表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/38

07.


遠い昔は、種族関係なく暮らしていた。

 

けれど人間は、どの種族よりも弱く、力がなかった。

その事で、他種族も人間にすごく気を遣っていた。

それが、人間側にとっては、排除されたように感じた。

 

徐々に人間と他種族の間に溝ができた。

人間は唯一繁殖能力に優れており、すぐに他種族よりも数が増えた。

増えた人間は、他種族を下に見るようになった。

何をしても、やり返してこなかったから。

 

いつしか人間が一番だと勘違いをし、他種族を差別し、迫害するようになった。


人間は人間の国を作り、他種族を廃した。


他種族も人間と争うことはないと考えて、他種族だけでコミュニティを作った。


だが、人間はそれだけでは、終わらなかった。

迫害しておいて、やり返されるのが怖くなったからだ。

そうして、他種族を奴隷にし、自分たちの下に置きたがった。


ついに我慢出来なくなった他種族は、侵略はしないが、徹底抗戦する事になった。

それが、人間と他種族の戦争の始まりだ。


もちろん、争いを好まない種族は、隠れ住む事になった。


「初めは、誤解から。次第に人間は調子に乗ったと言う事ね。さすがにやり過ぎと言うことで、(うち)に報告があがったのね。」


「推測も入っているが、人間以外の誰に聞いても、それほど話に差異は無いはず。」


人間は恐怖に負けて、調子に乗った、と。

最高神が、多種族にそれぞれ違う特徴を与えたのには、意味があると言うのに。

そんな事も考えなかったのだろうか。


「それで、リトヴェルクは、どう言う経緯で奴隷になったの?奴隷になって、どんな事をしていたの?」


「胸糞悪い話だよ。集落の女子どもを人質にされたんだ。従うしかなかった。奴隷になったらなったで…。獣が人間の言葉を話すなとか、性の世話しろとか、手を使って食べるなとか。酷い時は、同種族同士で殺し合いをさせられたり、殺した仲間を食べさせたり…思い出したくもねぇ。」


「そう…。それは、胸糞悪いわね。…ふふ、同じ事をしてやろうかしら?ふふふふ…。」


目の前の二人が、怯えた目で私を見る。

思わず、殺気が漏れてしまった。


「話してくれて、ありがとう。嫌な事を思い出させてごめんなさいね。」


「いや、別に。」


人間以外の他種族側の話は聞けた。

やはり、こちら側に来て、正解だった。

あちらでは、本当の事を教えてくれなかっただろうから。

例え、同じことをしていなくても、傍観者は加害者と同じ。

全ての人間が、他人事ではなく、自分事として捉えてもらわないと。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