間話1
セレンが退出した後、少し姿勢を崩した国王陛下は、呆れた目でアランドルを見た。
「アランドル、モルガナを押し付けた事は申し訳ないが、それとこれとは別だろう。生まれた子どもに罪はないはずだ。」
「申し訳ありません。年々母親に似てくるので、避けていました。」
「反省しているなら良い。彼女は、神殿に所属していない貴重な治癒魔法師だ。奪われるなよ。それと、きちんと話し合え。いいな?」
「御意。」
アランドルは、謁見の間を退出し、セレンが待機している部屋へ向かった。
歩きながら考えるのは、先ほどのセレンの事。
数ヶ月振りに顔を合わせた。
セレンが変わってきている事を、使用人たちから報告を受けていた。
だが、人間の本質は、すぐに変わらない。
だから報告を聞いても、避け続けていた。
今更どう接すれば良いか、わからなかった。
また、事故で目が見えなくなった事も、それに拍車をかけていた。
子どもに罪はない。
確かにその通りだ。
上、三人にしてやった事の一切を、あの子にしなかった。
私がセレンを避けているのを見て、子どもたちもセレンに対する態度を決めた。
今、冷静になって考えると、全ては自分のせいだと言うことがわかる。
国王陛下が言うように、ちゃんと話し合うべきだろう。
話し合って、何を思っているのか、何を考えているのかを聞こう。
そう、決意した。
その決意が遅すぎたと知るのは、数年後の話。