しているうちに、猫耳っ子がタッタッと小さい幅でガル達の前へと走ってきた。


「ギルドマスターが奥の部屋へとお呼びですっ!」


 慣れてきたのか、もう口調が普通に戻ったことにガルは残念といった顔をする。


 フィールは、そんな彼の|脛〈すね〉を蹴ると「今、行かせてもらう」と答えた。


 なお、ガルは脛を押さえ蹲っていたが。


 ◇◇


「お二人をお連れしましたですっ!」


 猫耳っ子が、一室の扉を叩きそう告げる。


「お呼びしたお二方は入ってくれるかしら?」


 その声を聞き、ガルは一瞬の何故か身震いをする。


 フィールはその反応に気づいていたが、猫耳っ子はその返答を機にガルたちにお辞儀をして元の場所へと戻っていった。


 そんな彼女を見送ると、ガルとフィールが頷き、フィールが先行して扉を開けた。


 すると入室と共に、身体中を縛り付けまいとする圧が二人を襲う。それは、調度品が拵えてありながらも過ぎた派手さを持たぬ落ち着いた部屋なんて雰囲気を一瞬で壊すものであった。


 ガルには、この圧に覚えがあった。

 その圧に先に聞こえた声が、同一人物のモノであると確証づけていた。

 それはもう彼が「逃げたい」と発作的に感じる程に明確なまで。


 一方のフィールも、ここまでは達してないものの同程度の圧を受けたことがあった。


「私の先生と同程度……いやそれ以上の圧。……何者なんだ?」


 フィールは思わず、手に魔力を集めていたが、それが瞬間的に霧散させられた。


「なっ!?」


 突如、集魔解体(キャンセリング)を受けたことにフィールは驚愕をせざるを得なかった。


 そんなことが出来るとは化物と呼ばれた冒険者の中でも一握りである存在だからだ。


「魔力の部分集約までの流れはとても綺麗だけど実行に辿り着くまでにはその速さがまだ足りないね。魔力集束の流れからしてフルーラの弟子ね、アスタリアのお嬢さん?」


 フィールは最早、驚愕を通り越して唖然としていた。


 そんな彼女を横目に、ギルマスは隣にいたはずのガルを圧の込めた視線で捉える。


 今にも扉の取っ手に手をかけようとしていたガルは、その圧を受けて身体を硬直させた。


「……せめて言葉で止めろよ」


 錆びた鎧兜を被っているかのようにカクカクと頭をギルマスの方に向けてガルはこう口にした。


「──師匠」


 その言葉に、ギルマスは柔らかい笑みを浮かべる。


 ギルドマスターの種族はエルフ。耳は横に長く尖っていて、長寿種故にガルが師匠という程には歳をとっているにも関わらず、今なお若々しく美しい姿である。


 しかもその中でも目の前にいる彼女は、上位のハイエルフなのだ。いわば森人族の王家。さらさらと長く神々しい金でできた糸のような髪、透き通るような翠緑の瞳と相まって見る事すら躊躇うような品格を擁していた。


 つまりは誰もが一度は必ず見惚れるものであり、そな事実先程まで厳格な顔つきをしていた彼女の笑みにフィールは目を奪われている次第だ。


 だが生憎、ガルには見惚れるなんて心を持ち合わせてはいなかった。


 彼にとってそのハイエルフの笑みは、過去の経験からして、なにか打算を孕んでいるようにしか見えず恐ろしいものであったからだ。


「師匠とは固いわね、ガル……昔みたいにサシャ姉って呼んでくれて良いのよ?」

「何がサシャ姉だ!? あァァ、昔の俺を殴りたい!! こんな女を姉みたく慕ってたなんてッ」


 ガルには、昔色々とあった。

 その中の一つに、このハイエルフ──サシャは最後の試練として当時五歳の彼一人を階位が一番下のEから一番上のSの内、上から3番目のBランク以上の魔物が巣食う山に放ってサバイバルをさせたのだ。


 しかも、その山の主を倒さないと出られないといった障壁があるという条件付きで。


「はて、そんなことをしたかしら?」

「自分の胸に手を当てて考えてみろッ」

「ガル、私に喧嘩売ってんのかしら?」

「理不尽ッ!?」


 エルフの特性上、胸は慎ましくもので、意外にも種族単位でそのことをコンプレックスとされているらしい。


 よってガルは墓穴を掘った形となったのである。


 ガルの脳内に警報が流れる。

 そこで考えた。恨みの矛先が向けられる対象を変えようと。


 ガルは、彼とギルマスの掛け合いに呆然と立ち尽くすフィールの腕を見えぬ速さで引っ張り、絶賛沸騰中のサシャ様に献上した。


「えっ?」


 突然の事に、何が起きたかわからないフィール。


 現実に戻ってきたが最後、サシャの魔の手によってフィールはもみくちゃにされた……何がとは言わないが。


割と、たゆんたゆんっと大きく動いたり指によって潰れたりしていて、思わずガルが目を逸らす程だったとだけ。

宜しければブクマ、感想、評価の方をポチポチっとして頂けると作者は喜びます。


明日の投稿は確実です!!

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