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27.


オーロ侯爵領 陥落。

生存者 0


その知らせは、わずか二日で王都に届いた。


オーロ侯爵領は、物流の中心。

王都の王族も貴族も民も皆、不安な様子を隠せない。

 

王族や貴族は、オーロ侯爵領の陥落を、国民に知らせないように情報規制を引いていた。

それなのになぜか、王都に知らせが届いた五日後。

気がついたら、国民全員が知るところになったのである。


情報の出所も気になることだが、何よりも物資が届かないことの方が深刻だ。

このままでは、そう時間が経たないうちに、飢えて死んでしまうだろう。

王都中が、この話で持ち切りである。


王族と貴族は、国を王都を守ることよりも、自分たちが生き延びる方法を考え始めた。

国民よりも、自分たちを優先したのである。

どうやって生き延びるか、どうやってこの国から脱出するのか、そればかり考えていた王侯貴族は、国民の様子を何一つ、見ていなかった。


この時、少しでも国民の様子を気にかけていたら、気にかける者がいたら、少しは何かが変わっていただろうか?


「王族や貴族が、物資を独占しているらしいぜ。」


「そもそも、王族たちが魔族に攻撃したからでしょ。」


「俺たちをおいて、逃げる算段でも立ててるんだろうな。」


「許せるか?」


「許せるわけがない」


「全部、貴族と王族のせいだ!」


王都、国王の足元で、新たな火種が大火となって燃え盛っていた。


王族と貴族のもとに、急使が駆け込んできた。


「暴動です!王都民が暴徒となって、城門を破りました!!」


唖然とした。

外部にのみ意識を向けていたところに、寝耳に水である。


すでに城内に入り込まれ、逃げ道がない。

 

何故こんなにも、早く城内に入り込めたのか?


それは、城内にも平民の下働きがいたからである。

彼らは、貴族や王族の話を聞いて、憤りを感じていた。

だから、城外の王都民たちと結託したのである。

こっそりと、使用人が利用する裏門の扉を開けて、彼らを招き入れたのだ。

そして、集団で門兵を襲い、城門を開けた。


実に見事な連携だった。

まるで、誰かが手を引いているような。

 

だが、そんな細かいことは誰も気にしない。

気にするのは、王族と貴族を自分たちの手で、処罰する事のみ。


「王を出せ!」


「貴族を許すな!」


次々と王族や貴族たちが、王都民に捉えられ、見せしめに殺されていく。

絢爛豪華な城内は、今や血の赤に塗り替えられていた。




 

 

「マーヤ王国王都、攻略完了。」


何処かで、そんな声がした。




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