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『その手を言葉にできたら』 ― 行動でしか伝えられない彼女と、言葉でしか繋がれない彼 ―  作者: 南蛇井


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2

透は机の上に広がる紙束を見て、思わず苦笑した。

プリント、領収書、チェックリスト――そのどれもが几帳面に並び、蛍光ペンの色で仕分けされている。


「……手伝うよ。二人でやったほうが早いし。」


そう言って椅子を引く音を立てた瞬間、

奏はすぐに顔を上げ、首を横に振った。


「大丈夫。もう少しで終わるから。」


声はやわらかく、礼儀正しい。

けれど、その響きの奥に、どこか拒むような硬さが混ざっていた。


透は一瞬だけ、口をつぐむ。

窓の外では、部活帰りの生徒たちの笑い声が遠くに消えていく。


「……君、なんでも一人で抱え込むね。」


何気ないつもりで言った言葉だった。

だが、奏の手がぴたりと止まる。蛍光ペンの先が紙の上で小さく震える。


「それを、“悪いこと”みたいに言わないで。」


その声は静かで、でも明確だった。

透は少し驚き、息を呑む。


「そういうつもりじゃないよ。

 でも、言わなきゃ――気づいてもらえないんだよ。」


透の言葉が教室に落ちる。

その“やさしさ”が、なぜか余計に距離を作っていくようだった。

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