ステータスウィンドウ
————知る事が出来ない事というのは、多くの場合、知ってはならない事なのだという事を忘れてはならない
————ここは、何処なんだ。
学校帰りの事だ。
いつもの通学路。いつもの道。だが、何故かその日は周りに人気が一切なかった。
その時に危機感を覚えてすぐに人を探せば良かったんだ。でも、そんな事もあるだろうと呑気な事を考えてしまった。そして、次の瞬間には足元が突然に光を発し始め————
「それで、今ここにいる…というわけか」
今現在立っている崖から広大な草原の方へ目を向けると、アニメなんかでしかあり得ないような幻想的な風景が広がっていた。
二つの太陽が照らす空には十数メートルはありそうなドラゴンや巨大な鳥が飛び交い、地には凶悪な面構えの緑色の人間のような物や二足歩行の豚、それに翼のない竜のような物まで多種多様な生物が闊歩している。
そして、背後を振り向くと、数十メートル先には白で統一された壁が地平線の彼方まで何処までも続いていた。
少し離れた所には巨大な門があり、10名程の白銀の鎧を身に纏った騎士のような者たちが門の中へ入る人々の荷物を確認している。人々の顔は欧米風の顔立ちであり、髪の毛は黒ではなく金髪や青髪、赤髪から銀髪まで様々な色をしている。
「ファンタジー…だなぁ、ステータスとか開けたり…!?」
冗談でステータスとつぶいた瞬間、白い背景の四角い"ソレ"は現れた。
【ステータス】
名前:春夏秋冬 隼人(ひととせ はやと)
年齢:14歳
レベル:1
HP:200000/200000
MP:200000/200000
腕力:999
敏捷:999
知力:999
残ポイント:100000
◇所持スキル なし
◇取得可能
鑑定
▼魔法▼
魔力増大Lv10 必要ポイント5
魔力回復速度上昇Lv10 必要ポイント5
全魔法適性 必要ポイント5
炎魔法Lv10 必要ポイント3
水魔法Lv10 必要ポイント3
雷魔法Lv10 必要ポイント3
土魔法Lv10 必要ポイント3
光魔法Lv10 必要ポイント3
闇魔法Lv10 必要ポイント3
▼戦闘術▼
剣術Lv10 必要ポイント3
拳術Lv10 必要ポイント3
戦術Lv10 必要ポイント3
槍術Lv10 必要ポイント3
鞭術Lv10 必要ポイント3
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途中で途切れてしまっていたので、指でタッチしてみると縦にスライドが出来るようだ。
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▼エクストラスキル▼
限界突破 必要ポイント10
取得経験値5倍 必要ポイント10
鑑定 必要ポイント3
毒物無効化 必要ポイント4
聖炎魔法 必要ポイント8
聖水魔法 必要ポイント8
聖雷魔法 必要ポイント8
聖土魔法 必要ポイント8
神光魔法 必要ポイント8
邪闇魔法 必要ポイント8
炎神剣 必要ポイント7
風神剣 必要ポイント7
水神剣 必要ポイント7
土神剣 必要ポイント7
雷神剣 必要ポイント7
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と、続いていき
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究極魔法 必要ポイント30
死霊術 必要ポイント20
蘇生魔法 必要ポイント50
固定 必要ポイント100000
で終わっている。
「まさか、本当にステータスウィンドウが出るとは…動くと勝手に付いて来るみたいだね」
走ったりジャンプしてみたが、常に付かず離れずで一定の距離を保ったままだ。
「ま、そんな事はいいとして…何この固定っていうの?」
エクストラスキルの一番下。つまり、取得可能スキルのリストの一番下にあって、明らかに異質なその必要ポイント数。
他のスキルを取るならば全て取っても殆ど余るだろう10万ポイントという莫大な所持ポイントの全てが必要なスキルだ。気にならないわけがない。
とりあえず、このスキルウィンドウはタッチ出来るようなのでタッチしてみる。すると、下記の物が新たに現れた。
スキル名:固定
必要ポイント:100000
効果時間:使用者が解くまで
効果範囲:術者が意識した対象。例え異世界であろうと届かせることが出来る
—効果—
意識するだけで一瞬にして全てを"固定"させる事が可能。寿命や概念、神までもを"固定"させる事が出来る。
「何このチートスキル?自分の肉体の固定をうまくやれば無敵になれるし、ドラゴンだろうがなんだろうが意識するだけで簡単に勝てるんじゃ?」
すぐさま横にあった取得というボタンをタッチして確定する。
"固定"を取得しました
突然脳内にアナウンスが流れ、残ポイントが0に。所持スキルに"固定"が追加された。
いくら剣術やら魔法なんかを使えた所で、もしかすると負けるかもしれない。
というか、剣や魔法を使えたところで今も空を飛んでいるあんな恐ろしいドラゴンと戦える気がしない。
その点、この固定というのは相手が空を飛んでいても意識するだけで強制的に叩き落すことが出来るし、なんなら心臓を直接止めてもいい。
うまくやれば、自分を固定する事で不老不死になったりも出来るだろう。防御力も完璧な攻守、応用に非常に優れたチートスキルだ。
それに、今はまだレベル1なので、恐らくレベルが上がればポイントが手に入るだろうから、どうしても欲しいスキルがあればその時取ればいいだろうという余裕もあった。
「よし、取得出来たみたいだけど、何で試そう?…あ、ステータスウィンドウ"固定"」
すると、今まで歩いている自分と常に一定の距離を保っていたステータスウィンドウがピタリと停止する。
試しに後ろに下がってみても、付いてくる様子はない。
「おぉ、確かに止まった。そういえば、このステータスウィンドウの"裏側"ってどうなってるんだろう?小説なんかだとこういうのって大抵は自分のしか見えなくて他の人からは見えないとかそういうのだよね」
早速とばかりに、空中で静止したままのステータスウィンドウの裏側に回り込み——
——————————————ぁ