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<27.狙撃歌手>

 「臆病な方がいいんだ」

 芭皇は、説き伏せるように告げた。

 「どうしてよ。こんな臆病者、どうしようもないじゃないの。あたしはやるわよ」

 珠子が唾を飛ばして反論した。

 “こんな臆病者”と言われたのは、珠子の夫・池内である。


 少しだけ時間を遡ろう。

 そこは極楽園だ。

 芭皇は高原を狙う準備のために、一旦戻って来たのである。

 そこへ、ホームレス仲間が集まって来た。

 「大丈夫だったんですね、芭皇さん」

 「心配してたんですよ」

 「このまま戻って来ないかと思いました」

 彼らは、口々に言った。

 「この通り、ピンピンしている」

 芭皇は、自分の胸を軽く平手で叩いた。

 「あそこもビンビン?」

 キンドが、真面目な顔で聞く。

 「ちょっとキンドさん、何を言ってるんですか」

 竹下が、たしなめるように言った。

 「ああ、ビンビンだ」

 芭皇は微笑した。


 「無事に戻って来たということは、もう狙われる心配は無いということですね」

 西崎が、不安そうな顔で尋ねる。

 「奴に狙われる心配は無い。もう、この世にはいないからな。ただし」

 「ただし?」

 「そいつを雇った人間は、このまま黙っていないはずだ。また他の人間を使って、俺を狙って来るだろうな」

 「誰なんですか、その相手は」

 「知らない方が身のためだ」

 「だけど、よっぽど恨みを買ってるのね」

 「残念ながら、そうらしい」

 芭皇は、こめかみをポリポリと掻いた。

 「だが、今度は待っているのではなく、こっちから攻める。だから、またしばらくは極楽園を離れることになる」


 「あの」

 西崎が、おずおずと言った。

 「実は芭皇さんが留守にしている間に、色々と話し合ったんですが」

 「何を?」

 「前に仰ったでしょう、命を狙われていると」

 「ああ」

 「それで、もし困ってるなら、あたし達も協力しようと思ってね」

 モタモタした西崎の喋りがじれったいと思ったのか、珠子が口を挟んだ。

 「そうだよ、助太刀するよ」

 キンドが続けて言葉を発した。


 「助太刀って、何をしようというんだ?」

 芭皇が問う。

 「つまり、芭皇さんを狙っている敵を、我々も協力して倒そうというわけです」

 竹下が言った。

 「今まで、芭皇さんには何度も助けてもらっています。今度は、我々が助ける番だと思いまして」

 「敵と戦うんでしょ?あたし達も、一緒に戦うわよ」

 「戦う?」

 「ええ。ねえ、そうよね?」

 珠子は、隣にいる池内に賛同を求めた。

 「え、う、う~ん」

 池内は答えをためらった。


 「何よ、今さら怖じ気付いたの?全員で相談したじゃないの」

 「しかし、そう簡単に戦うと言ってもなあ。この前の奴は、銃で狙撃して来たんだぞ。そんな相手に、何が出来るのかと思うとさ」

 「情けないわね、この臆病者」

 珠子が責めるように言った。

 それに対して、芭皇が告げた。

 「臆病な方がいいんだ」

 これが、この章の最初に記した言葉である。

 では、話を先に進めよう。


 「臆病者は、怖さというものを良く知っている。怖さを知っている人間の方が、戦いで生き残る確率は高い」

 芭皇は、言葉を噛み締めるように述べた。

 「だけど、芭皇さんは臆病者じゃないでしょ。勇猛果敢な人でしょ」

 キンドが問い掛ける。

 「俺は臆病者だよ」

 芭皇は気取らずに言う。

 「だから、臆病者の代表として、みんなに言いたい。みんなの気持ちは嬉しいけど、その気持ちだけ受け取っておこう」

 「迷惑なんですか」

 「いや、そういうことじゃないさ」

 「だったら……」

 「聞いてくれ」

 竹下が言葉を続けようとするのを、芭皇が制した。

 「俺を狙っているのは、タチの悪いガキやチンピラなんかじゃない。強大な組織だ。みんなが立ち向かおうとしても、あっけなく始末されるだけだ。そんな危険なことに、みんなを巻き込むわけにはいかない。俺が自分でカタを付ける」


