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ネメシスの天秤  作者: 氷桜 零
魔族侵攻編
24/31

21.


二ヶ所目の部屋は、半精族が多いようだ。

しかも綺麗どころ。

嫌な想像しかしない。


私が目の前に転移しても、誰も反応せずに、ボーッとしている。


〈消失〉


彼らはなくなった異物感に、首や身体を触っている。

自分たちを縛るものがなくなったのがわかったのか、嗚咽を溢しながら涙を流した。


「報復をしたいなら、協力するわ。」


私の言葉に、緩く首を横に振る。


「ここに、居たくない。」


「わかった。あなt名前は?」


「エスピネル。」


「エスピネル、安全な場所、魔族側に跳ばすわ。彼方では、皆んなの事お願いできる?」


エスピネルは、コクコクと首を振る。

その返事を聞いて、私以外のこの場にいる他種族を魔族側の砦に転移させた。

エスピネルが頭を下げたのが、最後に見えた。




ーーーーー


マーヤ王国、コラン砦。


夕食を食べたあたりから、兵士たちの体調が徐々に悪くなってきていた。

そう思っていたら、すぐに動けなくなってしまった。


食中毒か、それとも毒か。


原因を見つけようにも、砦の人間が全て倒れている状態では、原因を調査することも出来ない。


ドカァァァァン


扉が、外から壊される音がした。

そこには、普段奴隷として使ってやっている獣がいた。


「な、何だ、貴様!」


「よお!散々こき使ってくれたなぁ。礼に来てやったぜ。お前ら全員、生きては帰さねぇから、覚悟しやがれ!」


そのと言葉と共に、意識が途切れた。


ローヴァインはその場の人間を全て葬ると、次の場所に向かった。


獣人たちが暴れているのは、何もここだけの話ではない。

そこかしこで、今までの鬱憤をぶつけるように、獣人たちが暴れ回っている。

彼らからしてみれば、散々こき使われた、正当な報復だった。

 

誰一人、人間は逃さない。

その決意を胸に、次々と殺戮を繰り返していく。

例え隠れても、獣人の鼻からは、逃れることは出来ない。


人間のせいで、何年も苦渋を飲まされてきた。

獣のように、物のように使い捨てられてきた。

その思いが、さらに獣人たちに火をつける。

止めるものは、もちろんいない。


そんな様子を、上空や周囲で、魔族たちが見守っていた。

万が一劣勢になったら、助けに行くつもりで。

だが、この様子を見ると、魔族の出番はないらしい。


見守っていた魔族たちは、お互いに目線を合わせ、苦笑いを浮かべあった。


その後、獣人たちの活躍によって、間も無く砦は陥落するのだった。




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