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20話 誤解を生む策謀


                悠 視点


カルロから相手の司令塔または隊長格の人が未だに発見出来ていないことから、多分念話の通じないセインがその人と闘っていると考えてセインのもとに向かうとそこには一人荒野に立っているセインを見つけた。


話を聞くとセインを打ち負かしたのは元パレス国第5騎士団第3番隊隊長 鷹の目のバルザを名乗る者だった。


「すみません。相手を逃がしてしまいました。」


「いやいや、頭を上げてくださいセインさん。」


「そうだよ。みんな無事だったんだから良かったじゃない。」


「ありがとうございます。そして私は自らの力を磨かなくてはいけません。もうこんな失態を起こさないために!」


そこにアリアがやってきた。だがその手には大きな袋がある。


「みんな無事だったのね、よかったわ。」


「うん、なんとかユウ君と隊長も無事だったしね。で、その袋には何が入っているの?」


アリアの持っている袋はモゴモゴ動いている。


「ああ、これ?相手の逃げ遅れよ。」


そう言ってアリアは袋の封を開ける。ドサッと中から出てきた芋虫のような物体は僕の知っているものだった。


「あれ?クルスとイヤルと・・変な人だ。」


『ンー!ンーーンンンンー!!』


袋から出てきたのはさっき闘ったばかりのクルスとイヤルたちだった。猿轡をはめられていて話せないためにうなりながら僕たちを威嚇するイヤルに涙目になりながら体をフルフル震わせているクルス、そして未だに気絶から目を覚まさない変な人。


「ユウ君、知っているのですか?」


「はい、僕の初めての囮に引っかかってくれた方です。」


『ンンンン、ンーンンンン、ンン!!』


「敵だと分かっていたのならさっさと捕縛しておいてよね。」


「ど、どうもすみません。」


「そんなに気にしなくても大丈夫だよユウ君、僕たちも自分のことで精一杯だったんだ。今度から気をつければいいよ。」


「見る限り捕縛出来たのはそこの三人だけですか?」


辺りを見回してみるがこの三人以外の人影はない。


「ええ、あれほどの人数が隠れる場所などないからサーチをかけたんだけど・・。」


「見つからなかった、というわけだね。」


カルロの言葉にアリアは肯定の意を示す。


「あの〜。」


「どうしました悠君?」


「確かに負傷者合わせて数十人の襲撃者がいなくなったのは不思議ですがまずはそこの捕虜の三人を問い詰めませんか?僕たちもそんなに時間があるわけではないと思うのですが。」


「そうですね。ではその問い詰めをするのはユウ君に任せましょう。」


「え、流石にそれは騎士の仕事なのではないんですか!?」


「こんな両手両足を拘束されて武器すら持っていない人の聴取なら経験がなくても出来るでしょう。それに言い出したのはあなたですよ、ユウ君?」


「ま・・またですか?」


「まあ、そんなにやる気を無くさないでくださいよ。大丈夫ですよ、カルロもつけますので。それでは私とアリアは今後の方針について話し合いますから。」


言い出したら負けなのかと小さくため息をつく。

そして悠は直ぐに三人を追い詰める準備をしたのだった。









話しを聞くために三人の猿轡を取り外される。もちろん四肢は拘束したままだ。


「貴様ら!俺たちをどうするつもりだ!」


「それはあなたがたがこちらの質問に答えてくれてから決めます。」


「ふん!貴様らに話すことなど何一つないわ!」

その言葉にクルスも微かに応じる


「そうですか。では私たちにも考えがあります。」


カルロ呼び寄せ、例の行動をするように言う。

カルロはわかったと行ってから、縛られているクルスを掴み岩陰に連れて行く。

縛られているクルスは抵抗出来ない。そして裏から声が聞こえる。


「え?ちょっと待っ、イヤル助けてぇぇぇ!!」


「貴様ぁ、クルスに何をした!」


「ふふふ、なんだろうね。でも早く君が身元や仲間について話してくれないと彼が大変なことになっちゃうよ?」


「なんだと?」


「ほら静かに、声が聞こえるから。」


耳を澄ませる・・・すると、


「さあ、今度はどこにしたい?」


「ハァハァ、だ・・だめだよぅ。」


「大丈夫。最初は優しくするから。」


「そういう問題じゃなくて、あ、あ!だ・・だめぇぇぇ!!」



「止めろぉぉぉぉ!!」


何故だか叫びだしたイヤル


「わかった、なんでも話す。お願いだ!止めてくれ!いや、止めてください!!」


懇願するイヤル。そこでそのイヤルの自白を確約させる一手を放つ。


「騎士として誓えますか?」


「誓えます!いや、誓います。」


「わかりました。」


岩の裏に行き、様子を窺う。すると


「だめだよぅ。そんなとこぉ。」


「大丈夫、大丈夫。」


「だから大丈夫じゃ・・わ、脇はだめぇぇぇぇ!!」



そこには拘束されたクルスをにこやかな笑顔でくすぐるカルロの姿だった。


「・・・・き」


「さあ、取り調べをしましょうか。」


「・・き・・き」


「どうしました?ああ、大丈夫ですよ危害は加えません。」


「貴様ぁぁぁ!!謀ったなぁぁぁぁ!!」


何もない荒野で一人の男の策略が成功し、また一人の男が己に絶望した。

誤字脱字がありましたら、ご指摘お願いします。

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