10話 依頼内容
遅くなりすいません。
学校の試験が終わって、
少し息抜きをしていたらこんなに時間が経っていました。
時の流れは速いですね。
泊まっている宿の一室で自分とベルムとカルロ、そしてセインさんで円を書くように座っている。
明日の出発のことを男同士で確認しようということになっている。
「明日王都を出発するみたいですが王都の出た後は何処に何をしに行くんですか?」
「俺たちが依頼で向かうのは王都の南に位置するマハド砂漠内にある水の精霊の加護の受けし国ウィルドだ。」
異世界人のためにこの周辺地域の知識が極端に乏しいので何のことを話しているのか分からないと首を傾げていると、今の僕に気づいたたのかカルロが話し始めた。
「ユウは旅をしているからよく分からないかもしれないから近辺の土地についてと依頼の内容を詳しく説明するよ。」
(良かったー。カルロが察してくれて。)
「ありがとう」という気持ちを込めてカルロに視線を送ると通じたのかニコッと笑顔を返して、また話し始めた。
「周辺地域のことから説明するとここ王都ことハイム王国王都レイグバドルを中心として考えた場合、ウィルドは南東にあるよ。他にもこのあたりには
ここらでは一番の圧倒的な軍事力を有する『バルザレイド帝国』
商工業の名家が集まって国を形作っている『セクルム商工業連合国』
創造神フェラールを祭っている『神聖クラト帝国』
などが存在しているんだよ。」
「へぇ〜。それにしても今自分たちがいるこの王都の正式名称はレイグバドルっていうのか。初めて知ったよ。」
その言葉にベルムが驚いたように言った。
「ユウ知らなかったのか!?俺は領内にいたから国や首都の名前は分かると思って、王都と言っていたのだが・・。」
(そりゃあ、そうだよな。普通はそんなやついないわな。)
「というか地図も持たずよくここにたどり着いたな。」
「えっと・・・・それは。」
痛いところをつかれて、いい説明が見つからないために僕は少し戸惑ってしまった。
すると、今度はセインさんから救いの手が差し伸べされた。
「ベルム、そんなことより早く依頼の詳細を説明しなさい。時間は限られているのですよ。」
「おお、悪い悪い。じゃあ、話を戻すぜ。今回はそのウィルドで過度の干上がりがあった。その干上がりをなんとかするのが俺たちの仕事だ。」
「ですがあそこは砂漠ですし、そのようなこともあるのでは?そもそもウィルドは水の精霊の加護を受けし国、水の魔法を使えば良いでしょうに。」
「それはあちらも直ぐにやってみたみたいだ。だがいくら発動しても魔法が打ち消されてしまうらしい。」
「魔法が打ち消されるのは厄介ですね。僕たちも魔法が使えないのでは作業効率が大幅に下がってしまいますよ。」
上から順番にセインさん、ベルム、カルロと言葉を交わす。
「それは心配要らない。使えないのは水の魔法だけであって、他の魔法は発動可能のようだ。」
「水の精霊の加護を受けし国なのに水の魔法が使えないのではウィルドの人たちは大丈夫なの?」
今までの会話で思った率直な疑問を聞いてみた。
「ウィルドは生活のほとんどに水が使われているため、国家としての機能もあまり果たしていない。以上のことがあり、とても危険のため、万全の準備で現地に赴き、早急に解決することが求められるので困難な依頼となると思われるが皆全力を尽くしてくれ。以上だ。」
いつもと違ったベルムに少し驚きながらも大まかな話の流れを理解した。
「ベルムもやる時はちゃんとやるんだな。」
「まあ、これでも隊長の位を預かっているからな。」
「その隊長の位を預かっている人がグラニクスに気絶させられるので?」
「あの時はちょうどグラニクスの繁殖期で気性も荒かったからしょうがないだろ。」
前の森の話などで盛り上がり、依頼内容の確認は飲み会に変貌した。その後、カルロと僕は寝入ってしまったがベルムとセインさんの会話?は深夜まで続いたという。