 「だけど……」

 珠子が何か言おうとした時、どこかから音が響いて来た。

 何かしらの音楽のようだ。

 それは、極楽園の方へ近付いてくる。

 全員の視線が、そちらへ移動する。

 土手の上の道を、向こうから軽トラックが超低速でやって来る。

 軽トラックの荷台には、1人の男が立っていた。そして男が足元に置いている古いラジカセから、音楽が響いていた。演歌調のメロディーでパンク調のアレンジという、珍妙な曲だ。


 極楽園のある河川敷の上で、軽トラックは、停止した。

 「よいしょっと」

 掛け声と共に、男は荷台から勢い良く飛び降りた。

 ラメの入った紫のマンボズボンに、上は着物の生地であつらえたアロハシャツ。シャツは第2ボタンまで外して、鍛え上げた胸の筋肉を見せびらかしている。髪はリーゼントに整え、右の耳には大きな半月型のイヤリングをしている。

 そして彼は、左手に拡声器、右手には連射式のボウガンを持っている。


 「なんだ、ありゃ?」

 池内が目をこすった。

 「あいつは……」

 芭皇は、その男に見覚えがあった。

 軽トラックの運転席からは、別の男が降りて来た。こちらは上下ジャージの地味な格好をした青年だ。

 青年はラジカセのスイッチを押して、音楽を止めた。それから、彼は極楽園の方に目を向け、芭皇を見つけて呼び掛けた。

 「芭皇さ~ん!」

 それは、江里杉だった。

 芭皇は無言のまま、手を挙げて応える。

 「お知り合いですか」

 西崎が聞いた。

 「ああ、ちょっとな」

 芭皇は短く返答した。

 彼は、拡声器を持った男をジッと見つめている。

 その男をどこで見たのか、芭皇は思い出した。


 「マッチョ桜井さんが、極楽園の皆さんに会いたいと言うので、連れて来ましたあ!」

 江里杉が、にこやかな顔で叫んだ。

 「極楽園の皆さん、初めまして。マッチョ桜井です」

 筋肉隆々のアロハシャツ男が、拡声器を口に当てて第一声を発した。

 「ワタクシ、パンク演歌を歌っております。極楽園の皆さんに歌を聞いて元気になってもらいたいと思い、やって参りました」

 「誰も頼んでないんだけど」

 珠子が、ボソッと言った。


 「あれは、何だろう?」

 池内が言った。

 「どれ?」

 「あの男が、右手に持ってる物」

 「さあ、見たことが無い道具だけど」

 「連射式のボウガンだ。確か、マッチョ桜井のトレードマークらしい」

 珠子の代わりに、芭皇が答えた。

 「へえ、そんなオモチャ、何の意味があるのやら」 

 「何かアピールするポイントが欲しいんでしょ、きっと」

 池内と珠子が、立て続けに言う。

 「あれは、オモチャではない」

 芭皇が桜井から目を離さず、冷静に言った。

 「あのボウガンは、殺傷能力のある本物の武器だ」


 「今度、新曲が発売されることになりました。それを是非とも聞いてください」

 笑顔で喋る桜井だが、彼が放つ異様な気配に、芭皇は気付いていた。

 「ではニューシングル、『望郷ヒットマン』です」

 桜井がそう言うと、江里杉がラジカセのテープを取り替え、再生ボタンを押した。

 曲のイントロが流れ始める。

 それと同時に、芭皇は仲間から遠ざかるように、静かに移動を始めた。

 「あれっ、どこへ?」

 キンドが、それに気付いた。

 「ちょっと、あいつと遊んでくる。みんなは、そこにいてくれ」

 芭皇は懐に手を入れて、破田を確認した。

 そして、ゆっくりと土手の上へ向かって足を進めた。


 マッチョ桜井は拡声器を口元に当て、『望郷ヒットマン』を歌い始めた。

 ずっと芭皇から視線を外さないままで。


  望郷ヒットマン

  懐かしいのは誰の顔

  望郷ヒットマン

  たくましいのは当然だ

  殺しはライライ ライフワーク

  殺しのダイナミック ワーオ!

