王都到着
王都到着
マカンヌさんと色々試して居たら、とうとう日が昇ってしまった。
っつーか、マカンヌさんに質問をするなら今の内だろうと思う。
「ねぇマカンヌさん、転生者でしょう?さっきの鼻歌、あれってさぁ・・・。」
「あらぁ~、気が付いちゃったぁ? エリーちゃんが私から見てずっと未来の時代からの転生者だったから解んないと思ってたぁ~。」
「まさかとは思うけど、西暦2000年代の人だったりするの?」
「良く判ったわねぇ~。
そうなのよぉ~、当時文系の大学生で、レイヤーサークルの部長だったのだけど、交通事故でねぇ~、こっちに来てから物心ついたある日に、記憶が蘇ったのよね~。」
「そうなんだ、ご苦労されたんでしょうね、私は何だか中途半端に転生したみたいで初めからこの姿だし記憶もそのままだし、お陰で余り困る事は無かったけど。」
しかもその当時の大学生程度の知識では、大して役に立つものは無かっただろうな、まして文系なら尚更、本当に苦労している気がする。
せめてチートスキルの一つや二つくらい寄こせよ、クソ神。
しゃぁねぇから妙に高く設定されたナノマシンの権限レベルは不問にしとくわ。
マカンヌさんの義体に内蔵されて居るナノマシンポッドには、マカンヌさん専用の、術札の素材収集専用のナノマシンでも突っ込んどくとしよう。
しかし、私が一番リアル体験したいと思える時代から転生して居たのか、マカンヌさん、ちょっとうらやましいぞ。
きっとハコンダーZに対するマカンヌさんのご意見はマカンヌさんの前世の時代にあった何かだろうと思う、私はあの時代のアニメやラノベとかは割と知って居るけど、芸能関連とかはあまり知らないのでその辺りの部分から出たのかも知れない、アイドルって言ってるしね。
しかし良い情報源だな、マカンヌさんとは転生者仲間としてお互いに良い理解者に成れそうだ。
それに、マカンヌさん位だとBLにも精通してそうだし、ちょっと楽しみ。
それにしてもレイヤーだったとは・・・
そんなこんなでマカンヌさんの時代を色々質問して居ると、アナウンスが。
『20分後に、グローリー王国首都、城塞都市グローリーに到着します。』
「着いたね、マカンヌさんも折角だからブリッジから見るよね、行こうか。」
「うちの人にも見せてあげたいかもぉ~。」
「寝てるでしょ、未だ。」
「あら、まだ寝てるわ、電脳位起こしておけば良いのにぃ。」
なんだ、旦那の電脳にアクセスしようとするなんて、マカンヌさんちゃんと使えてるじゃないか、電脳。
「仕方ないわ、私だけ楽しみましょう。」
ところが、カイエンが起きて来た。
マカンヌ天然説が発覚。
ちょっと調べたらカイエンの電脳のアクセスコードを一桁間違って憶えて居た模様。
有線で繋ぐ分には要らんしなw
まぁ、早い段階で気が付いて良かったんじゃね?
これでなんか冒険中にピンチになってSOSしたい時に繋がらなかったですなんて事態に成らないで済みそうだ。
ってか、マカンヌのこれ程のスキルでそんな事態に陥るかどうかは疑問ではあるけどな。
兎に角、全員ブリッジに集合した訳なんだけど、その直後、警報が響く。
前方に障害となる何かが動いて居ると言うので、カメラで捉えて映像化してみると、何だか豪華そうな馬車とそれを護衛するように並走する十数名の騎士、うーん、この鎧は見た事が有る様な・・・
ドローンを飛ばして馬車の中を撮影すると、乗って居たのはプリウス・ラ・クラウン・オブ・ランクル3世その人だった、もしかしてこんな偶然って割と腐れ縁に成りそうな予感がするけど気のせいと言う事にしておこう。
あ、向こうが気が付いて馬車の中から手ぇ振ってる。
停止させてみると、向こうも止まった。
ついでだから一緒に連れて行ってやるか。
多分、新皇帝が自ら出張って来てるって事は、王都に行ってこっちの国の国王に謁見、新皇帝として挨拶がてら父親や阿保貴族の暴走を謝罪して、同盟無いし友好関係でも締結しようと出て来てるんだろうと思う。
ハッチを開けてやると、すんなり搭乗して来たのだった。
「エリー!その節は感謝の念に堪えぬ、今一度会えぬものかと思って居った!」
何だこの妙なテンション・・・
「へぇ~、エリーちゃんも隅に置けませんねぇ~。」
こら、マカンヌ、そんなんじゃねぇから!
