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3.孤高の天使フィール

三日連続!!


何がとは言いませんが、一人目です。


H.29 9.5

冒険者ギルドの場所と外観の加筆

 ガルが掘っ建て小屋を出て、真っ先に足を向けた先は、街の中心地の中でもど真ん中のスペースに位置している冒険者ギルドであった。


 時は日中。この時間帯は扉が解放されているため、特に扉を開けるという動作もなく、ガルはそのまま三階まだある小綺麗で大きな建物の中に足を踏み入れた。


 中に入っていきなり感じたのは、何らかの影響による喧騒の空間。


 ガルは、そんな騒がしい者達の視線の先を辿ると合点がいく。


「なるほどな」


 皆の視線の先にいたのは、一人の別嬪女性。

 それはガルの待ち合わせをしていた人だった。


 銀髪の青年が彼女に近づこうとしているのを目にした一人が声を出すのを皮切りに一際、喧騒が大きくなる。


 その事に、彼女は素知らぬ顔をしつつも眉間にシワが寄っていた。


「相変わらずの孤高っぷりだな、フィー」

「んっ? ガルが来たからか……細々(こまごま)と鬱陶しかった声が大きくなったのは」


 ガルに後ろからフィールと声を掛けられた美女は、眉間のシワが取れた顔で彼の方を向いた。


「いやいや、お前に見惚れてたんだろうよ、男女構わずにな」

「……っ! わ、私に、みッみみッ、見惚れるなんてありえないだろっ!?」

「少しは自覚を持てよ……美人め」


 フィールの見た目は、艶やかでサラサラとした白髪に、これまた真っ白に透き通るような肌。身長は女性の平均身長を10も上回り、スタイルに関してもボンッキュッボンッと申し分ない。何故これで自覚できないか分からないくらいである。顔立ちは可愛いというよりも美人と言った方が正しいだろう。切れ長のピンクの瞳とそれらの特徴、性格が相まって()()()()には【孤高の天使】と呼ばれていた程だ。


 ガルに言わせてみれば、彼女の男口調もチャームポイントである。


 詳細は省くが、ある出来事がきっかけでそんなフィールとガルは共に行動することになったのだ。


「この私が美人だと!? それはキミの本心で言ってるのかっ?」

「当然だ、無自覚美人」


 頬を赤くしてフィールは確認を取ると、ガルが間をおかず肯定が返してきたことに、見える肌全てを赤くして頭から煙を上げる。


 この光景を見ていた有象無象は呆気に取られていた。


 先程まで声を掛けようとしても、近づき難い雰囲気を纏っていたために傍目から見ることしかできなかった女性が一人の青年を前にして様々な感情を露わにしている。


 まさしく恋する女性の体現者であった。

 そしてそれに気づきもせず話し続ける鈍感イケメン野郎。


 それはもう、とんだ茶番劇を見せ付けられているようなものだった。


「その話は、後だっ! それより少し予定より遅れているのだが?」


 そうジト目で見つめてくるフィールに、ガルは苦笑いを浮かべ頭を掻きながら、此処に来るまでの出来事を一通り話した。


「なっ!? 細剣辞めるのかっ!?」

「いや、俺がこれから使おうとしている傘って武器は謂わば、細剣の進化系みたいな逸物なんだ。多分、この世で俺しか扱えない武器になると思う」


 多分ではなく間違いなくその通りだろう。そもそも今に至るまで神針鉱を扱えると思われる人物が誰一人として存在しなかったからだ。


「そうやって最強への一歩を踏み出すわけか……私を置いて行く気か?」


 どこか寂しそうな声で言葉を紡ぐフィール。フィールにとってガルの隣に居られなくなる事は辛いものであったからだ。


「馬鹿言え、負けず嫌いなお前だったら付いて来るんだろ?」


 そんな訳などいざ知らず、ガルはそんな言葉を飄々と返す。


 フィールはそんなガルに呆れの念を抱くが、隣に居続けて良いと言外に言われたようで悲しみの顔から一転、仄かな笑みを浮かべた。


「当然だっ!」


 笑顔でそう言い放つフィールに思わず顔を逸らすガル。

 ガルもまた男なのであろう。目の前で見せられる美人の笑みには直視できない眩しさがあった。


「どうしたんだガル? 顔なんか逸らして? まあいい、それよりも今日なんで集まったか分かってるよな? 推薦状、持ってきたか?」


 ガルの行為を不審に思ったが、フィールは今日すべき本来の目的を促した。


「もちろんだ、ほら」


 ガルはそう言って、懐に仕舞っていた手紙を取り出す。


「ガルの事だから忘れて来るものだと思ってた」

「学院の提出物とは重要度が違うわッ!」


 フィールがからかい、ガルがそれに軽く反発する。


 長年付き合ってきた友人のような雰囲気がその場から漂っていた。


「それも当然か、この日を今か今かと待ち侘びていたからな、キミは」

「その通り。ようやくスタートラインだ」


 ガルとフィールは互いに向き合い挑戦的な笑みを浮かべる。


「じゃあなりに行くか」

「そうだな」


 二人は、ギルドの受付へと足を向ける。


「「冒険者へ!!」」


 ウェルトルネス学院を卒業した二人。


 学院内戦闘部門序列一位卒・ガル=リターシャ

 学院内総合部門序列一位卒・フィール=アスタリア


 これからの未来を切り開いて行く二人が五年という長かった学院生活を終え、ようやく冒険者の道の上に足を踏み入れようとしていた。

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本日、短編も書いてみたのでそちらも見てもらえると幸いです。(正直、ネタを謳ってるけど面白いかは別)

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