  天然育ち 生の味わい

  絞りたてならフレッシュ・キル、キル!

  故郷は裏町 股間は反町

  誰が呼んだか 望郷ヒットマン


 1番を歌い終わった所で、桜井は拡声器を地面に置いた。

 そして間奏に入った直後、連射式ボウガンを構えて、いきなり矢を発射した。

 ブォンッ!

 矢は風を切り、芭皇を目掛けて飛んで行く。

 しかし、芭皇はそれを事前に予期していた。

 素早く右に飛び、攻撃をかわす。

 ズザッ。

 矢は河川敷の草むらに消える。

 すぐに芭皇は体勢を立て直し、桜井へと近付いて行く。


 「桜井さん、急に何をするんですか」

 江里杉が、慌てた様子で言った。

 だが、桜井は構わず、再びボウガンを撃つ。

 芭皇は、また右に飛んでかわす。

 わずか数センチ横を、矢が通過する。


 「あれって、何かのアトラクションかな」

 キンドが、その光景を眺めながら、そんなことを言った。

 「どうなってるんだ?いきなり歌手が矢を放つなんて」

 池内は、首をかしげている。

 極楽園の誰もが、そこで起きていることの意味をちゃんと理解していない。

 それを分かっているのは、当事者の芭皇と桜井だけだ。


 「ええい、すばしこい男だ。今度こそ」

 桜井は、芭皇が向かって来る動きに合わせてボウガンの照準を定め、次の矢を放った。

 連射式とは言え、矢が無くなれば補充する必要がある。それを考えて、桜井は無闇に連射して矢を無駄にするのではなく、一発ずつ確実に狙って撃っている。

 芭皇は、3本目の矢を、今度は身を伏せて回避した。

 ヒュルッ。

 頭上を通過する矢が、唸りを上げた。


 「桜井さん、どういうことなんです?」

 江里杉は桜井に近付き、その腕を掴んだ。

 「邪魔だ。どけ」

 桜井は、江里杉の手を振りほどいた。

 「これは、ワタクシと奴の決闘だ。部外者は引っ込んでいてくれ」

 「決闘って、どうして戦うんです?」

 そんな会話のバックでは、『望郷ヒットマン』のカラオケが流れ続けている。

 既に2番の伴奏に入っているが、桜井は全くお構い無しだ。


 「おおい、江里杉」

 芭皇は、身を伏せたままで顔を上げ、叫んだ。

 「悪いが、ちょっとしたアトラクションだとでも思って、しばらく離れて見ていてくれ。そうだな、車の運転席にでも入っていろ」

 「アトラクション、ですか?」

 「似たようなものだ」

 「はあ、分かりました」

 江里杉は、完全に納得した感じでは無かったが、芭皇が言った通り、軽トラックの運転席に入った。


 「さあ、どんどん来いよ、カルチョ桜井」

 芭皇が挑発する。

 「カルチョではなく、ワタクシはマッチョ桜井だ」

 桜井は少し声を荒げ、2本の矢を続けて発射した。

 芭皇は地面を左に転がり、それをかわした。

 ズザザッ。

 草を打ち倒し、芭皇は素早く体勢を整えて桜井を見据える。

 しかし芭皇は、それ以上は前進する気配を見せなかった。


 「そうか、カルチョじゃなかったか。覚えておくよ、ムーチョ桜井」

 からかうように芭皇が言う。

 「それも違う。マッチョ桜井だ」

 桜井は、また2本を連射した。

 芭皇は右に転がって回避する。

 「悪かったな、エンガチョ桜井」

 「ちが~う、マッチョだと言っているだろう。お前、わざと間違えているな」

 苛立った桜井は、今度は3本の矢を連射した。

 芭皇は、また地面を転がってかわした。


 3本の矢を連射した後、桜井は4本目も連射するつもりだった。

