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ネメシスの天秤  作者: 氷桜 零
魔族侵攻編
6/31

04.


国王陛下との謁見から、早数ヶ月。

 

セテラディート公爵邸は、想定通りに警備が強化された。

私にも、常に護衛がつく事になった。

母は何か喚いていたが、聞く価値がなかったので聞いていない。


この数ヶ月で変わった事、それは、父とクレア、クリスとの関係。

父は宣言通り、基本的に夜には邸に帰って来た。

夕食の前後で、必ず話し合いの時間を取るようになった。

心なしか、雰囲気が柔らかくなったと感じる。


そして、クレアとクリス。

父から二人に話をしたらしく、時々邸に帰ってくる事になった。

まだまだ距離は遠いが、少しずつ話をするようになった。


私が地上に降りて来た当初では、考えられないほどの進歩だ。


だが、良い方向に変化する毎に思う。


全て、無駄なのに、と。


彼らは、いつか知るだろう。

とっくの昔に、セレンは死んでしまったのだと。

それがいつになるかわからないが、知らないままと言うことは、ない。


そしてもう一つ。

神力を使って、広げた噂。

あれも、順調に進んでいる。

そろそろ、侵入者が来そうな感じがする。

ここ数日、外から誰かが見ている気配がする。

護衛たちは気づいていないようなので、相当な腕の持ち主かと思われる。

一体、いつ来るのかと期待しながら、今日もベッドの中で眠りにつく。


 


―――――

 

深夜。

灯りが消え、殆どの生き物が眠りにつく頃。

 

音も立てずに、扉が開いた。

男はベッドで眠る少女を確認し、窓を開けて、合図を送った。

念の為、眠り薬を嗅がせ、抱き上げる。

そしてまた、音を立てずに窓から外に出た。

少し離れたところに、仲間が待機している。

多少、警備が厳しくなっていたが、男たちにとっては関係がなかった。

全力でその場を離れ、取り引き現場であるスラム街に向かった。


スラム街では、不機嫌な男が一人、男たちを待っていた。


「遅かったではないか!」


「これでも急いだ。依頼は完了したんだ。文句はないだろう。」


「ちっ…確認する。」


誘拐犯は、少女をドサッと置いた。


「確かに、間違いない。ご苦労。」


「ええ、本当に、ご苦労様。」


その場に、場違いな女の声が響いた。

誘拐犯たちは、瞬時に武器を取り、警戒する。


よいしょっと、と言う声と共に、少女が服の誇りを払って起き上がった。

三人の男は、少女を凝視する。

瞼を閉じたままの少女は、警戒心がないかのような微笑みを浮かべる。

その光景に、不気味な何かを感じたのは、気のせいではない。


「ありがとう。そして、おやすみなさい。」


声が聞こえるや否や、目の前が闇に閉ざされた。




 ―――――


セレンは丁寧に挨拶すると、自分に血がかからないよう、一瞬で首を刈った。


「さて、これで時間が稼げるはず。」


何処から手をつけようか?

魔族、半精族、獣人族…


まずは、安全地帯の確保。

それから、奴隷の解放。


この順番でやって行こう。




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