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第4話 友達


「祐也はさ。明日世界が終わるとしたら、どうする?」

「なんだその質問。そうだな……何もしないかもな。いつも通り過ごして、好きなもん食べる」

「え、最後の1日だよ?」

「別にしたいこともねぇしな」

「つまんな〜い」

「じゃあお前は何するんだよ」

「そうだな〜……おばあちゃんと2人で綺麗な景色をみに行くかな」

「本当に仲が良いんだな」

「もちろん! ずっと育ててくれたんだもん」

「お前のばあちゃんは幸せ者だ」

「私も幸せだからね! 恩返し。……私、こういう答えのないことを考えるのが好きなの」

「変なの」

「そこがいいでしょ? 今からもしも話しようよ」

「お前そういう話好きだよな。別にいいけど」



「じゃあ、もし永遠に生きられるとしたらどう?」

「永遠には生きたくねえな……つまんなくなったら自殺するかも」

「わお……じゃあ死ぬまでに何する?」

「世界中旅するかも。ずっと同じところにいてもつまんねえじゃん」

「え、いいじゃん! 旅行とか行かないの? 普段」

「行かないね。目的がない」

「そっか。目的ね……じゃあ、文化に触れるために現地の人と話すとかは?」

「英語が無理」

「話せなくてもニュアンスでいけるって!」

「それが無理なんだって。人見知りだし」

「そっかー……日本が1番か」

「当たり前だ」


「じゃあ……愛とお金どっちが大切?」

「金だろ。金があれば何でもできる」

「うわー……」

「そんな目で見るなよ! 本当のことだろ?」

「違うね。愛はお金で買えないよ」

「偽りでも幸せならいいんだよ」

「何それ。哀しいじゃん」

「人それぞれだな」

「祐也は恋したことないからわかんないか」

「失礼だな! これからどうなるか見てろ」

「はいはい。期待しとくよ」

「してねえだろ!」





 ただ意味もない会話をして、毎日同じように2人で夕方の時を過ごす。友達として、これからも。




 





―――――――――――――――――――




 そして1回目のデートから1ヶ月が経った。



「ねえ、次の休みの日、ショッピング行かない?」

「何を買うんだ?」

「何も買わない」

「なんだそれ!」

「ウィンドウショッピングって知ってる?」

「見るだけの買い物か?」

「そうそう! それがしたいの」

「まあ、いいけど。そろそろ夏だし、今のうちがいいかもな」

「でしょう? じゃあそういうことで、よろしくね」

「おう」








 2回目のデートもまた違う姿で現れた。何か意図があるのだろうか。俺と似たようなストリートファッション。なんだかカップルみたいで小っ恥ずかしいな。帽子にポニーテール。ファッションショーでもするつもりなのかと思うほど、なんでも似合うお前。



「また私が先だった!」

「お前いつ来てんの」

「内緒!」

「ずるいやつ」

「それより、行こ!」


 さりげなく握られた手。前は俺からだったのに。期待してしまうじゃないか。




「ね、ここ食べ歩きできるんだよ」

「そうだな。美味しそうなのばっか」

「みて、焼き鳥! 食べたーい!」

「買ってやるよ。前奢ってもらったし」

「そっか。じゃあお願いしようかな!」

「何がいい?」

「定番のタレもも肉でしょー!」

「おっけ。すみません、タレもも肉2本ください」

「あいよ! カップルか? お熱いね」

「いや、友達っす」

「ほお! それはすまねぇ。はい、焼き鳥! 300円頂戴!」

「ありがとうございます!」



「うまっ」

「だね! 最高〜!」



 ここは焼き鳥だけじゃなく、唐揚げやジーパイ、小籠包など様々な食べ歩きができる。制覇するんじゃないかってくらい、2人で食べ尽くした。ショッピングって言ってたくせに、全然何も見てないけど。美沙が楽しいならそれで良かった。






 2人でお腹を満たしたあと、本命のウィンドウショッピング。すると高校の同級生が前から歩いてきた。どこも逃げられないし、出来るだけ帽子を深く被り、下を向く。




「どうしたの?」

「前に同級生がいる」

「友達?」

「一応」

「いいじゃん、話してきなよ」

「今はお前と一緒だから、行きたくない」

「何それ。可愛いとこあるじゃん」

「うるさい」



 顔を隠したつもりが、向こうに気付かれてしまった。


「あれ、祐也じゃーん」「マジ?!」



 チャラチャラしたサッカー部の2人。可愛い子が好きだから、1番会いたくなかった。美沙が好きになっちまったらどうしたらいいんだよ。気になる人ってのも誰かわかってねえのに。



「よ。何でここにいるんだよっ」


 いつもの偽の笑顔で話す俺。気持ち悪いな。上手く笑えてるかわかんねえ。コイツらとつるんでると、他の奴らも俺みたいにヘラヘラして、話しかけてくんだよな。うちのクラスは性格が悪いやつが多い。ほかは知んねえけど。



「食べ歩きしてた! てか、その子誰? もしかして彼女?!」

「ちげえよ。友達だよ」

「ふーん、どうかな? マジ可愛いんだけど」

「お前には渡さねーよ」

「はは、ケチだな〜」

「じゃあ俺達お楽しみ中だから、またな!」

「ちぇ、いつも忙しいって遊んでくれねえのはその子と会ってたからか?」

「どうだろうな?」

「秘密主義者かよ〜!」





 逃げるようにその場を後にする。早足で歩いたせいか、美沙は息を切らしている。





「あ、ごめん」

「いいよ。大丈夫?」

「本当にごめん。気悪くしただろ?」

「全然だよ。可愛いって言われたから嬉しいよ?」

「ああいうのがタイプなのか?」

「違う違う! ぜんっぜんタイプじゃない」

「はあ。よかった。ああ言うやつはろくな奴じゃない 」

「友達のこと、言うね〜」

「あれは友達って友達じゃない。わかるだろ?」

「そうだね。学生って大変」

「色々な」

「どっかで休憩しよっか」

「すまん」



 そうして俺達はカフェに入り、冷房の効いた場所で一息ついた。



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