06.
砦に移動した私たちは、広い部屋に案内された。
メンバーは、私、バルシュミーデ、リトヴェルクの三人。
私は被っていたフードを脱いだ。
「顔を見せたくないものだと思ったのだがな。」
「人間…?」
二人の警戒心が上がった。
リトヴェルクに至っては、殺気すら漏れている。
「どっちも半分正解。人間側に、顔を見られたくないだけ。あなたたちなら、構わないわ。人間なのは、外側だけね。」
言葉だけでは、納得しないだろう。
私は、セレンの身体から抜け出し、本来の姿を見せた。
私が誰なのか、本能的に悟った彼らは、首を垂れて跪いた。
《私の名はセラフィレーネ・リオーラ・アシュラン・フォルト。裁定と恩恵と報復の女神である。最高神フェルメウスより人間以外の他種族の保護及び、人間の裁定に遣わされた。》
私は名乗りを終えると、すぐにセレンの身体に戻った。
彼らは、その場に座り込んでしまった。
「と、言う事で、話しがあるの。……もう少し待ちましょうか?」
今だに身体が震えている彼らが、少し不憫に思って声をかけた。
「す、すみません……」
彼らが復活するには、少し時間がいるらしい。
異空間からティーセットを出し、しばし休憩する。
「申し訳ありませんでした。大丈夫です。」
「すいませんでした。えと、女神様におかれましては…。」
「ああ、そう言うのは無しで。それよりも、あなたたちに協力をお願いしたくて。」
「出来うる限りの協力をさせていただきます。」
バルシュミーデの隣で、リトヴェルクも頷いている。
「一つ目、迫害された経緯、戦争になった経緯、奴隷になった経緯なんかを一通り教えてもらいたいわ。二つ目、保護した他種族をフリューゲルで受け入れをお願いしたい。三つ目、フリューゲルの領土を取り戻すために、戦争に協力したい。と、まあ、こんな感じかしら。」
「一つ目は、わかりました。お話しします。二つ目、三つ目は、我が王を交えて、話をさせてもらいたい。一緒に中央に来てもらえるだろうか?」
「ええ、構わないわ。」
確かに王でなければ判断しづらいだろう。
魔王とは話しがしたかったから、丁度良かった。
「それで、これまでの経緯でしたな。」
バルシュミーデは、自らの推測を交えて話してくれた。