昇格、え?B級?
昇格、え?B級?
今朝方寝たもんだからさぁ、目が覚めたらすっかりお昼だったよ・・・
しかもそれでも私が一番早起きって、どれだけハイテンションで騒いでたんだろね、あの子達。
食堂でご飯食べてたら、先ずはオーブが起きて来た。
「うにゃぁ~、久々に羽目外し過ぎたのにゃ、師匠おはようにゃぁ~。」
「おはよう、オーブ。」
その後、ザインが。
「ん・・・ハイエルフ様、おはよう。」
「ハイエルフじゃ無いよ~、おはよ~。」
「姉弟子おはようにゃのだ。」
「姉弟子になった憶え、無い。」
「クリス、遅いね~、爆睡してんのかな?」
「ん、多分。 最近色々大変だったから。」
「次席姉弟子は体力あまりないにゃ?」
「だぁ~れが次席姉弟子よぉ~、おはよ~。」
「ん、おはよ。」
「何だ、起きて来たんだ、まだ寝てても良いんだよ? 宿屋じゃ無いから掃除したいとか怒る人いないし。」
「流石に私でもコレだけ寝たら寝すぎだわ~、逆に疲れる。」
「まぁ確かにいえてるね。」
さり気無く鑑定してみると、SPがかなり下がって居るのが判る。
「ねぇクリス、こう言う時はスタミナポーションが利くと思うよ?」
「ああ、アレね、割と味も良いしたまに飲んでたんだけどなぁ。」
「あんたね、普段から飲んじゃイザって時に効かなくなる事あるから駄目だよ、それやっちゃ。」
「は~い、気を付けるわ。」
「仕方ないからこれ飲んどけ~。」
EXSTポーションを取り出した。
「え、これって、すっごい高級素材が無いと作れないやつ?」
「そんなん知らん、出来たし持ってたから飲んどけ。」
「お代払いきれないよ?」
「イランから飲んどけ。」
「でも。」
「こんなに大量にあるから余ってるから飲めっつってんの。」
200本余りストックして居るのを全部出してみせる。
「うわ、ナニコレ。」
「だから飲んどきなさい。」
「はい。」
EXSTポーションをあおる様に飲み干したクリスが目を見開く。
「何これ!すっごい効き目。 効きすぎて怖い!」
「折角起きたんだし、ダルさも抜けたならさっさとご飯食べちゃって、皆でギルドに行くよ。」
クリス、ザイン、オーブの三人とも、朝食に選んだのは小倉トーストのモーニングセットだった、読者なら知って居る人も多いであろう言わずと知れたあのコ〇ダのモーニングセットである。
ってか今、昼だけどな。
--------
4人揃って、ジャイアントクルーザーを降り、目の前の街門へと至る。
ってか街門前に停めとくなって話だけど細かい事はまぁ良いじゃんか。
「よう、おはようエリー。」
「おそよう~、オスカルさん。」
「ってかあんまり街の外で寝るなよ、宿屋に泣かれるぞ。」
「イヤぁ、昨日遅くなっちゃったからね~、ってか一月分位払い込んであるから大丈夫でしょ。」
「そういう問題じゃ無いんだが、マイペースだな、相変わらず。」
「それは仕方ないな、私は誰にも縛られないんだってば。
それはそうとこのメンツなら顔パスで良いよね、入るよ。」
「ダメ、そっちの猫亜人は顔パスとはいかないだろ?」
「あ、そうか、オーブこっち来て。」
「はいにゃ~師匠~。」
「お前さんは一応敵国の将軍だったって事で、こっちの冒険者ギルドにでも登録されない限りは毎回この魔道具を触って敵意が無い事を証明する必要が有るのでな。」
「うにゃ、面倒くさいにゃ~。」
オーブが魔道具に触れて、自分の立場を話す。
「オーブ・スフィア、23歳にゃ、元帝国将軍、現在はエリーにゃんに弟子入りした冒険者、って言うか未だ登録はしてにゃいにゃ。 拳聖の称号を持って居るにゃ。」
「うん、概ねウソでは無い、通って良し。」
「!?概ねってにゃんにゃ??」
「弟子入りしたの辺りに少し迷いが有る。」
「そんにゃ事も判るのにゃ?」
「ああ、何と無く揺らぎが見えた。」
「師匠は弟子と認めてくれてにゃいにゃ。」
しょんぼりするな、そんな事で。
「まぁ、エリーが保護者なら大丈夫だろうって事で通って良いからさっさと行きなさい。」
