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奏は、定規の端を押さえながら、目の奥がじんわりと熱くなるのを感じていた。
(“言葉”で言われると、責められてるみたい……)
(ちゃんとやってるのに、まだ足りないって言われてる気がする)
筆先が震え、描いた線がわずかに歪む。
透のほうを見ようとしても、視線が宙を泳いでしまう。
一方、透はそんな彼女の横顔を見つめながら、唇を噛んだ。
(“行動”だけじゃ、伝わらないことがある)
(話し合えば、もっと良くなると思うのに――)
ふたりの思考は、同じ方向を目指している。
けれど、線は交わらない。
まるで、ポスターの上で少しずれたデザイン案のように――
わずかなズレが、そのまま距離になっていった。