 だが、そこで矢が無くなった。

 「くそっ、弾切れか」

 桜井は舌打ちした。

 急いで彼は、荷台に積んである矢を補充しようとする。

 その動きを、芭皇は視線に捉えていた。


 「今だ」

 彼はガバッと起き上がり、桜井に向かって駆け出した。

 だが、土手を登るので、平坦な道ほど勢い良く走れない。

 その間にも、桜井は矢を装填していく。

 芭皇は何とか土手を駆け登り、桜井へと走った。

 だが、一瞬早く、桜井が矢の補充を終えていた。

 芭皇は破田を下段に構えた状態で、動きを止める。

 ボウガンをこちらに向けた桜井が、ニタッと笑っていた。

 その距離、約1メートル。


 「そういうことか」

 桜井は、すぐにはボウガンを撃たず、そんな言葉を発した。

 「ワタクシが矢を補充している隙に、距離を詰めてしまおうという作戦だったのか」

 「そうだ」

 顔色一つ変えず、芭皇は返答した。

 「だが、残念だったな。少し時間が足りなかったようだ」

 「そうかもしれんな」

 芭皇は真っ直ぐに立って、そう言った。


 「さて、どうする?この距離では、どう考えても外すことは無いぞ。許しを請うなら、早くした方がいい」

 桜井は、余裕の笑みを浮かべた。

 しかし芭皇は全く動じることなく、平然と言葉を返す。

 「どうせ許してくれと言ったところで、お前は俺を撃つはずだ。俺を殺さないと、高原から受けた仕事が完了しないからな」

 「ほう、ワタクシが高原首相に雇われたと、良く分かったな」

 「分からない方がおかしい。奴以外に、わざわざ殺し屋を雇ってまで、俺のようなホームレスの命を狙うバカはいない」

 「自分の国の総理大臣をバカ呼ばわりするとは、ホームレスのくせに思い上がった男だな、貴様は」

 「首相であろうが何であろうが、バカはバカだ」

 「だったら、そのバカが送った殺し屋に殺されるお前は、もっとバカなんだろうな」

 「もしも殺されたら、そう言われても甘受しよう」

 「殺されるさ。この距離で、矢をかわせるとでも思っているのか?」

 「かすかな希望は持っている。試しに、やってみろ」

 芭皇は、左手で自分の胸をポンポンと軽く叩いてみせた。


 「ようし、では、望み通りにやってやる」

 桜井は言い終わるや否や、ボウガンの引き金を引く。

 その動きに、芭皇は神経を集中させていた。

 引き金に掛けた桜井の指がわずかに動いた瞬間、芭皇は頭を低くした。

 極端な前傾姿勢になり、彼は桜井に向かってダッシュする。

 それとボウガンの発射は、全く同じタイミングになった。

 放たれた矢は、芭皇の頭上数ミリの高さを通り過ぎ、後ろへ飛んで行く。

 「何っ?」

 桜井は動揺した。

 それでも次の矢を放とうと、すぐに構えた。

 だが、一瞬、遅かった。

 ボウガンの照準に、ターゲットの姿は無かった。

 既に桜井の懐に、芭皇は入り込んでいたのだ。


 「むんっ」

 芭皇は気合いを込め、下段から破田を振り上げた。

 ジュバッ。

 刃は、桜井の腹を斜めに斬った。

 「うなっ!」

 斬られた衝撃で、桜井は右腕を高く跳ね上げる。

 上空に向けて、ボウガンが連射された。

 芭皇は致命傷を与えたことを確信し、破田を鞘に収める。

 直後、その後方に、8本の矢が続けて落下した。


 「バカな首相よりもさらに俺がバカだったとして、だ」

 腹を真っ赤に染めた桜井を冷淡に見つめ、芭皇は言い放つ。