「へぇ~、皇子ってエリーに惚れたのか?」
「は・・・はぁ!? ななな、何ゆってんのあんたら、こ、こんな、700年以上生きてる、お、おばあちゃんに惚れるとか、どどど、どうかしてるだろ?」
「う、煩い!いくらエリーの仲間でも許さぬぞ!?見よ!エリーも動揺して居るでは無いか!」
えぇ~、今の反応、マジかよっ!?
「ちょ・・・ねぇ、あんた本当に私なんかに惚れたの?・・・」
「う、イヤぁ、その・・・」
マジだったぁっ!
そんな、こんなお子様新皇帝に惚れられた上にこんな純な反応されたらこっちが恥ずかしいわっ!
何ほっぺ赤くして俯いてんのさっ!
「お・・・おい、マジで私に、その・・・・ほ、惚れたとか言うなよ、700歳超えだぞ?」
「わ、判って居るのだ!判って居るが・・・」
そ、そりゃぁあんなにはやされたら私だって否定はするけど悪い気は、して無いんだからねっ!
そ、それもさ、唯一の私の旦那だった奴に雰囲気っつーか、何と無く似てるんだしさ・・・その、なぁ・・・
で、でも!
あいつとこの皇帝君は違うんだからねっ!
「そ、そんな事よりも、王都に到着するぞ! お前らいつまでそんな下らんこと囃し立ててるのよ、そろそろ降艦準備だよ。」
「あ、胡麻化した。」
「しつこいぞキース。」
「動揺激しいわよね~。」
「く、クリスもいい加減にしなさいっ!」
くそう、普段私が揶揄う側だからってここぞとばかりに突っ込んできやがったな、覚えとけよ?
変な雰囲気に成ってしまいつつも王都に到着したのだった。
入街待ちの行列の最後尾よりも少し後ろでジャイアントクルーザーを停止させると、案の定飛んで来ました街門警備員。
何事か叫んで居るので外部マイクをオンにしてみると、どうも大型の魔物か何かなのではと勘違いされている様子なので、弁解をする為に私が直に出て行く事にした。
前方搭乗口を開いてエスカレーターを降ろし、それに乗って私が降りる。
「な、何者だ!?」
まぁこんな巨大な物が停まったからと様子見に来たら中から少女が出てきたらそりゃそうなるか。
「私は、冒険者のエリーと言います、これは私が作った乗り物でジャイアントクルーザー、セドリック辺境伯の護衛任務を受けたので辺境伯ごとこれに乗せて運んで来ました。」
「の、乗り物?これが乗り物なのか?」
「何でしたら中をご案内しますよ?」
「わ、私も入っても良いのか?」
乗り物と聞いて興味が湧いたらしい。
ではと言う事で、承認用の写真を取らせて貰って登録、これしないと攻撃されちゃうからね、自動で。
格納庫からレストランルームから一通り見せられる施設を見学させた後にブリッジに案内すると、もう開いた口が塞がらないと言う感じで呆れられたのだった・・・何で呆れる訳?
「これは辺境伯様、ようこそお越し下さいました、で、此方の高貴そうな御衣裳の方は?」
「紹介します、さっき近くで会って拾いました、新生ランクル帝国、新皇帝のプリウス・ラ・クラウン・オブ・ランクル3世様です。」
「プリウス・ラ・クラウン・オブ・ランクル3世だ、此方への用向きは、先の戦争を引き起こした父を追い落とし穏健派の私が皇帝へと襲名したご挨拶とその戦争の謝罪、及び友好国と成るべくその調定の為である。」
「な、新皇帝自ら御越しに成られたとは、直ぐに戻って王へ報告致してまいります、早急に謁見の場をご用意出来ると思います。」
と、街門警備長と名乗ったこのおっさんは大急ぎで戻って行った。
なまえ?・・・何だっけ、覚えて無いや、あははは。
私は人の名前憶えるのが苦手なんだよ、要するに人にあまり興味が無いと言うか、ねぇ?
私のような研究の虫の科学者たちはそう言う人多いよ?
ちょっと位苦手な事があったって良いじゃん。
こうして、辺境伯、プリウス君を含む全員が降艦準備を始めた。