「うう~、お子様扱いされた気分にゃ~・・・」
----------
冒険者ギルドの戸を開けると、サリーちゃんが声を掛けて来る、イヤな予感しかしないからやめて欲しいんだけど。
「エリーさん、クリスさん、ザイデリュースさんお待ちしてました。」
「サリーから声掛けられると嫌な予感しかしないんだけど気のせい?」
「そんな事無いですよ~、今日はいいお知らせです~。」
「良い知らせかどうかなんか聞いて見ないと判んないじゃんっ!」
「じゃあ、軽いノリで言っちゃいますね、おめでとうございます! 今回の功績を領主様に認められまして、冒険者ランク階級特進でBランクに成ります!」
「断るっ!!! ありがとうなんてぜぇぇ~~~ったい言わない! 誰が何と言おうと断るっ!!!」
「えぇ~~、何でですかぁ~?」
「私も断ります。」クリスも同意見のようだ。
「ん、私も。」
ザインもらしい。
すると、背後からキースが寄って来た。
「ほぉ~らな、断るっつったろ?」
お?お前も断った口か。
「なんで皆B級に成りたがらないんですかぁ~、私が怒られますよぉ~。」
「サリーが怒られる必然性も無いと思うけど?理由はね、B級に成っちゃったらこの街の最強の冒険者って事に成っちゃうでしょう、そうするとどう言う事に成るかって、腕試しとか言って旅に好き勝手に出られなくなるって事じゃ無いのっ!」
「そう言う事、領主や他の貴族とかからの厄介な依頼を熟せる人材がとか言って勝手に出る事を止められかねないからな、それは不都合なんだよ。」
「そんなぁ~、早速と思って侯爵様の依頼受諾しちゃってるのにぃ~・・・」
「それはギルマスにやらせなさい、私達は知らないからね~。」
「そんなぁ~、酷いです~。」
「無理やり高ランク冒険者にねじ込んで拘束しようとするのは酷く無いとでも?」
「うう~・・・」
そこへギルマスがやって来た。
「ははははは、そう言うと思ったよ、だからホラ、お前らのC級の冒険者証だ。 受け取れ。」
「流石、話が分かるね、おっちゃん。」
「おっちゃん言うな。」
「じゃあ、素敵なお兄様?」
「何で疑問形なんだよ、後、素敵の所にそこはかと無い悪意も感じるし。 冒険者証取り上げるぞ。」
「お茶目な冗談に決まってるでしょうが、もう。」
「しかしまぁ、サリーが強引に話を進めたみたいですまなかったな、貴族の依頼は他の街に回しとくから気にしないで良いぞ。」
「うん、助かる。 私はしばらくこの世界を旅して色々見て回りたいんだ。」
「元からそんな事言ってたもんな、好きな時に出発していつでも好きに帰って来い。」
「ギルマス、あんたならそう言ってくれると思ってたよ、ありがとね。」
「で、だな、正式な依頼でエリー指名の物が一件入って居る、聞くか?」
「あんまり聞きたくないけど、聞いとこうか。」
「勇者カイエンの奥さん、マカンヌからなんだが。」
「ああ、その依頼ってさ、多分戦争中に出されてるっしょ? あの依頼って冒険者に対する依頼とは言い難いので直接受けちゃったけど良いかな? そもそもあの人の今の経済状況じゃギルドにお金払えなくなって労働奴隷まっしぐらコースだもん、流石に気が引ける。」
「そうみてぇだな、だから依頼達成時の条件はこうある。 エリーのメイドとして仕える、だそうだ。」
「そう来たか、っつーか、他に手も無い気はするけどな、だけどその依頼は不履行にしといてくれ。」
「何でだ?」
「私が、金取る気が無いからだよ。」
「旦那のカイエンさんを一人目の全身義体にした、いわゆる人体実験に協力して貰った代金だと思って貰って構わない・・・ってとこかな。 その上、マカンヌさんにもモニターになって欲しい案件でもあるし。」
「そうか、お前がそのつもりなら、不履行にしとこうか、キャンセル料は取らせてもらうぞ。」
「それも私が立て替えとくわ。」
こうして、マカンヌの依頼は破棄されたのだった。
それにしてもいきなりBにねじ込むとか何考えてんだろうね、回避できたから良いけどさ。