 「そんな俺に殺されるお前は、どれほどのバカなのかな」

 「く、くそぉ……」

 桜井は最後の力を振り絞り、ボウガンを構えた。

 しかし、そこに矢は1本も残っていなかった。

 「ぐぶぅっ……」

 ノドの奥で奇妙な音を鳴らしながら、桜井は前方に倒れ込んだ。

 受け身を取ることなく地面に突っ伏した彼は、そのまま心臓を停止させた。

 死んだのである。


 「ふうっ、高原め、おかしな殺し屋を雇いやがって」

 芭皇は、息をついた。

 ちょうど『望郷ヒットマン』のカラオケ演奏も、そのタイミングで終わった。

 だが、誰もラジカセの停止ボタンを押さないので、そのままテープは回り続ける。

 「おい、芭皇邪九よ」

 少しの沈黙の後、ラジカセから男の声が聞こえて来た。

 「聞き覚えがある声だな」

 芭皇はつぶやいた。

 「これを聞いているということは、貴様がマッチョ桜井を倒したということだろう」

 「そうか、あの秘書だな」

 芭皇は、それが松岡の声だと気付いた。

 「そんな貴様に、いい情報を教えてやろう。明日の午前10時、高原総理は太陽館を訪れる。SPは付けず、1人だけで行くことになっている。貴様が総理の命を狙うつもりなら、チャンスだぞ。では、健闘を祈っているよ。以上で私の話は終わりだ。このテープは、もう止めてくれたまえ」

 そこで声は終了し、無音となった。

 「止めてくれたまえって、面倒な奴だな。自動的に爆発する仕掛けにでもしておけよ」

 文句を言いながら、芭皇は荷台に歩み寄ってラジカセの停止ボタンを押した。


 「明日の10時に、高原が1人で太陽館に行くと言っていたな」

 芭皇は、テープの内容を自分の言葉で繰り返した。

 「バレバレの罠だな。どういうつもりなんだ、高原は?」

 荷台の縁に手を掛け、芭皇は首をひねった。

 「俺をおびき寄せて、始末するつもりなのか?だが、普通に考えれば、そんな分かりやすい罠にハマる奴はいないと思うが」

 そんな独り言を口にしながら、芭皇の視線が、ふと軽トラックの運転席に向けられた。

 江里杉が、まじまじと芭皇を見つめていた。

 視線が合った後、江里杉は運転席のドアを開け、軽トラックから降りた。


 「芭皇さん……」

 江里杉は何かを訴えるように、真っ直ぐな目で芭皇を見た。

 「すまないな、江里杉」

 芭皇は、硬い表情で詫びを入れた。

 「こちらにも事情があったとはいえ、お前が熱烈に応援していた男を殺してしまった」

 「いいえ、謝ることなんて、ありません」

 江里杉は激しく首を振り、眼鏡の位置を直す。

 「芭皇さん、ものすごくカッコ良かったです。最高です」

 目を爛々と輝かせ、江里杉は興奮した様子で喋り始めた。


 「見てましたよ、芭皇さんの戦い。こんなに熱くなったの、初めてですよ。素晴らしいものを見せてもらって、ありがとうございます」

 「いや、そんなことで礼を言われてもな」

 芭皇は戸惑った。

 「僕、芭皇さんのファンになりました。ファンクラブを作って、応援しますよ」

 「いや、俺はそういう対象じゃないからな。それに、お前はマッチョ桜井のファンじゃなかったのか?」

 「でも、死んじゃいましたから、もう辞めます。これからは、芭皇さんのファンです」

 江里杉は、キラキラした目で芭皇を見つめ、熱く語った。

 「うーむ、困ったもんだぜ」

 芭皇は、頭を掻いた。


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