07.
遠い昔は、種族関係なく暮らしていた。
けれど人間は、どの種族よりも弱く、力がなかった。
その事で、他種族も人間にすごく気を遣っていた。
それが、人間側にとっては、排除されたように感じた。
徐々に人間と他種族の間に溝ができた。
人間は唯一繁殖能力に優れており、すぐに他種族よりも数が増えた。
増えた人間は、他種族を下に見るようになった。
何をしても、やり返してこなかったから。
いつしか人間が一番だと勘違いをし、他種族を差別し、迫害するようになった。
人間は人間の国を作り、他種族を廃した。
他種族も人間と争うことはないと考えて、他種族だけでコミュニティを作った。
だが、人間はそれだけでは、終わらなかった。
迫害しておいて、やり返されるのが怖くなったからだ。
そうして、他種族を奴隷にし、自分たちの下に置きたがった。
ついに我慢出来なくなった他種族は、侵略はしないが、徹底抗戦する事になった。
それが、人間と他種族の戦争の始まりだ。
もちろん、争いを好まない種族は、隠れ住む事になった。
「初めは、誤解から。次第に人間は調子に乗ったと言う事ね。さすがにやり過ぎと言うことで、神に報告があがったのね。」
「推測も入っているが、人間以外の誰に聞いても、それほど話に差異は無いはず。」
人間は恐怖に負けて、調子に乗った、と。
最高神が、多種族にそれぞれ違う特徴を与えたのには、意味があると言うのに。
そんな事も考えなかったのだろうか。
「それで、リトヴェルクは、どう言う経緯で奴隷になったの?奴隷になって、どんな事をしていたの?」
「胸糞悪い話だよ。集落の女子どもを人質にされたんだ。従うしかなかった。奴隷になったらなったで…。獣が人間の言葉を話すなとか、性の世話しろとか、手を使って食べるなとか。酷い時は、同種族同士で殺し合いをさせられたり、殺した仲間を食べさせたり…思い出したくもねぇ。」
「そう…。それは、胸糞悪いわね。…ふふ、同じ事をしてやろうかしら?ふふふふ…。」
目の前の二人が、怯えた目で私を見る。
思わず、殺気が漏れてしまった。
「話してくれて、ありがとう。嫌な事を思い出させてごめんなさいね。」
「いや、別に。」
人間以外の他種族側の話は聞けた。
やはり、こちら側に来て、正解だった。
あちらでは、本当の事を教えてくれなかっただろうから。
例え、同じことをしていなくても、傍観者は加害者と同じ。
全ての人間が、他人事ではなく、自分事として捉えてもらわないと。