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人の流れが途切れた瞬間、
透は足を止めた。
灯籠の列の向こう――
赤と白の光が揺らめく中で、
奏が北條と並んで歩いているのが見えた。
北條の手には、さっき奏が抱えていた袋。
二人の距離は近く、
言葉のやり取りは聞こえないけれど、
笑い声だけが人混みのざわめきに紛れて届いた。
透は息を呑む。
胸の奥が、じん、と締めつけられる。
(……ああ、そうか)
――自分が「手伝うよ」と言ったとき、
彼女は首を振った。
けれど、同じ言葉を別の誰かが口にすると、
その手を、すっと預けられるのか。
(どうして、俺じゃだめなんだろう)
提灯の明かりが風に揺れ、
透の影が足元で波のように滲む。
光と音の渦の中で、
自分だけが静止画のように取り残されていた。




