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11話 早起きの災難と王都出発 《前編》


危ない危ない。もう1ヶ月経つところでした。


時間がかかった割には終わるところがまた微妙

ですが近日後編も出来上がる予定です。


目を覚まして上体を起こすと周りにはカルロとセインさんとベルムが寝ていた。昨夜、何があったのか思い出せないので頭の中を整理する。


「・・昨日はウィルドの依頼についてを聞かされて・・・・・・ああ、そのあと何故か飲み会に発展したのか。」


その記憶が正しいことをベルムから漂うアルコール臭が証明する。

外に目を向けると空が藍色から水色に染まりつつあった。


「そういえば昨日、ガバンさんが出発前に剣を取りに来いって言っていたっけなー。」


後で時間をとらないように先に剣を取りに行くことに決めて、部屋の戸を開いた。











「さすがにこの時間には開いていないか。」


昨日訪れたガバンさんの武器屋の前に立っているが開いていない。


「たぶんまだ5時とかそれ位だと思うしな。じゃあ、また出直・・・・?・・灯り?」


武器屋の方は閉まっていて閉店状態だがその隣の工房の戸から灯りが漏れているのが目に入った。

「ガバンさんが起きているのかな。」


工房に近づいて見つけた隙間から中を覗く。だが中には誰もいない。


「全く不用心だな。これじゃあ、泥棒に入ってくれと言っているようなものだぞ。」


泥棒に入られないように店番をしていようと工房内に足を進める。と、その瞬間。


ズバン!!


「・・・・ん?」


入り口の横にあった甲冑が持っていた長い柄の戦斧が目の前に刺さっていた。


「!!・・危ないなぁ。ちゃんとこういうものは固定しないと怪我したら大変だろうに。うい・・・っしょっと。」


床に突き刺さった戦斧を持ち上げて元に戻すため、甲冑に向き直ると甲冑は片手をこちらに差し出してあちらも自分を見ていた。

(さっきこの甲冑をみた時と明らかに甲冑の体制が違う。先ほどは直立に立ち、戦斧を傍らに置いた形であったはずなのに体制が変化しているのは人為的に動かされたかもしくは“この甲冑が動いた”か。後者は有り得ないと思うが何事もものは試しだ、まずは質問をしてみよう。返事が無ければ前者、返事が有れば後者というわけだ。)


「この戦斧は君のかい?」


「ガチャガチャ」


謎の甲冑は人体で表される首の部位が無いにも関わらず、兜を縦に振った。きっとこの甲冑なりのOKサインなのであろう。

(!!・・まさか!?本当に動いた!?そんな・・・・呼びかけに反応する鎧があるなんて。いや、これはたまたま風や振動で甲冑の鎧が揺れ動いたんだ。きっとそうなんだ。)


甲冑は先ほどと同じ体制で片手を差し出している。自分は甲冑が目は存在しないが「返してくれ」と訴えかけているように思えた。


(そうだったな。ここは魔法が存在する世界。その世界で僕が魔法の無い世界で得た知識はあまり役にたたないんだったな。で、これはこいつのものなんだった。ここは友好的にいきたいからな。)


「・・はい。」


自分の得物を返してもらった甲冑は「ありがとう。」という念を込めてか頭を下げてきた。


「さてとガバンさんはいないみたいだし、一度みんなのところに戻って開店時間にまた来るとするかな。」


出直すために出口に向かおうと振り返る。すると今まであった鎧の周りの空気重くなり、また


・・・・ズダーン!!


