表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/55

50.


部屋の中に入った瞬間、ベットに意識が引き寄せられた。


お見舞いに来ていたのは、皇帝陛下と専属の医師だった。

私の到着を聞いて、こちらにやって来たのだとか。

私は、それらの話を、半分の意識で聞いていた。


どうにも、ベットの住人が気になって仕方がない。

ベットにいるのは、皇妃だろう。

ここで違うと言われたら、それはそれで驚くが。


私は断りを入れ、ベットに近づいた。

近づいてみて、はっきりとわかった。


「呪われている…。」


部屋中から、息を呑む音が聞こえる。


呪いを解くことは簡単だが、近くに呪いの媒体があるはず。

呪いの媒体を壊さないと、治療してもすぐに元通りになる。

呪いと言えど、かけるときは魔力を使う。

魔力の痕跡を辿れば、呪いの媒体に行き着く。

皇妃から出ている魔力の線を辿り、部屋の中を歩く。

私が辿った先は、見舞い用の花を生けている花瓶。


「おそらく、この花瓶が呪いの媒体かと。どういたしましょう?」


「少し待ってくれ。魔法師を呼ぶ。」


「かしこまりました。」


皇帝が誰かに命じ、魔法師を呼びに行かせた。


「だが何故、呪いだとわかった?」


「治癒魔法と鑑定魔法のおかげでしょうか。私も何となくわかっただけですので…これ以上は、何とも…。」


「そうか…。だが、皇妃の身体がよくならなかった事に説明がつく。」


皇帝は呪いに関して、心当たりがないそうだ。

正確には対象が多すぎて、一番可能性が高い人物に心当たりがない、と。

皇帝の妃なら、知らないうちに嫉妬を買っていても、不思議ではない。


 

皇帝の話を聞いているうちに、魔法師が到着した。

年齢の高いその人は、宮廷魔法師の筆頭だとか。

彼に花瓶を見てもらうと、確かに呪いの媒体だと言う事が証明された。

そうと思って見なければ、わからないほどの微かな形跡だった。


「誰が犯人かわかるか?」


「そこまでは…。ですが、この花瓶に使われているガラスは、普通のガラスと違うように思います。特殊な染料で着色されたガラスですね。」


「特殊な染料とガラスか…そこから炙り出せるか…?侍従長、ガラス職人に調べさせてくれ。」


「かしこまりました、陛下。」


皇帝の指示のもと、侍従長が退出した。

特殊なももだと言うのなら、すぐに犯人か関係者が引っ掛かるだろう。

私が手を出すのはここまで。

もともと、皇妃の治療のために呼ばれたのだから、治療さえすれば、あとは皇帝たちの仕事だ。


「陛下、皇妃様の治療を行っても?」


「ん?ああ、待たせたな、よろしく頼む。」


「はい。」


再び皇妃の側に近寄る。

両手を翳し、神術を発動させる。


皇妃の身体が、柔らかい光に包まれた。

しばらくすると、徐々に光は弱まり、空気に同化して消えた。


「ん…あら?私は…。」

 

治療が完了すると、すぐに皇妃が目を覚ました。

皇妃は、自分の周りにいる人間たちを見て、首を傾げる。


「皇妃よ、目が覚めたのだな。良かった。」


皇帝が皇妃を抱きしめ、感慨深く呟く。

部屋に漂っていた緊張も、いくらか和らいだ。


私はこの空気を壊さないように、そっと部屋から退出した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