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『その手を言葉にできたら』 ― 行動でしか伝えられない彼女と、言葉でしか繋がれない彼 ―  作者: 南蛇井


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2

透はスマホの画面を見つめ、

人の流れの合間に小さく苦笑した。


「成瀬たち、もう屋台のほう行ってるらしい」

「じゃあ、そっち行こうか」


提灯の明かりが画面に映り込み、

指先に赤い光が滲んでいる。


奏は小さくうなずいた。

だが、その声は人々のざわめきにすぐ呑まれ、

夜の空気に溶けていった。


金魚すくいの水音、綿あめの機械の回転音、

浴衣の袖が擦れ合う音――

そのどれもが、ふたりのあいだの言葉を遠ざける。


屋台の明かりに照らされた奏の横顔は、

ほんの少し疲れて見えた。

それでも彼女は、

「大丈夫」とでも言うように柔らかく微笑んでいた。


透は人混みをかき分けながら、

後ろを振り返る。

そのたびに、奏との距離が少しずつ開いていくのに気づく。


「……藤原さん?」


呼びかける声は、風に流されて届かない。

夜のざわめきの中、

二人の影だけがゆっくりと離れていった。

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