開戦
開戦
市街戦を避ける為に張って居た部隊の元へ、秘密兵器を除いた全兵士、私やタイタンズの面々を含めた冒険者達が集結した。
こうして対峙して見ると、凄まじい物量差だと思う。
これからこの物量差をひっくり返すのだ、まぁ私としては楽勝だと思って居るが。
それにしてもこの世界の戦争のルール?ってなんでこんなヘンテコなのだろう?
日没近い夕暮れ時に戦線を構築した癖に何で向上述べてんの、このへっぽこ帝国ってば・・・夜襲の為に来るのが定石な夕暮れ時にやって来ておいて向上述べたら意味ねぇじゃんっ!
何この謎な生真面目さはw
「我こそはランクル王国軍司令官、モイヤー伯爵の副官!
ショーン・ネーザン子爵である!
ここに宣戦を布告するものであーる!」
ああそうですか、そんなのどうでも良いわ。
うちの領主が返答をする前に、私が、自作の拡声器で返答を返してしまおうと思い、即実行に移してしまう。
「あんたバカぁ?!
折角夕方に到着したのに口上述べて存在わざわざ明かすって戦争の定石無視してんじゃネェよ阿保!
こんなんで負けろって方がどうかしてるわ!
この超絶美女のエリーさんが相手してやるから纏めて掛かって来なさい!」
と、すぐ近くに居た領主様が慌てて走って来て
「おいおい、何を勝手にやってるんですかエリーさん!
口上には口上で返さないと!」
「まぁ聞いときなさいって。」
また拡声器を構えて。
「そもそも総大将が口上を述べるのが当たり前だっつーのに総大将が出て来ねぇってどう言う了見よ!
あ、そうか、総大将様はビビッて仮設陣でおねんねですかぁ?」
「煽ってどうする煽って。」
良い突込みだよセドリックさん。
でもそれを私は利用する。
「ほら!うちの領主様も酷いにも程が有るってクレーム言いに来たじゃん!
責任者出てこーい!っつってるぞ~!
あ、いけね、遅ればせながらご紹介します、領主様のセドリック・シーマ辺境伯様で~っす!」
何処までも人を食った言動を続ける私に対して、敵国の兵士が何だか怒ってるっぽい、まぁ怒らす気でやってるんだけどね。
過剰な怒りは判断を狂わせる。
そしてこの一言がとどめだ。
「さぁザコども!どっからでも! かかってこいやぁっ!」
あ、予想通り暴走した奴らが多数。
最右翼の部隊の前の方が特に多めに陣形崩れているかな?
丁度都合が良い事に、あそこはこちら側陣営で一番火力の薄いと思われる冒険者陣営の当たる予定の所だ、ラッキー。
最右翼に冒険者軍団、右翼中央寄りにはキースとザインに勇者と言う怪物級軍団、そのとなり、ど真ん中の中央部に当たるのが私なんだけど、何で私一人って事に成ってる訳? まぁ正確にはクリスも居るけどな。
なんか納得行かないのでコッソリ身体強化を済ませて万全の態勢で身構えて居るクリス。
クリスの電脳化、格闘術を未だ知らないキースへの言い訳は私が守ると言う事に成ってる。
しかも実は、私の本来の役割は中央なんかどうでも良くって身体強化で高速移動しながらの遊撃並びに回復部隊だったりして。
で、左翼側は当然残った警備兵を含めた辺境伯領兵達。
え?ここが一番火力薄く無いかって?
なんか忘れてない?強化装甲が居るでしょうに。
で、最後にもう一つ、敵後方へと回り込んでバリスタを手始めに破壊する、ヘリボーン部隊とそのヘリに運ばれて大暴れする空挺強化装甲部隊だ。
バリスタを完全沈黙させた後は挟み撃ちする、そんな作戦だ。
そしてほどなくして接敵、開戦したのだった。




