13.
作戦会議室。
ここには、前回と同じメンバーが集まっていた。
次なる目的、ミルド国アインス侯爵領攻略のためである。
アインス侯爵領は鉱山が多く、武器の生産量がミルド国内で一番多い。
今後のためにも、早めに攻略しておきたい領地である。
「さて、次はどのような手を使いますかな、女神殿。」
「私に任せていいのですか?」
「こう言ってはなんですが、魔族は考えるのが苦手でして…。今までは、突っ込むだけでした。」
「た、確かに今後、ミルド王国攻略には、突っ込むだけではちょっと…」
バルシュミーデの率直な言葉に、苦笑いが漏れる。
まあ、任せてくれると言うのなら、好きにやらせてもらおう。
「まず、多種族の奴隷の保護は最優先。それは前回と同じです。」
皆が同意を返してくれる。
第一段階。
完全に人間に化けられる魔族が、街に入って奴隷や戦力などを探る。
同時に私は、いくつかの噂を街に流す。
第二段階。
軍の中でも中間より上の方の人間何人かを、連れ去って殺す。
死体はバレないように埋める。
同時に、私が大量の武器を隠し、多種族を保護する。
第三段階。
この時点で、街やアインス侯爵家は混乱している。
そこに、本命の部隊が突入する。
「と、こんな感じで行こうと思う。完全に人間に化けれる人はどれくらいいる?」
「第四部隊の半数は、長時間化けることができます。」
第四部隊の隊長が、手を挙げて発言する。
「それじゃあ、偽装の身分証は此方で作るから、順次、怪しまれない程度に街に送り込んで。」
「了解しました!」
「いやはや、やはりお任せして正解でしたな。これからも、どうか頼みました。」
「あはは。任せてください。では、前回と同様、私が合図したら、突入は任せます。」
「任された。」
細かい動きを確認してから、作戦会議は終了した。
第四部隊長にはその場に残ってもらった。
私は第四部隊長に、潜入する人の特徴を聞きながら、その場で偽装の身分証を製作した。
第四部隊長に、完成したそれを確認してもらい、そのまま引き渡した。
身分証を作るのは初めてだったけど、案外簡単に作ることができた。
こんな物で、街を自由に出入り出来るなんて、人間の国は警備がそれほど厳しくないらしい。
それとも、ミルド国が特別緩いだけなのだろうか。
私は、人間の警備体制に疑問を持ちつつ、会議室を後にした。