凱旋
凱旋
緑精霊ちゃんの魔法って、召喚者のマナをゴッソリ持っていく凶悪な技が多いのは確か、でも、その効果の程は実の所、持ってかれるマナ量と見合わない位絶大だった、例えば私がお試しでゴッソリいかれた”グレアシアス”で、出来た広大な畑に生えたのは、上級薬草では無く、高級薬草、つまりハイポーションの方の原料。
それが広大な土地を耕す事も無く一気に畑になっただけでなく、一面に高級薬草、私のマナ量を鑑みてもどう考えても可笑しい量である。
少なく見積もっても100倍位?
マナや周囲の魔素の動きを観察して居たんだけど、持ってったマナを呼び水みたいに利用にして周囲から魔素を引き出して集めると言う感じの事をやっているみたいだった。
まぁお得ではあるわな、マナをゴッソリ行かれるのさえ覚悟したら、だけど・・・
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「さぁ、皆、帰ろうか。」
艦内アナウンスを入れると、歓声が上がった。
ってかお前ら実は何もして無いよな?
まぁ良いんだけどさ。
ちなみに皇子、改め新皇帝はと言うと・・・
「世は、復興を指揮した後に、改めて謝罪の為にそちらの王都を訪問する事にした、エリー、お主には世話になった、礼を言う。
お主の優しさで目が覚めた、もし良ければだが、その・・・
世の妃に成ってはくれぬかっ!?」
「はぁっ!? ななな・・・何ゆっちゃってんのこのお坊ちゃま君はっ!?」
トンデモねー事を言い出したので全力でお断り申し上げました。
似てたって彼では無いから仕方ない、それに私はこれから何百年何千年とこの世界を楽しむ積りなんだからこんな所で躓いてる場合じゃ無いんだ。
って事で、無理っ! 無理ったら無理っ!
とりあえず、壊れた街並みはナノマシンに命令してほぼ修繕はしたけど、城の周りの元城だった余ったスペースがそのままなので復興の必要性は有る。
なので余白スペースは、街の住人達に復興をお願いする。
公園にするもよし、新たな街並みを構成するも良しなので、好きに手を入れて貰おう。
この付近数千エイカーの土地は既に荒野から野原へとその姿を変え始めている。
街の広場の真ん中に作った精霊像と噴水の影響と言う事にしておくが、生み出した草樹属性の精霊ナノマシンの影響です。
まぁ、肥沃な土地へと生まれ変わると思うので頑張って農業とかして自給出来るようになって下さい。
私を裏切るような事しない限りは、この状況は良くこそなれ悪くはならないだろうとおもう。
もしも旅の途中で立ち寄る事があればその時は暖かく迎えてくれたらそれで良いや。
「道中気を付けるが良い、我が国ではお主を恩人としていつでも迎え入れると約束する、国賓扱いで歓待するので何時でも来るが良いぞ。」
「いや、そんな事されると来辛いから良いってば。
普通にしてよね。」
「そうか? しかしなぁ・・・」
なんか不服が有るみたいだけどそこは私が面倒くさいのは嫌だからと言うと、お忍びで会いに行くから来たら宿を教えろとか言い出す始末・・・
いや、宿要らないんですけど、ジャイアントクルーザーで寝泊まりできるし・・・
まぁ、私は小型の物を作ったつもりではあったが周辺と比較すると聊かデカすぎる気がしないでも無いけどな。
そのうち、キャンピングカーみたいなもっと小型の奴でも作って見るかな、もっとスピード出る奴で。
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今は帰る途中の道すがら、道とか言ったけど道なんか無い砂漠地帯だけどな。
それにしても流石砂漠だ、ヤッパなんだかんだ言って暑いんだよな、あまりにも熱いので、材料を調達出来た事も在り、アイスクリーム作って見る事にした。
帝国の特産品の中に、僅かにあった畑で細々と作ってたバニラビーンズあったんだもん、作るでしょう、これは。
そうだよこの辺の特産品をもっと沢山栽培してくれたら復興ももっと早く成ろうと言うものでしょう。
「エリー、何作ってんの?」
クリスが興味津々で覗いて来た。
「ふっふ~ン、秘密~♬」
「ハイエルフ様、尊い。」
あ、ザインちゃんも居たのね、はいはい。
「にゃ?師匠ここに居たのにゃ? にゃに作ってるのかにゃ?」
こいつも来たのか・・・
まあいいや、材料は兎に角混ぜた、後はこいつを、オートクッカーに入れてっと、アイスクリーム・・・っと。
設定を入れて終了、後は5分も待ったらしっかりキンキンに冷えたアイスが出て来る。
待ち時間に序でなので、大きめの氷を作ってオートクッカーでかき氷も設定を入れて置く。
っと、シロップは、イチゴ、メロン、レモン、ブルーハワイで良いかな?
