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『その手を言葉にできたら』 ― 行動でしか伝えられない彼女と、言葉でしか繋がれない彼 ―  作者: 南蛇井


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3

そのとき、

屋台の赤い灯の向こうで、手を振る影があった。


「――あれ、藤原?」


振り向くと、北條が氷の袋を片手に立っていた。

肩にはタオル、浴衣の上からでもわかる快活な雰囲気。

人混みのざわめきの中で、彼の声だけが不思議とまっすぐ届いた。


「一人?」

「ううん、今ちょっとはぐれちゃって」


奏が答えると、北條は軽く笑い、

持っていた紙袋を持ち直した。


「重いだろ、それ。持つよ」

「え、でも――」

「いいって。部活でお世話になってるし」


その言葉の調子には、

押しつけでも、気遣いの裏もなかった。

ただ“当然”のように差し出された手。


奏は一瞬だけためらい、

それから小さく息をついて紙袋を預けた。


「……ありがとう」


そう言って笑った顔は、

どこか解けるようにやわらかかった。

その笑みは――透にも、まだ見せたことのない“力の抜けた笑顔”だった。

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