8話 武器屋に行こう
ベルムと共に人ごみの中を進むこと数十分、自分達の前に剣がたくさん置いてある店が見えた。
「ユウ、ここが武器屋だ。」
「へぇ〜。ここが武器屋か〜。」
店をよく見ると剣から槍、杖の武器と鎧や盾などの防具まで数多く取り揃えてある。
「たしかユウは武器などを持っていなかったよな?」
「そういえばそうだな。」
「いくら魔法使いであっても魔力が切れることはあるんだから護身用の剣やナイフを一、二本、あと魔法発動の補助や消費魔力の削減のために杖などを持っていた方が良いと思うぞ。」
「なるほど。だが持っていた方が良いことはわかったが自分に何が合うのかがわからなくて選びようが無いんだが・・。」
「それなら心配はいらないぞ。」
そう言うとベルムは店の中に入っていき、しばらくすると体格のいい男の人を連れて帰ってきた。
「この人はこの武器屋のガバンさんだ。ガバンさんは武器屋歴30年のベテランでな、誰にどんな武器があっているのかが長年の感覚でわかる人なんだ。俺も武器のことではとても世話になっているんだぜ。」
「よう。君がユウか。俺がガバンだ、よろしくな。ベルムから話は聞いているからまずはユウの魔力を測定するぞ。」
「はい。お願いします。」
「よし。じゃあ、中に入ってくれ。」
店内に入るとガバンさんとその前に置いてある水晶のようなものが目に入った。
「これなんですか?」
「これは魔力測定器だよ。これで魔力の数値や色などを調べるんだ。」
「色、ですか?魔力に色なんてあるんですか?」
「そうだよ。魔力の色で火、水、雷、風、光、闇の六つの属性に分けることが出来てその色で自分の得意属性がわかるんだ。まあ、実際に測ってみようか。その水晶に手で触れてくれ。」
自分はガバンさんに言われたとおりに水晶に触れる。
「じゃあ、その水晶に魔力を流れ込ませるようなイメージで魔力を発してみてくれ。」
「こうですかね?」
水晶に触れたまま自分は魔力を発するイメージをしてみる。すると、体内に冷たい水が流れているような感覚がした後に水晶が光った。
「今、魔力を発する際に指先に向かって違和感があったと思うんだがどうだろう?」
「はい。確かに冷たい水が指先に向かって流れているような感覚がありました。」
「そう。それが魔力の流れなんだ。その感覚は魔法を使う時に重要だから忘れないようにな。お、そろそろ結果が出るんじゃないかな。」
すると水晶が青白く光った後に透明だった水晶が黒く染まっていた。
「ん?こ、こりゃまた珍しいのがきたな。」
ガバンさんの反応に自分とベルムも少し緊張する。
「何かありました?」
「ユウ、君の魔力の属性がわかったぞ。ユウの属性は・・・・闇だ。」
「へぇ。そうなんですか。そんなに珍しいんですか?」
今まで黙っていたベルムが呆れた声で話しだす。
「ユウ、お前は何も知らないんだな。この世界の六割が魔法の使える人だが、その中で使用の割合が高い順に火と水、雷と風、となっているが光と闇の割合は一割にも満たないんだ。だから闇はそれほど珍しいと言われるわけだ。」
(こちらの世界に来る時に頼んだ黒魔術がこちらの属性でいう闇属性となっているとはな。そういや、どう魔法を使えばいいんだ?まだグラニクス戦で使ったフレムという火の玉を出す魔法しか知らないんだがな。)
「ベルムの言ったとおり光と闇は使用頻度極端に少ないため珍しく、かつ使いこなすことが難しい。だから自分に合った武器でその難しい魔法を容易に発動できるように補助できて、本人の真の強さを引き出すことができるかが俺たち武器屋や鍛冶屋の腕の見せどころってわけだ。じゃあ、いまから武器づくりに必要な質問をするから答えてくれ。」
「は、はい。わかりました。」
数十分後
「よし!これで質問は終わりだ。明朝にはユウの武器が完成しているはずだから楽しみにしていてくれ。」
「お願いします。」
自分はぺこりと頭を下げると明日の朝がくるのを心待ちにしながらガバンさんの武器屋を出た。
悠がワクワクしているなかベルムは疲れた表情をしていた。
「おぉ、やっと終わったか。」
「待たせて悪かったな。」
「まあ、いいさ。それにしても人の武器を作るのを待つのがここまでキツいことだとは思わなかったぜ。」
「そうだな。作っている側は楽しいもんな。」
「じゃあ、武器のことはガバンさんに任せて俺たちは道具屋に行くか。」
「そうしよう。」
???視点
(我の元にくるか力ありし者よ。やはり我とそなたは通じ合うことができるのかもしれないな。ふふ、そなたが我の前に姿を現すのが待ち遠しいぞ。)