元はと言えばシロップなんか色付けただけでどれも味一緒なんだけどさ、この世界に着色料が無い為に、イチゴは森で見つけた野イチゴ、メロンは、甜瓜みたいの見つけたのでそれ、レモンも在ったからガチで使ってみた。
問題はブルーハワイなんだけど、ブルーベリーよりずっと青々した青い果実が有ったのでそれを使ってみようと思ったら、毒が有ったので毒抜きしたら見事な水色に・・・丁度良いのでそれをシロップに混ぜたら奇麗なブルーハワイに成った。
多分この世界で元の世界より美味しい物に成った可能性が有る。
この世界の物で元の世界よりおいしい物っつーとやっぱハンマーヘッドオックスの肉が代表格だね。
マジで普通の牛肉よりウマいんだよ、ホント。
でも乱獲が進んだ事があったせいか、個体数が少なくて滅多に討伐依頼も無い為になかなかお目に掛かれない食材らしい。
まぁ料理の技術が稚拙な世界なので食材の性能だけで美味しい料理って程度なので料理自体は私が作る物が一番旨かったりする。
「さ、出来たよ、今日は特に暑いから美味しいと思うよ~。」
4人分を出して、振舞う。
「にゃ!? ちめたい! うまいにゃ~!!」
「う~ん!冷たくて美味しい~!」
「流石、ハイエルフ様、美味しい・・・」
そこへキースがやって来た。
「お?なんだ?何食ってんの?」
「秘密・・・」
「内緒~。」
「教えても良いけど情報料寄こすにゃ。」
「何だよそれ、エリーは教えてくれるのか?」
「良いけどこれよりお前はこっちの方が良いんじゃ無いかと思ってな、ほいかき氷、一気にかき込むと偉い事に成るからゆっくり食えよ。」
「ん?何だこれ、氷か?」
「そう、細かくした氷にシロップ掛けただけのデザートだな。」
「氷ねぇ、そんなもんが美味いんか?・・・・・うめぇ。」
一口食ってハマったらしい。
突然かき込み始めるキース。
「馬鹿、お前そんなにかき込んだらっ!」
「うがぁっ! 頭がっ! キーンってっ!」
「ホラな、言わんこっちゃない。」
「アタイも食べるにゃ!」
「ああこらこら、猫ちゃんや、あんまり冷たい物食べ過ぎるとお腹壊すから程々にね。」
こうして、かき氷とアイスクリームがこのジャイアントクルーザーの名物となるのであった・・・他所に冷凍庫無いしなぁ。
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シーマ辺境伯領へと帰って来た。
道中、食堂でアイスクリームとかき氷のブレイクが起こったのと、トイレへ駆け込むおバカさん達がトイレの取り合いをしたなんて事件は有ったが、他には何の問題も無く、快適な道中だった。
街門前にジャイアントクルーザーを停止させ、強化装甲とヘリを降ろし、最後に冒険者達と私、勇者一家、タイタンズのメンツと猫ちゃんが降りたところ、大歓声で出迎えられた、揉みくちゃである。
「誰にゃ!どさくさに紛れてお尻触ったのっ!?」
それは貴女がそんなお臍出てたり短パン姿だったりしてるのが悪い気がしますけど?
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「ご、ご苦労だったな、で、どうだった?」
とりあえず、映像を見て貰えば良いかなっと、そんな長時間掛かった訳では無いしね。
「じゃあ、これを持って報告とします。」
と言って、モニターを空中投影して、到着からの一部始終を録画した物を再生。
「エリー、君はどうしてそんなにおふざけが好きなのかね?」
セドリックさんが頭を抱える。
「だって折角だから楽しんだ方が良いよ?人生なんか何時終わるか分かったもんじゃ無いんだからさ。」
「旦那様は、むしろ少しエリー様を見習った方がよろしいかと。」
突然ジュドーさんが割って入って来た。
「だよねぇ? ちょっと真面目過ぎるよ、セドリックさんは。」
「う、煩い!仕方ないだろう!そう言う性格なんだから!生まれつきなのっ! 映像とやらに集中できんでは無いか。」
「いや、生まれつきでは無いって、性格は幼少期に大まかな部分が構成されてそれを年齢を重ねる毎に徐々に変化させて行くものだよ?
肩肘張って頑張りすぎて生きて来たからそんなに糞真面目なんだと思うよ、もうセドリックさんは成功者なんだからこれからは少しゆとりをもって遊び心を育てて行った方が人生楽しいと思うけどな。」
「そう言う事です、流石は700年の長きを生きた賢者殿のお言葉です。」
なんかジュドーさんが畏まったお辞儀をしてきた、そう言うの要らないからね?
「そうか・・・そこまで言うなら、少し考えておこう。」
「ほら、そう言うとこが硬いんだってば~、ねぇ、ジュドーさん。」
「左様でございます、坊ちゃんはもう少し砕けた方がよろしいかと。」
「坊ちゃん言うな~!」
「おおそうそう、そんな感じで良いと思うよ。」
「全く、エリーと話すと調子が狂う。」
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「とまぁ、こんな具合で動画は終了です。」
「なんつう極端な無血開城、そして何と言う強引な新政府設立なのだ、エリーにしかできないな、ここまで来ると。」
「まぁそんなこんなで、いずれ新皇帝がこっちの国に挨拶に来るらしいからそん時はよろしくね。
あとはセドリックさんとかこの国の国王とかのお仕事だからね。
あ、それと、冒険者の皆に例の約束、お願いね、私は疲れたから宿屋に帰るわ、じゃね~。」
実はジャイアントクルーザーの部屋の方が快適なんだけど、宿屋にはナノマシンが作り終えた屋上露天風呂もあるし、お金払い込んであるしね。
その晩は、冒険者ギルド全体が割れんばかりの大盛り上がりで大宴会が展開したらしい。




