45.
野外演習が終わった後は、三日間の休暇を与えられている。
野外演習に参加していない人間は、当日を含め、四日間の休暇が与えられている。
私はこの三日間、次なる問題に向けてゆっくりしようと思った。
思ったのだが、明日、王城に呼ばれてしまった。
理由はもちろん、昨日の野外演習に関する事。
いるはずのない、危険度の高い魔獣。
その事だけではないだろう。
それだけならば、王城にまで呼ばれない。
魔獣の出現以外の、何かしらの要因で呼ばれた、と考えるのが自然。
私以外に、宰相として父も参加するそうだ。
気楽な三日間の休暇が、一気に憂鬱な期間になった。
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父と共に、王城の大会議室に来ている。
知ってる気配は、国王、第一、第二、第三王子、ルオンダークの皇子、聖女候補、学園長、野外演習にいた騎士数名と教師数名。
他にも、知らない気配が多数。
大会議室の雰囲気は、始まった当初からすごく重い。
議題はやはり、魔獣の出現について。
森をくまなく調査した結果、召喚魔法の痕跡が出てきたらしい。
野外演習が行われるこの時期に、誰かが故意に、魔獣を召喚したと言う事。
国王は王族の命を狙ったとして、騎士団に引き続き調査を命じた。
次の議題は、王子の責任問題について。
魔獣が出現した時、虚勢を張った王子が騎士を追い越して、魔獣に切り掛かったとの事。
その結果、怒った魔獣が、さらに被害を拡大させた。
「どのような処分でも受ける所存です。」
普段の様子とは真逆。
神妙な態度で、大人しく処分を受けると言う。
幾人もの人間が、ギョッと王子を見たのがわかった。
第一、第二王子の気配も、不信感を滲ませている。
それほど、あり得ない状態らしい。
王子の処分は、王位継承権の長期停止と、王子の資産から、治療代を私と神殿に支払うこと。
王子はその処分に、大人しく了承した。
王子の処分が終われば、議題が終了とのこと。
やっと帰れるな、と思っていると、国王からお呼び出しがあった。
控え室で父と待っていると、しばらくして国王が入ってきた。
「セレン嬢、此度はご苦労だった。我が国でルオンダークの皇子が亡くなったとなれば、どれほどの非難と制裁が下ったかわからん。本当に、助かった。」
非公式だからか、国王が頭を下げて、感謝の意を示した。
「だが、問題が一つ、いや、三つほど持ち上がった。」
聖女候補筆頭よりも、強い治癒魔法を発動したことで、神殿が騒ぎ立てている事。
第三王子が私に求婚している事。
ルオンダークの皇子が私に求婚していること。
どれも面倒な、厄介事だった。




