意外な援軍
意外な援軍
-MkⅢ-
ルイちゃんの参戦によって予想外の戦力増強が叶った翌日。
今日も私は訓練指導をしていた・・・のだけど。
「ほらあんた達!私に追い越されたらキスして貰うからね~!」
何だか自分のオカマを盾に取ったような脅迫的訓練を勝手に実践するルイちゃん。
あんまりこう言う訓練を思い付くオカマさんって聞いた事ねーけど、居たよここに。
そりゃ必至よね、昨日まで休憩時間になる度に娼館や飲み屋のお姉さんの話で盛り上がってた程の女好き達がまさかのラ〇ウ似のオカマに狙われてんだもんなw
それでもやはり、体力が少し物足りなかった者達からルイちゃんの餌食になって行く、恐ろしい訓練だ・・・
それはまさに地獄絵図。
傍から見ているとルイちゃんが悪魔に見えて来るよねw
「エリーちゃ~ん! 今日の訓練メニュー、これで全部終わったわよぉ~ン!」
「ルイちゃんお疲れ様、皆もお疲れ様。
ルイちゃんは物足りないんじゃない?」
「ん~、そうねぇ~、これを後4セットは余裕よねぇ。」
本気で化け物か、このおネエは。
精々2セットが良い所だと思うんだけどなぁ。
「まぁでも、他の人が付いて来られなくなっちゃうから、ルイちゃんは私との手合せで勘弁してね。」
「私としてはそっちの方が嬉しいわよ。」
「んじゃ始めましょうか。」
手合わせを始めたけど、やっぱこの人本当に強い。
レベルを確認しても、かなりではあるのも確かなんだけど、そのステータスの示す数値よりも更に強い、気がする。
きっと魔素以外の要素がまだ存在するんだろう、多分だけど、硬気功とか。
硬気功・・・そうか、硬気功か。
多分ルイちゃんの硬さはコレなんじゃ無いか?
私だって気功弾位は使えるので魔法の力の他に気功の力なんてのも存在して居るのだし、身体強化系も気功で出来るのではないか?
多分、つまりはそう言う事なんだろう。
マナを媒介とした物である可能性と、全く別の形でも身体の強化が出来るのでは無いだろうか。
どちらにしても良い機会だ、ルイちゃんの戦い方なんかを見て、観察して、解析させて貰おう。
きっと何らかの私に無い要素がある筈だ。
幾度も応酬を重ねて行く度に、やはりルイちゃんは独特な呼吸をして居る事が判って来た、やはり硬気功と言う奴なのだろう。
でも、この呼吸は実際に真似てみると、普通に呼吸するよりもくるしい事が判った。
つまりはこれは、肉体を厳しい状況に敢えて追い込む事で潜在能力を引き出すと言う方法なのかもしれない・・・
興味深くなって来たな。
もう少し詳しく調べたい所だけど、そうなるとまずは本人に呼吸法を教えて貰った方が良いだろう。
そう思ってこの模擬戦を終わらせる為に本気を出しちゃおう。
少しづつ速度を上げて、一瞬のスキを突いて、ルイちゃんとの体格差を利用してこのルイちゃんから見て圧倒的に小さい体をルイちゃんの懐に飛び込ませて、ほぼ真下からルイちゃんの下あごを目掛けて垂直に蹴りを出す、でもこれが悪手だった。
そのままバックスウェーで僅かに逸らされ、そのまま足を掴まれて真上に放り投げられてしまった。空中に居ると言う事はそれだけ自由が利かなくなるので不利なんだよ。
だけど、一応私にはイオンクラフトなんて言う空中浮遊の方法が有ったりするので反則だけどそれを使えば形勢は逆転する、けど、今は格闘戦の手合せ中なのでそれはやりたく無かった。
ならば、と言う事で私の電脳内にある様々な技を検索してこの状況を打開出来そうな物を探す。
そしてヒットした幾つかの技のうち一つに決めた私が落ちて来るのを、ルイちゃんが笑顔で待ち構えている。
笑顔とだけ聞けば微笑ましい気もするんでしょうけど、想像して見てよ、ラ〇ウが笑顔で見上げて待ち構えている。
そんな瞬間を・・・
こえぇよっ!
体を捻って、向きを変え、頭から落下しつつタイミングを計る。ルイちゃんが私をホールドしようと手を伸ばして来た瞬間、今だ!
