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42.


野外演習当日。

 

まる一日を使って、近場の森に魔獣討伐に向かう。

今日は戦闘ができる教師全員と、王族が参加するので、騎士も護衛についている。

訓練とはいえ、何かあっては大変だからだ。

生徒たちは、教師が決めたグループごとで、行動する事になる。

 

私と聖女候補は、集合場所であり、本部でもある広場で待機する。

怪我人が出たら誰かが連れてくるか、そちらに向かう事になる。


私は暇になるかもしれないので、レース編みセットを持ってきた。


教師からの諸注意が終わると、グループごとに分かれて順次、森に入って行った。


森といっても王都から近い森なので、よっぽどのことがない限り、安全は保証されている。


私と聖女候補は、救急場所であるテントで椅子に座って待機した。

私の後ろにはもちろん、グレアムが護衛してくれている。

敵や魔獣だけでなく、聖ロベスタ公国も警戒対象なのだ。


「あの…」


さあレース編みを、と思っていたら、聖女候補から声がかかった。


「私、エスメラルダ・カロットと言います。同じクラスですが、話したことがなかったですよね。今日はよろしくお願いします。」


「セレン・セテラディートと申します。こちらこそ、よろしくお願いします。」


「セテラディート様は、どの程度の怪我を治せますか?」


いきなり聞くのか、それを。


「そうですね…。機会がなくて、小さな怪我くらいしか治したことがありませんわ。」


「そうだったんですね。ではぜひ、神殿に来てください!色々学べますし、治療の機会も多いですから!」


背後のグレアムが、緊張したのが伝わってくる。


「申し訳ないのですが、神殿は敷居が高いですし、治療をメインでやっていく訳ではないので。また機会がありましたら。」


「そうですか…残念です。でも、機会があったら、ぜひ!」


「機会があれば。」


どこで言質を取られるかわからないので、曖昧に濁す。

こう言う時、絶対に肯定してはいけない。


 

午前中の魔獣討伐は二時間ほど。

午前の討伐が終われば、昼食をたべるために、一旦広場に戻って来る。

体感的に、もうそろそろ帰って来るだろう。


そう考えていると、森から生徒たちが戻り始めた。

袋を抱えているグループもいれば、何も持っていないグループもいる。


討伐で怪我をした生徒が、私たちの前に並び始めた。


「おい、どけ!俺は伯爵家だぞ!俺が先だ!」


どこにでも、自分を優先したい人間が居るようで。

教師がすかさず、フォローを入れて並ばせた。

教師も大変な仕事だと思う。


治療は特に困ることなく、無事に全員の治療が終わった。

各々昼食を始めているので、私も持ってきたランチボックスを開ける事にした。




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