41.
食堂での騒動の件以降、王女は度々問題を起こした。
それは、王女だけの話ではない。
第三王子もまた、王女同様、問題を起こしていた。
国王や兄王子たちがの懸念が、見事に的中していた。
王女も王子も選民意識が強く、身分が低い者、特に平民や男爵家の者に対して高圧的だ。
彼らがミスをした時はもちろん、自分の機嫌が悪いと言うだけで、八つ当たり的に絡んでいく。
八つ当たりされた方は、たまっものではないだろう。
また、王女と王子は、留学生であるルオンダーク皇国の皇子と皇女にも絡みにいく。
同性にはライバル意識か高圧的に、異性には自分に好意を持って当然と言ったように接している。
よく国際問題に発展しないものだと思った。
おそらく事前に話を通しているのだろう、私の時と同じように。
食堂の件以降、王子、王女絡みで問題が起きれば、何故か皆んな私に話を持ってくる。
何とかしてほしい、とお願いされるわけではないけれど、こうこう言うことが起こっています、と報告される。
報告された以上、無視するわけにもいかず、介入することになる。
そして、自然と王子、王女の問題は私に、となるわけだ。
やめてほしい。
さらに介入すればするほど、目の敵にされて、蔑まれるわ、睨まれるわで、本当に迷惑な話だ。
学園生活で仲のいい友人を、と言っている場合ではない。
トラブル解決に私を呼ぶのに、普段は避けられる。
まあ今の状態だと、私と仲良くすればもれなく睨まれるから仕方ないが。
トラブル解決で、三年間が終わってしまいそうだ。
なので私と対等に会話をしてくれる人間は、ルオンダークの二人だけだ。
その二人とは、親しい知人くらいには仲良くなったと思う。
昼食も時々、ご一緒させてもらっている。
この二人がまともで、本当に良かった。
聖ロベスタ公国の二人とは、今の所ほとんど絡みがない。
見られている視線は感じるが、話しかけてこないので放っておいている。
余計なトラブルはいらないから。
出来ればこのまま過ごしたい、と思っていたが、関わらざるを得ない状況ができてしまった。
学園の授業の一環で、希望者のみ野外演習である、魔獣討伐訓練に参加することになった。
もちろん私は、希望していない。
していないのだが、治癒魔法師との事で、参加してほしいとお願いされた。
かなり切実にお願いされたので、仕方なく了承を返した。
そして治癒魔法師としてお願いされたのは、私だけでなく聖女候補の彼女も同様だ。
むしろ彼女は率先して、参加を表明していた。
もちろん聖騎士候補の彼も参加するようだ。
治癒魔法師として、誰が参加するのかを聞いたところ、
自国の王子とルオンダークの皇子も参加するとか。
無事に、野外演習が終わることを願った。




