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『その手を言葉にできたら』 ― 行動でしか伝えられない彼女と、言葉でしか繋がれない彼 ―  作者: 南蛇井


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3

奏の視線が、机の上のプリントの山へと落ちる。

その白い紙面が、いまはまるで“壁”のように見えた。


「……言われなくても、ちゃんとやってる」

「言葉にしなくても、伝わると思ってた。」


かすかな息と一緒にこぼれた言葉は、

誰に向けたものでもないように静かだった。


透はその横顔を見つめ、少しだけ目を伏せる。

ため息ではなく、深呼吸のようにゆっくりと息を吐く。


「伝わる人もいるけど、気づけない人もいる。

 僕も……そうだったし。」


その“自覚のある優しさ”に、

奏は言葉を探したが、どれも喉の奥でほどけていった。


沈黙。

遠くの校庭から、笛の音が風に乗って届く。

窓の外の空は、ゆっくりと群青へと変わりはじめていた。

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