34.
三度、世界中の国に激震が走った。
イ・シン王国 陥落
生存者 0
ミルド王国、マーヤ王国に続いて、イ・シン王国までもが魔族の手に落ちた。
運良く逃げることができた者以外、全て殺された。
そして、どの国よりも衝撃を受けたのは、聖ロベスタ公国だった。
万を期して派遣した聖騎士が、魔族によって殺されたのだ。
一番下の第十三席と言えど、紛れもなく聖騎士だ。
そしてその知らせは、他の国々にももたらされた。
一つの綻びが、各国の疑心を抱かせることになったのだった。
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イ・シン王国攻略完了の報を受けて、魔族の重鎮たちが、中央に集まった。
重鎮たちに見守られながら、魔王と謁見している。
「此度は、ご苦労だった。過去にない快挙だ。しばらくは、人間も戦を仕掛けて来ないだろう。これで少し落ち着けると言うものだ。」
「私としても、協力してもらって助かったわ。」
「戦線は落ち着くが、この後はどうするつもりだ?」
「久しぶりに人間側に戻ろうかと。調べたい事があるから、人間の中で調べた方が効率的なの。」
「そうか、気をつけてな。」
「お互いにね。通信機をいくつか預けておくわ。何かあったら、連絡をちょうだい。」
「あい、わかった。皆、女神殿に敬意を。敬礼!」
「「「「はっ!!」」」」
謁見の間にいた魔族たちは、一斉にれ礼を取った。
良い笑顔をしていた。
「では、また。」
伝えておきたい事も伝えた。
渡しておきたい物も渡せた。
永遠の別れではないけれど、少ししんみりくる。
約三年もの時間を、フリューゲルで過ごした。
人間側で過ごした年月よりも、遥かに長い。
親しい者も、気の合う友人も出来た。
それに魔族たちは、私が女神だと知っても過剰に敬わなかった。
それを嬉しく感じた。
次に会うときは、また、世界の状況が変わっているだろう。
だが、魔族たちとは、敵対することはないと確信している。
次に会う時が、楽しみだ。