足を引き付けて体育座りのような格好で、体制を変えて足を下に向けつつ、ルイちゃんの掴むタイミングに合わせて体を縮めた事でつかみ損ねたその瞬間に、両足で蹴りを放った。
慌ててクロスガードに切り替えたルイちゃんのガードを思いっきり蹴り飛ばして、蹴りの力で距離を取って着地し、そのままもう一度、地面を思い切り蹴って高速でルイちゃんの懐へと飛び込んで通背拳を鳩尾に打ち込んだ。
けれど、ルイちゃんは、にやっと笑って私に掴み掛って来た。
ヤバいな、これは読まれて居たかも知れない、硬気功は警戒するべきだった。
でも、急いでしゃがみ込み、ルイちゃんの股下を転がって抜ける事に成功してルイちゃんの掴み技は回避した。
「エリーちゃん、貴女の戦い方、やっぱり面白いわ、今ので捕まえられたら私の勝ちだったのにぃ~。」
「そう簡単に摑まりませんよぉ~、確かに今のは捕まったら終ってたわよね~。」
お互い決定打に掛けて決着がつかないそんな時、又伝令が走って来た。
「エリー様、皇帝陛下がお呼びです!」
「あらやだ、陛下のお呼び出しじゃ仕方無いわ、又模擬戦しましょうね。」
この辺りは物分かりの良いルイちゃん、アッサリ引いた。
「はぁ、プリウス君ってば今日は何の用よ、もう。
汗かいたから湯浴みしてから行くわね。」
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「お待たせ~。」
「まって居ったよ、我が妻。」
「未だ結婚して無いでしょ?」
「いやぁ、客人の前位格好つけさせてくれんか?」
「客人?」
「そう、客人だ、エリ―へのな。」
「はぁ、昨日はルイちゃんで今度は誰よぉ。」
「この者達だ。」
「エリー様、その節は大変お世話になりました、我が王よりの勅命で、エリー殿をお助けして来いと言うので、参上いたしました。」
「お?おお・・・えーっと。」
「忘れんでください!俺達っすよ、王に色々と所作を習って話し方とか変えるよう努力してるんであれですが「兄貴、あれやった方が良いかも。」 お、おお、そうか。」
「ん??」
「「我ら、ブラックブラザーズ!!」」
「おお~、そうかそうか、お前等だったかぁ~、元気だった?ブラブラ。」
「もうブラブラはやめて下さいよ、これでもラインハルト陛下に所作とか習って貴族っぽく見えるように努力してるんですから。」
「ああ、ごめんごめん、今度はちゃんと覚えといてやるよ。」
「お願いしますよ、もう、改めて自己紹介させて下さい、私は兄の方でヴュルガーです、こっちが弟でホルテン。
ラインハルト王から賜った名字があって、カンプと名乗って居ます。
ですので、私が、ヴュルガー・カンプ、弟がホルテン・カンプです。」
「判ったわ、今度はちゃんと覚えとく。」
「この度こちらへ伺った件ですが、我が王の勅命で、エリー殿をお助けしろとの事ですので。」
「もう、そんな事しないでいいのに。」
「ですが我が王はエリー殿に世話になったからその恩をお返しして来いとの事なので、帰りませんよ。」
「それじゃ仕方無いわね、でも、これからこの国は戦火にまみれるのだから死なないようにね。」
「私はエリー様のおかげで光と闇の魔法を第八階梯迄極めましたよ。」
「すげーな、兄ブラ・・・もといヴェルガー。」
「私も、エリー殿のおかげで火の上位炎と、水の上位氷、風の上位雷が使えるようになって、しかもそれも第4階梯迄使えるようになりました。」
「それ凄いなー、下位属性はカンストした?」
「はい、陛下に鍛えて貰えたので、お陰様で。」
「こっちもすげーな、三属性カンストして上級まで上がった初めてのケースじゃないか?しかも三属性極めて上級に到達して六属性か、もはや大魔導士だな。」
こんな急成長したのはこいつ等だけじゃ無いのかな、ここ迄の大魔導士になったのは恐らくは私達ハイエルフ以外で初めてじゃ無いか?
「いやぁ、それ程でも。」
「そっかそっか、兄は大司教クラスで弟は大魔導士か、立派になったな、こんな短期間で。」
「それもエリーさんのもたらした教本のおかげっス。」
「こらこら、キャラぶれてるゾ、昔の口調に戻ってるよ。」
思わずくすっと笑いが出てしまった。
「ああ、そうですね、気を付けないといかんですな。」
何はともあれ、確かにこれ程の魔導士が味方に付いたとなると、心強い事だ。
魔導兵候補は集まりつつあったけど、誰が教育するかで悩んでた所だからね、丁度良いわ。




