35.
私は懐かしい部屋で、目を覚ました。
どうやら、うまくいったようだ。
神力を調整して、痩せているそうに外見を変えた。
そしてボロ布を纏い、奴隷商の記憶を弄った。
もう何ヶ月も前から、奴隷商の元にいたように思い込ませる。
公爵の元に噂が届くように調整した。
最後のは、半分くらい運に賭けたが、うまくいって良かった。
わざと音を立てて、ベットから落ちる。
「お嬢様?失礼致します!」
よく知った侍女の気配。
「あ…だ、誰?」
身体を故意に震わせるのって、難しい。
「お怪我は?」
「な、ない…」
侍女が助け起こし、ベットに戻してくれた。
「少しお待ちくださいね。」
そう言って、侍女はいなくなった。
おそらく、父か侍従長か医者を呼ぶのだろう。
バタバタと、大きな足音が複数。
「「セレンっ!!」」
やって来たのは、父、兄、そして侍従長に医者だ。
「だ、誰?ここ…どこ?」
「セレン、ここはセテラディート公爵邸だ。私はお父様だ。帰って来たんだよ、セレン。」
何処からこんな甘い声が出ているのだろうか。
以前は、こうではなかったと思う。
何があったのだろう。
「セレン、ルヴィクだ。お兄様だよ。」
ルヴィク兄も、こんなに甘くなかった。
「お、お父様?ルゥお兄様?私、帰って来れたの?もう、怖いところに行かなくても良い?」
こんな感じで、良いだろうか?
今まで経験したことがないので、合っているかわからない。
「セレン、もう大丈夫だ。お父様が守るから。」
「もう怖くないよ、セレン。」
父とルヴィク兄が優しく抱きしめてくれた。
正解だったようだ。
その後、医者から診察を受けて、しばらく安静にするように言われた。
あれから、父とルヴィク兄は、ずっと私の手を握ったままだ。
何があったのか聞かれ、起きたら知っらない場所にいたこと、痛くて寒い思いをしたこと、後は覚えていないと答えた。
全て作り話なのだが、感動的な?物語になったと思う。
皆、涙を流しながら、話を聞いていた。
話終わった後は、安静にした方が良いと言う医者に従い、全員が私の部屋から出て行った。
なんとか違和感なく溶け込めそうで、安心した。
今日からまた、別の意味で騒がしい日常になりそうな予感がした。
それに、皆んなの様子からしてしばらくは、ベットの住人になりそうだった。




