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ネメシスの天秤  作者: 氷桜 零
魔族侵攻編
22/24

間話2


ドルテア王国、セテラディート公爵邸。


公爵の執務室で、部屋の主人が頭を抱えていた。


「セレン…何処にいるんだ…どうか、無事でいてくれ。」


セレン。

セテラディート公爵家、第四子である。

セレンは一年ほど前、突然いなくなってしまった。


彼女は、貴重な治癒魔法と鑑定魔法を持っていた。

 

この世界では現在、治癒魔法を発現した者は、そのほとんどが、神殿に所属している。

治癒魔法の保護と正しい使い方をするため、と言う名目だが、実際は各国よりも優位にたちたいがための理由づけである。

治癒魔法は国の行末や戦局を変えるほどの力を持つ。

治癒魔法師の数が、国力に直結するのだ。

だから神殿と、神殿の大元である聖ロベスタ公国は、治癒魔法師の確保に躍起になっている。

それは、各国でも例外ではない。

神殿に囲い込まれる前に、国で確保しようとしているのだ。

神殿は治癒魔法師を確保する際、手荒な真似をする事を厭わない。


だから、セレンも神殿に囲い込まれないように、誘拐されないように警護を強化していた。

国としても、絶対に渡せないからだ。


けれど一年ほど前、警備を潜り抜けて、攫われてしまったのだ。

どうやら、使用人の中に、お金に釣られた者がいたようだ。

彼が手引きし、深夜のうちに連れ去られた。

発覚したのは翌朝。

侍女が部屋に起こしにいった際、ベットにいなかったのを見つけた。


邸中大騒ぎになり、国王陛下にも連絡がいった。

公爵家と国王陛下が、国をあげて捜索したが、見つからなかった。

正確には、下手人と思われる人物と、神殿の神官が、スラムで殺されているのを見つけたが、セレンは何処にもいなかった。

手がかりもなく、行方不明になってしまったのだ。


捜索の甲斐がなく、一年経った今でも、手がかりすらない。


公爵は、どうしてもっと気にかけなかったのか、警備を厳重にできなかったのかと、後悔が頭を離れない。

セレンと仲が良かった使用人も、異母兄のルドヴィクもあの日から沈み込んだままだ。

同じく異母姉のクレアと異母兄のクリスも、攫われた異母妹を心配している。

もっと関われば良かったと、今更ながらに後悔をしている。

あの日から公爵邸は、暗いままだった。


公爵家の誰もが、セレンが無事に帰ってくるのを、神に祈っている。




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