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『その手を言葉にできたら』 ― 行動でしか伝えられない彼女と、言葉でしか繋がれない彼 ―  作者: 南蛇井


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6

透は、夕風に髪を揺らしながらふと空を見上げた。

 雲の端に残る光が、ゆっくりと夜の青に溶けていく。

 > 「……明日は晴れるかな」

 誰に向けるでもないその言葉は、風に乗って遠くへ流れた。


 同じころ。

 奏は静まり返った教室の窓辺に立ち、同じ空を見ていた。

 開け放たれた窓から入る風がカーテンを揺らし、

 机の上のプリントが一枚、ひらりとめくれる。


 その紙面には、文化祭のポスターの写真。

 中央にはまだ――白い余白が、ぽつりと残っていた。

 塗りきれなかった空白。

 それはまるで、今の二人の心の間に漂う“言葉にならない距離”のようだった。


 風がまた吹き、校舎の外の水たまりを揺らす。

 そこに映る空は晴れているのに、

 波紋が広がるたび、映像はかすかに歪んでいく。


 ――その歪みこそ、まだ溶けきらない思いのかたちだった。

 夜の気配が降りてくる中、

 ふたりの時間は、静かに同じ空の下で続いていた。

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