09.
翌日。
作戦会議のために、会議室に集まった。
参加者は、私、バルシュミーデ、リトヴェルク、隊長格四名。
「ミルド王国には、人間以外の他種族の奴隷は、どのくらいの人数がいるの?」
「俺が知っている範囲で、戦闘員は全員で107人。今回保護されたのが58人。残り49人。増えていなければ、だが。後、非戦闘員は何人いるかわからない。」
「保護しつつ、彼らに後何人いるか、聞いた方がいいね。」
「戦闘員と全員、戦場に連れてくるとも限らない。」
「多種族の奴隷は、保護したいから殺さないで。」
他種族の件は、これでいい。
後は、具体的にいつ、どこを、どうやって攻めるか。
「どこを最初に攻める?」
「それならここ、ジェノ砦は?いつもここから魔族領に侵攻してくる。」
「そうだな、まずは砦を落とそう。」
「奴隷紋と首輪の魔力は覚えたから、私が潜入して、奴隷を保護する。彼らを避難させたら、合図を送るから、奇襲を仕掛けて。」
「わかった。それで行こう。」
その後、どの部隊がどこを担当するかなど、細かい作戦を詰めていった。
決行は、三日後。
夜に寝静まった頃を狙って、私と第四部隊が侵入する。
寝ずの番をしている兵を眠らせて、他の兵が気づくまでに終わらせる。
奴隷を見つけたら、首輪と奴隷紋を解除。
その後は、この砦に転移させる。
転移させた後のフォローは、ここで保護されている彼らに任せる事になった。
私からの合図があれば、第一、二、三部隊が正面から仕掛ける。
戦闘が開始したら、内側から門を壊して、魔族たちを招き入れる。
今回も捕虜は取らない。
いても邪魔になるだけだからだ。
それに、人間を奴隷にしたところで、役にも立たない。
また、捕虜を取らないと言う事はつまり、人間を一人も生かさないと言うこと。
降伏も認めない。
徹底的にやる。
今まで人間に苦渋を飲まされた分、何倍にもして返すのだ。
ジェノ砦から、本格的な魔族の反撃の開始だ。
この戦いで、反撃の狼煙を上げる。
我慢するのは、もう終わりだ。
その時人間は何を思うだろう?
後悔?絶望?反省?
何にしても、これは今までの報い。
存分に、味わってもらわないと。
さて、人間はいつ気づくのかしら。
神に、愛された存在ではないと。
それどころか、神にもう見捨てられていると。
いえ、きっと気づかないでしょう。
自分で気づけるのなら、こんな事にはなっていないのだから。