表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『その手を言葉にできたら』 ― 行動でしか伝えられない彼女と、言葉でしか繋がれない彼 ―  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/94

5

提灯の光が、夜風に揺れている。

ざわめく人の波の中で、

二人は別々の場所にいながら、

同じ夜の色を見上げていた。


──奏。


北條と並んで歩きながら、

人混みを抜けるたびに、肩が少し触れた。

紙袋の重みが消えて、ふっと胸が軽くなる。


(透くんの言葉は、優しいけど――どこか距離がある)

(“頼ってほしい”って言われると、

 ちゃんとできていない自分を、見透かされる気がして)


北條の笑い声が混じる。

彼は何も言わず、ただ前を見て歩いている。


(……北條くんは、ただ“やってくれる”だけだから)

(それが、こんなに安心するなんて)


──透。


人混みの外れ、屋台の灯りが届かない場所で、

彼は立ち止まっていた。

掌の中で、スマホの光が滲む。


(僕は、行動してるつもりだった)

(彼女の言葉を待たずに、支えようとしてた)

(……でも、きっと“言葉”の形を間違えたんだ)


夜空に、最初の花火が上がる。

破裂音が空気を震わせ、

光の花がふたりの間に広がっては、すぐ消える。


(伝えるって、こんなに難しいのか――)


音の余韻だけが残り、

それぞれの心の中で、

まだ消えきらない火花が静かに揺れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