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『その手を言葉にできたら』 ― 行動でしか伝えられない彼女と、言葉でしか繋がれない彼 ―  作者: 南蛇井


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3

夕暮れの校門前。

風が冷たく、舗道を転がる落ち葉が小さく擦れる音を立てていた。

西の空は茜色に滲み、沈みかけた陽が街の屋根を朱に染めている。


奏が鞄を抱えて歩き出す。

背筋をまっすぐに伸ばしているのに、どこか寂しげだった。

透は少し離れた場所で、その背中を黙って見送る。

声をかけることもできず、ただ指先をポケットの中で握りしめる。


風が吹き、落ち葉がふたりのあいだを舞い上がる。

一瞬、視界を遮るように。

足もとに残っていたふたりの足跡を、砂埃がすぐに消していった。


モノローグ


「何も言わない優しさと、

 何も聞けない臆病さ。

 その境目が、わからなくなっていく。」


モノローグ


「沈黙が“思いやり”じゃなくて、

 “距離”になる瞬間がある。」


遠くでチャイムの音が一度だけ鳴る。

もう放課後も終わり、夜が街を包もうとしていた。


奏の姿が、曲がり角の向こうに消える。

透は小さく息を吐き、校舎を見上げる。

窓ガラスに残る光が、最後のひと息のように淡く揺れた。


秋風が再び吹き抜ける。

舞い上がった落ち葉が夕陽に照らされ、

やがて地面に静かに降り積もる。


――夕陽が沈み、校舎の影がふたりを分断する。

言葉の季節は終わり、

沈黙の季節が、静かに始まっていた。

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