「ん?」


また自分の横に今度の一撃は重く戦斧が振り下ろされた。衝撃で床は窪み、木くずが辺りに飛び散る程だった。


「え、・・・・ええと?」


また鎧くんのことを見るとついさっきの友好的なオーラは何処へやら、今の鎧くんは命令に忠実で冷酷な騎士のようなオーラを身に纏っていたのです。












「ん〜〜〜、はぁ。おっと、もうこんな時間か?」

ベルムよりも早く起きていたセインは言った。


「そうですよ。なにをのんびりとこんな時間まで寝ているのです。あなたは一応は私たちの隊長であるのですからもっとその自覚を持ちなさい。」


「いや、悪い悪い・・・・・・っていうかそこは起こしてくれてもいいだろ!?」


「そこで私が起こしてしまったら、あなたはひとに起こしてもらわなければ起きられない人間になってしまうからですよ。」


ベルムに対して「バシィィ!!」という効果音が鳴るかの如く素早く指を指しながら言った。


「でもそれならカルロだってそうだろ!」


ベルムの目線の先にはすぅすぅと寝息をたてて寝ているカルロの姿がある。


「カルロはあなたと違い先日から準備もしているんです。それに引き換えあなたは何もせずに酒を飲み、そしてこんな時間まで・・・・」


「はいはい、そうですかそうですか。」



・・・・・・トントン



「?・・なんだなんだ、こんな朝っぱらから客なんてどこの礼儀知らずだ?」


ベルムは早朝の来客に少し苛ついた様子で扉を開けた。


「はいはいこんな朝早くから人の所に来る礼儀知らずはどこのだれ・・です・・・・か。」


「俺が朝早くから人の所に来る礼儀知らずで悪かったなぁ?」


「・・ガ・・ガバンのおっちゃん!?」


「フッフッフ、人の悪口を言う子にはお仕置きしないとなぁ。」


危ない笑みで歩み寄るガバンからベルムは逃れようと試みるが入口にはガバンがいるため突破は困難、とはいえ窓の前にはセインがいて、またこちらも笑みを浮かべて見ている。結論、脱出は不可能だとベルムは思った。


「お、おっちゃん待ってくれ、ぐはぁ。誤解なん『ゴキッ』ぎゃあああ!!・・セ・・セイン助けて〜!!」


「ふふふ、微笑ましい光景ですね。」


「くっ、悪魔め・・。」


「まだ俺にそんなこと言う元気があったとはな。」


「違う、違うんだ。それはおっちゃんにじゃなくて、いやぁぁぁぁ!!」



その後、床に倒れ伏しているベルムを気遣ってかやっとセインが助け舟を出した。


「ところでガバンさんはどのようなご用件で来られたのですか?さすがにベルムと戯れるためというわけではないでしょう。」


「おっと俺としたことがこいつのせいで来た理由を忘れていたぜ。実は昨日頼まれた剣が完成したんだが本人に合うか点検が必要でな。その最終確認をするために来たんだがユウはいるか?」


「そうすれば私たちも見ていませんね。」


「どうしたんですか?」


今まで寝ていたカルロがまだ眠たそうに目を擦りながら聞いた。


「カルロ、起きたのですか。今、ユウくんがどこに行ったのか聞かれていたところだったのですよ。」


「ユウくんはたしかガバンさんのお店に向かうと言っていましたよ。」


「ああ、そうですか。だそうですが・・?ガバンさんどうかしましたか顔色がよろしくありませんよ?」


「俺は大丈夫なんだがその話が本当ならばちょっとヤバいかもしれないな。」


「なにがヤバいのですか?」


「なにも起こってなければいいんだが、もしものことがあるかもしれないからちょっと一緒に来てくれ。」












序盤は動きが遅かった鎧くんは時間が経つに連れて、もっと遅くなると思いきや動きは徐々に素早くなり、戦斧での攻撃にはキレが出てきているのが見てとれる。だが今のところは昨日謎の老婆から買った意識を持っているクリスタルの念話で攻撃をかろうじて回避出来ている。


(次は左!)


(うん!)


僕の体の存在していた場所に戦斧は高速で落ちていき、床に深く突き刺さる。だが深く刺さった戦斧を持ち上げるため少しだけ鎧くんの動きが止まる。


(今だ!あいつの鎧に火の魔法を放ち、あの邪魔くさい装甲を溶かせ!そうして剥き出しになったやつの核を壊せばこの勝負、我らの勝ちだ。)


(了解。)


「フレム!フレム、フレム!」


まだ魔法の使用に慣れていないので力加減が上手く出来なく、小さな炎の玉が2つと大きな炎の玉を1つ放出した。だが割と命中率はいいのか全発命中した。


ジュウゥゥゥ


この世界の鎧などがなにで作られているのかはわからないがあの炎で鎧が溶けているところを見るとこちらの世界の製鉄技術はあまり進歩していないと思えた。


「それとも僕の放った炎の火力が高かったのか?」


(なにをぶつぶつ言っているのだ。まだ奴は倒れておらぬぞ!)


(ご、ごめん。)


(まあ、よい。とにかく奴の鎧の融解部分を見ろ。)


言われるがままに自分の炎で溶けた鎧の内部を確認すると中では紫色の光を放つ六角形のような見た目がガラスにそっくりな物質が回転していた。


(あれが核?)


(そうだ。あれが奴らの動力源であり、唯一の弱点である部分だ。)


(ということはあれを破壊すると・・・・。)


(そう。奴は動力源を失って動けなくなり、我らの勝ちだ。)






誤字脱字がありましたらお知らせください。


不定期更新ですがこれからもよろしくお願いします。

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